PandoraPartyProject

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覇竜領域『亜竜集落フリアノン』

「お忙しい中、ご足労頂き有り難うございます。道中、迷うことはありませんでしたか?」
 ラサ傭兵商会連合はその国土の大半が砂漠地帯である。点在するオアシスに街を構え、商人達のキャラバンの往来の賑わいを感じさせる主要な街道を逸れ、南方へ下った『砂漠の幻想種』の集落でイルナス・フィンナ(p3n000169)はイレギュラーズの到着を待っていた。
「……少し、遠かったね」
 ラサの主要拠点であるネフェルストからは随分と距離があった。イヴ・ファルベ(p3n000206)は慣れぬ道中で見かけたパカダクラや砂漠生物をイレギュラーズ達を見ることを楽しみにしていたのだという。
「疲れましたか?」
「ううん、楽しかった。それで、イルナスから大事な話があるんでしょう?」
 イヴの問いかけにイルナスはこくりと頷いた。
「皆さんをお呼びした理由は――……この様な僻地ですので、想像は付いているかも知れませんね。
 覇竜領域デザストルに通じているという竜骨の道を皆さんが発見したのは、練達の『R.O.O』での事でしたか。
 現実世界でもその道を辿る為に竜信仰の一族の住まう里との親交を進めてきました。ええ、覇竜領域の到達は商機でありながら冒険者ならば誰もの夢でしょう?」
 微笑んだイルナスが差し出したのは獣の皮を乾燥させた筆記用の材料――紙を思わせる其れは羊皮紙にも似通った材質だ――であった。
 竜信仰の者達の住まう集落『クスィラスィア』
 彼らの里は幾重もの幻影に覆い隠され、安易に立ち入ることを許さぬ土地であった。
 覇竜領域――その『亜竜種』達が住まう集落へと直接繋がった道である竜骨の道の使用に関してイルナスと族長『スィアリェア』の間で講話を続けてきたそうだ。
「漸く族長殿から立ち入りの許可が下りたという連絡がありました。
 先遣隊を構成して……と思ったのですが、どうやら先方は『滅海竜リヴァイアサン』を封印した者に興味があるようで……」
 少数での往来を求めたスィアリェアに「構わない、寧ろ来たいだけ来れば良い。あとで雑用仕事を押し付けられる覚悟も屹度あるだろう」と返事が返ってきたそうだ。
「まずはクスィラスィアに向かい、竜骨の道を辿ってから亜竜種達の集落へと赴きましょう。
 竜骨の道は巨竜フリアノンの尾が地中に埋まり出来たものだと言い伝えられています。道を辿った先に存在する集落の名も『フリアノン』と……」
 訳知り顔のイレギュラーズを見遣ってからイルナスはR.O.Oでもフリアノンは存在したのだと合点の言ったように頷いた。
 フリアノンと呼ばれた集落には『珱・琉珂』と名乗った亜竜姫が住まうていた。集落を治めていたのは竜王ベルゼーであったが、スィアリェアの話を聞く限り里の統治は琉珂と里の者が代わり代わりに行っているらしい。
 現実とR.O.Oでも細かな違いは存在すると言うことだろう。
「琉珂嬢から我々に齎されたのはフリアノンと、そして近隣の集落への立ち入り許可です。
 地竜とあだ名された亜竜種達が洞穴に集落を作ったとされるペイト。
 ピュニシオンの森と呼ばれる深き森の近くに存在する地底湖周辺に集落を築いた水竜が始祖であるとされた集落、ウェスタ。
 この三拠点での活動を行いましょう。亜竜種達との交流から覇竜領域での活動の足掛かりになる可能性もありますしね」
「その三つにおでかけ、できるんだね。……戦うのは?」
「無用な戦闘は避けるように、と。集落外での探索も気にはなるでしょうが今は控えて欲しいそうですよ」  危ないから? と問うたイヴにイルナスは頷く。
「彼らも客人をトラブルに巻込みたくはないでしょうから」
 出来るだけ『彼らと新たな親交を深めたい者』としての行動を心掛けて欲しいとイルナスは告げた。
 イヴが楽しみだと身を揺らすその傍らで、イルナスはスィアリェアから届いた手紙に添えられていた言葉をまじまじと眺める。

 ――琉珂姫様が『怪竜』ジャバーウォックの到来を大層心配されておりました。

 ジャバーウォックと呼ばれた『竜』は嘗て練達で観測されたそうだ。それ以来、セフィロトでは生体反応を確認していたが此度の騒動でそのチェックがロストしたとも聞いている。
 観測域から離れたのか、それともやむを得ない事態で観測が不可能になったのかは分からない。
「……さて、あれだけの騒動があった練達にジャバーウォックが攻め入るなんて事がなければいいですが。
 勿論、このラサとて覇竜領域には程近い。竜種の襲来など、堪った物ではありません」
 イルナスは肩を竦めてから、クスィラスィアへと案内しましょうとイレギュラーズを誘った。

 ※『覇竜領域デザストル』に存在する亜竜種の集落への立ち入りが許可されました――

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