PandoraPartyProject

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ぼくときみのハッピーエンドロール

 イデアとエイス。この二人を巡る物語を追うことは難しい。
 あまりにも複雑に入り組んだ想いと想いの糸たちは、時に互いを阻み、時に共感し、時に手を取り合って巨大な物語を紡いできた。
 そしてだからこそ、この一言で物語を一度、閉幕とするべきだろう。
「おまたせ、みんな!」

 二人の少年少女を助け出す物語。悪の組織の陰謀を打ち砕く物語。世界の破滅を阻止する物語。はたまた、守ると決めたただ一人を守り抜く物語。
 それらの決着はつき、世界の空は晴れ渡った。
 ハッピーエンドのエンドロールが流れるであろう、そんな瞬間である。
 だが、それはまだ許されない。
 平和となった伝承王国公園の噴水前で、二人とイレギュラーズたち再会し、そして『これから』の話をしていた。
「この世界を破壊し尽くし、消し去ろうとしている存在がある。姉ヶ崎-CCCと意識的な繋がりをもっていた間、それを感じていたんだ」
 学生服に形だけの剣を携えた少年イデア。彼の言葉に、女学生の制服を着た少女エイスも頷いた。
「元々、姉ヶ崎ちゃんはHades(クリスト)に協力する存在だったの。姉ヶ崎ちゃんは高い演算能力によって生かされ、Hadesは彼女の干渉によってゲームを進行する。その最終目的はマザー(クラリス)にとって最悪の負担になっている『ROO』を壊し、負担を取り除くこと。
 存在するだけでデータを破壊してしまう彼女の性質は、これまでかなりの助けになったはず」
 世界をまるごと壊して、イデアとエイスという魂なき器だけを残して、自分と『理想のお兄ちゃん』ふたりだけの世界を演算させること。それが姉ヶ崎の目指す未来であった。
 けれど、イレギュラーズたちの想いと願い、そして奇跡とも言える活躍によってイデアとエイスは独立した個として新規に切り離され、姉ヶ崎の手の届くものではなくなってしまった。
「こうなれば、姉ヶ崎はこの世界を破壊するという第二のタスクを完了させようとする筈だ。
 『模倣された原罪』イノリと共に……」
 イデアは拳を握りしめる
「そんなことは、許さない。この世界は確かに、混沌世界からみれば仮想の世界かもしれない。
 けれど俺と皆が紡いできた物語は、思い出は、そして想いと絆は、『本物』なんだ」
 握りしめた拳を突き出し、そして決意のまなざしであなたを見た。
「俺たちも戦う。一緒に、この世界を守ってくれ!」

 ※終焉獣たちとの戦いにイデアや協力者たちが参戦する模様です!

破滅を賭けたラストチャンス

 姉ヶ崎ーCCCというデータが生まれたのは、電子の海の中だった。
 マザー(クラリス)の演算能力を僅かに用いて行われた『イデアの棺実験』。ウォーカーたちの出身世界を仮想世界上に作りだしデータを収集するという実験の中で紛れ込んだ、いわば『存在しないはずのデータ』であった。
 しかし彼女の存在そのものが実験データを破壊し、ついには担当研究員の意識にまで干渉し、彼女はついに『新世界(ROO)』を発見したのだった。

 鮮明になる意識。新鮮な肉体感覚。その中で芽生えた、『存在しないはずの記憶』たち。
 姉ヶ崎は魂の底から、自らを結実させる『それ』を求めた。
 記憶の中にある、理想のお兄ちゃんを実現させ、組み立て、世界ごと演算して一緒に永遠に暮らす。そうすることでやっと、自分は自分になれるのだと考えた。
「私まだ、何もできてない」
 ROOネクスト世界の裏側よりはじき出され、形なきデータの海の中を漂いながら、姉ヶ崎-CCCはおぼろげに光へ手を伸ばした。
 Hades(クリスト)の求めた、『妹のために』という願い。
 イノリ(原罪)の求めた、『世界の破滅』という願い。
 自分が自分になるために必要な彼らの助けになることが、今は何よりも『自分のため』になる筈だった。
 確証すらもうまくつかめないまま、姉ヶ崎-CCCはHades(クリスト)より貸与された演算領域を用いて自らのデータを再構築しはじめた。
「壊さなきゃ、世界を。壊さなきゃ……私が、私になるために」
 そうして彼女――『絶対破壊存在』姉ヶ崎-CCCは、セフィロトネットワーク内に顕現した。

 ※『絶対破壊存在』姉ヶ崎-CCCがネットワーク内に出現しました! セキュリティロボットたちへのハッキングが急速に進行しています!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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