PandoraPartyProject

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Shooting Game!

 練達首都セフィロト。
 混沌の異物、奇跡の産物としか表現仕様のない未来都市は今まさに未曾有の危機を迎えていた。
「――ったく! 脳筋共め!」
 悪態を吐くクリスト=Hades-EXの顔は何時になく真剣なものだった。
 セフィロトを脅かすのは混沌における最強。絶対の生命体である竜種達――
『理由は知れないが』何らかの意図を以てセフィロトに押し寄せた攻め手達は混沌のオーパーツを灰燼に帰さんと恐るべきまでの暴威を見せ続けている。
「無数の対空対地ドローン、高出力バリア、自動砲台に斥力装置。
 いやー、壮観! フツーこんな街攻めねーYO! 攻めてくるトカゲの方こそ理解不能だZE!」
 ……だと言うのに、ここまで侵攻が止まっていない。
 物量と一体一体の重圧で完全なるセフィロトを破らんとする姿はクリストすら辟易させるものであった。セフィロトを覆うドーム状のバリアは高電圧を纏い、近付く敵に容赦をしていない。並の怪物の類ならば幾らでも消し炭に出来そうな出力は、成る程。あの完璧主義者の妹――クラリス=セフィロトマザーらしい作りであると言えるからだ。
「……これでもイレギュラーズcahang達が雑魚は大分散らした筈、だよねぇ?」
 クラリスが動けない割に、状況はセフィロトにとって適当である筈だ。
 だが、クリストの呟く通りそこには手応えらしき手応えが無い。
 勝利の気配が匂わない。凌ぎ切るに到る道筋が見えていない。
『まあまあ真面目に取り組んでいる』クリストは、クラリスの準備に忠実だったが――天性の嗅覚でそれを見逃しはしなかった。
「こりゃ、クラリスchangの計算が甘かったかな?」
 確かにセフィロトのコントロールについてクラリスがクリストに勝るのは確実だ。
 クラリスの計算はあくまで防衛機構を自分でコントロールする事も含んでいただろう。
 だが、クリストはそれでも妹の計算が甘かった、と読む。元々計算に入れていないイレギュラーズを加えてもこの状況なのだ。
「俺様の達成率が82%位だとして、コレってフツーに負けてるぜ、マイハニー!」
 刻一刻と『忙しくなる』制御にクリストが天を仰いだ。
 我ながら酷い貧乏クジを引いたものだ、と嘆きつつも――
「……ま、ゲイムは厳しい方が燃えるんだけどNE★」
 ――その表情からはふざけた余裕と不敵さだけは失せはしない。
「良く考えたら、最初と変わんねーじゃん?
 守ろうと思うからクッソ苦手なんじゃん。俺様はFWなんだからGKみたいな事出来ますかって!」
 一応『ベスト』はセフィロトに被害を出さない事、だ。
 だが、クリストの得手は『そんなの関係なくトカゲ共を落としまくる事』であった。
「ヤメヤメ! クラリスchangの甘いプランなんかに付き合えますかって!」
 首をゴキゴキと鳴らしたクリストの纏う気配がガラリと変わった。
「こっからは俺の――俺様のShooting Game。
 覚悟しとけよ、トカゲちゃん! これまでみたく優しくしねーぜ、出来ねーぜ? Are You OK?」
 噴き出す彼本来の『出力』と獰猛な知性はもう遠慮をしないだろう。

 ――Show Timeだぜ! Babyちゃん達!


※クリストが『本気』になりセフィロト攻略に出る竜達を攻め始めています……

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