PandoraPartyProject

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ナグルファルの糸先

ナグルファルの糸先

 王都メフ・メフィート。
 今日も賑やかなる喧騒が王都の街を包んでいる――が。
「皆様のご活躍により無辜なる民が守られました……厚くお礼申し上げます」
 その平穏は彼らの活躍あってこそだと『花の騎士』シャルロッテ・ド・レーヌ(p3n000072)は語る。
 大奴隷市から始まった一連の事件……リーグルの唄とも呼称される、幻想を覆う事件。かつて幻想が幻想王国として成立する前に豪族として存在し、巨人と化したが故に封印された『イミルの民』らが関わっているとされ――更にはその影に幻想貴族の『ミーミルンド家』の暗躍も疑われていた。
 されど絶対的な確証はなかった。
 のらりくらりと現当主であるベルナールは追及を躱せる程に――だが。
「しかし度重なるこちら側の妨害に業を煮やしたのか知りませんが……ミーミルンド派の貴族を捕まえる事に成功しましたしね」
「バランツ領を毒に塗れさせようとしていた毒素の魔物も倒せましためぇ! まったく、一歩間違えればどんな被害が出ていたか分かりませんでしためぇ……!」
 この度、ミールミンド派の怪しき動きを感知できたのだ。そして各地に出向いたイレギュラーズがいた――その一人は、ミールミンド派閥の領土であるドン川へと赴いたヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)だ。
 彼女は、周囲の生活の為の水源にもなっている川に毒を流そうとしていた貴族フィフ・メントースを捕縛。一方で領主の逃げ去ったバランツ領、カランの街へも毒素がまかれるという事件があり、その原因であった魔物はメーコ・メープル(p3p008206)らによって討伐された。
 いずれの地域で発生した事例も――大量の死を生み出そうとした行為。
 それは死の神と崇められるイミルの民の長『フレイス・ネフィラ』の力を強めようとしていたのだろう。それに、決定的な繋がりとして……
「ミーミルンドお抱えの呪術師オサレスは『その名前』を直に出していたわ――
 アレから言質を取り出せば、決定的でしょう」
 イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は廃鉱山アーサランドにて病(のろい)のまじないを成立させんとしていた呪術師オサレスの捕縛に成功していた。オサレスはなんでもイミル氏族の血筋だと自称しているとか。
 そんな者がミーミルンド家にいる時点で、イミルの民との密約があったと見るは当然だ。
 仮にこの上で何か言い訳の如き言を弄そうとしても、そもそも自領土への毒などの虐殺を行おうとした者を一体どこの誰が認めるものか。ミーミルンド排斥の動きには十分だ。先述した貴族フィフ、オサレスの口もいずれ正式に割られよう。
「ミーミルンド卿はまず貴族の地位を廃されましょう。
 彼に連なる者達も同様に処分を受けるかと……幻想に混乱を巻き起こした所の騒ぎではありませんからね」
 いずれにせよタダで済むことはないと――やがて始まるのはミールミンド討伐劇か。
 巨人などの戦力を有するイミルの民も敵とあらば簡単に鎮圧とはいかないだろうが……ミールミンドには掲げられるような大儀も何も無い。幻想軍に加えてイレギュラーズの助力もあるとすれば、どうやらこの事件の終わりも近そうだ。

「……だけど、アンジェロ君が……どこかに」

 しかし。タイム(p3p007854)には思い煩う事があった――
 それは行方の知れぬアンジェロ・ラフィリアという少年だ。彼はミーミルンド男爵家に縁のあった『奴隷』であり、大奴隷市の騒ぎにも巻き込まれた……が、イレギュラーズに救われ再び男爵家に戻っていたのだ。
 されど彼は只の奴隷という訳ではない。
 彼は、両親から自らの事を『尊き血族』の一人であると伝えられていたらしく。
 古廟スラン・ロウの封印を――解く事が出来たというのだ。
 それが一体『何』を意味するのか。
 ……結局、彼の身柄は紆余曲折の末レヴォン・フィンケルスタインと言う貴族に連れ去られた。その者もまた領土に大量の死を齎そうとしていて――それ自体はタイムらが向かい阻止されたのだ、が。
「……聞いた話ですとなんでも『レアンカルナシオン』なる組織の下に連れていかれたとか……?」
「本当かどうかは今の所分からない、けど、捕縛した護衛達からは……」
 その単語が確かに出たのだとシャルロッテにタイムは紡ぐ。
 レアンカルナシオン。旅人を付け狙う組織――
 奴らの下へ連れて行った? 何故? どうして?
 やはり彼が――『尊き血族』であるから――?
「こちらでも現在、真実か否か調査中です……分かり次第すぐにお伝えしますね」
 祈る様に。両の指を堅く握るタイムへ、花の騎士は言葉を繋げば。
「――いずれにせよ、ミーミルンド一派への攻撃は最早秒読みの段階となっています。一連の事件の矢面に立たれている遊楽伯爵と協議中ですが……準備が整い次第、皆さまの力をお借りする事になるかと」
 再び皆へと視線を巡らせる。
 確証は十分。となれば後は雌雄を決すのみ。
 敵は愚かなる願いを抱いたミーミルンド卿と……過去より現在に追いついたイミルの民達。

 未来を手にする為の戦いが、そう遠くない事を――誰もが感じていた。

これまでのリーグルの唄(幻想編) / 再現性東京 / R.O.O

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