PandoraPartyProject

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トレース

 巨大な歯車がゆっくりと回転し、空に向けて白い蒸気が吹き上がる。
 ここは鋼鉄帝国の首都スチール・グラード。その中心にて現在修理中のギアバジリカ内。
 アスナ・トロージは箱形ディスプレイをにらみ付けながら、手元のキーボードを高速でタイプしていた。
 黒い画面にグリーンの文字列が流れていく。
 その隣で、奇妙に巨大なアンテナを立てたホランド・ホットベアがプラグを機材へと差し込んでいく。
「お、きたきた……」
 アスナがぺろりと上唇をなめるのを、リアム・クラークは憮然とした表情で見た。
「それで本当にイルミナを追跡できるんだろうな」
「できます。……っていうか、わたしが追跡するのはあくまでシュピーゲルだよ。あの子に搭載してる装備をアレコレして、漠然とだけど現在位置を割り出せるってワケ」
「なるほど、完全に理解したぜ……」
 椅子に座ってどっしりと腕組みしていたジェイビー・コクーンがキリッと不敵な笑みを浮かべた。
 その横でアンテナの角度を調節したりボルトをしめなおしたりしているホランドが『これ、何も分かってない時の反応だけど付き合ってあげてくださいね』と仲間に小声で伝えていた。
 そんなやりとりが、ぴたりととまる。
 画面に表示されたマーカーが点滅をはじめたからだ。
「見つけた!」
「「みせろ!!」」
 両サイドからぎゅっとサンドする形でリアムとジェイビーが割り込み、それをアスナはぐいっと押しのけた。
「首都郊外……南部からですね。ん、ちょっとまって? この位置って……」
 振り返ると、ミミサキ(p3x009818)がいた。いたっていうか、椅子に座って雑誌をぱらぱらめくっていた。
 ふと顔をあげ、自分が思いきり注目されていることに気付いて二度見する。
 そして画面のマップに視線を移してから……。
「ああ、それギアブルグの現在位置っスね」
 マーカーは、点滅しながら急速に、スチール・グラードへと接近していた。

 ――ザーバ軍閥のギアブルグがスチール・グラードへ急速に接近しています!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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