PandoraPartyProject

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希望ヶ浜テレビジョン8ch 台風情報

 ――それでは明日の天気です。台風14号は現在、近畿地方に――

 スクリーンに映し出された『自分』の姿を見て普久原 ・ほむら(p3n000159)はこれでもかという程に「おげえ」と『おじさん』の様な声を発した。否、彼女は外見こそ美少女ではあるが内面はいたって健全な『おじさん』なのだからある意味この反応は正解なのかもしれない。
「どうしました?」
「……」
 首を振る。隣で台風に関する調査を行っている音呂木・ひよの(p3n000167)は「そうですか」とだけ返してaPhoneへ視線を落とした。
 気付いていない。
 いや、あのニュースの画面、絶対に自分とひよのの脚だ。
 誰だ、あんなアングルで撮っている奴は。そういう夜妖か、それとも変質者の類いか。こんなおじさんで良いのか。
 ほむらの頭の中には様々な言葉が浮かんだが「えへぇ」と言う情けない作り笑いしか浮かんでこなかった。
「ほむら?」
「え、えへぇ……」
「何ですか、その下手な作り笑い。台風、本当に来そうですね……」
「う、うん……」
「おかしいと思いません? そもそも、希望ヶ浜って再現性東京の一区画なので台風なんて起らない筈なんですよね。
 起ってるなら海洋王国だって大騒ぎですし、普通に練達の中心部、セフィロトだって台風だ何だ騒ぎません? 自然現象なので絶対に起らないとは言いませんけど」
「うん……」
「と言うことは夜妖である可能性が高いのです。一先ず、校長には『体育祭は11月に延期』して台風と思わしき夜妖を倒した方が良いと進言しました」
「そ、そうなんだ……」
「体育祭が嫌だから夜妖を生み出す奴には私がビンタ食らわせたいくらいですよ。ほむらもそう思いません?」
「……」
 ほむらは何も言えなかった。寧ろ自分も『陽キャの祭りとか出たくないわ~。サボりて~』と思っていたからだ。
「……あ、あの、音呂――ひ、ひよのちゃん」
「はい?」
「き、機嫌悪いね……?」
「ほむらも顔色悪いですよ。私、低気圧駄目なんですよ。頭痛いし、もう辛くって。だから台風の夜妖なんか胸くそ悪すぎて苛立ってます」
「……そ、そうなんだ……」
「台風はさっさと殺しましょう」
「………」
 ほむらはまたも何も言えなかった。自分のせいかもしれないなんて言えばひよのに殺される。
 それから――あのテレビ、まだ脚を映してるんだけど、どうしてなんだろう……?


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