PandoraPartyProject

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ゼノポルタ

ゼノポルタ

 カムイグラ――此岸ノ辺
 美しく咲き誇る倶蘭荼華が印象的なその場所は鬱蒼と茂る草木で外界とは隔絶された場所の様に感じられた。

 旧くより、黄泉津の神々はその身に纏わり着く俗世の穢れをこの地で落とすと言われて居る。それ故に、人は余り訪れぬ場所なのであろうが、鬼人種(ゼノポルタ)の青年、建葉・晴明を始めとする『特異運命座標となっていた者』達にとっては馴染み深い場所だったのであろう。
 其れも、ローレットが到達するまでの『召喚』は全てがこの地で行われ――現在は『縁が結ばれた』事で、空中庭園へと召喚されると言う――此岸ノ辺で自身の中に稀有なる力が、可能性が芽吹く感覚を感じた者達にとっては神奈備(禁足地)などではなく、ある種の拠点となって居たのだろう。
 特異運命座標達が所属するローレットにとっても此れからはよく利用する場所になる。空中神殿が『黄泉津の存在を認識した』今、混沌世界の幻想王国を始めとする拠点となる大陸から黄泉津へと訪れるにはざんげの存在する庭園のワープを使用することが最短ルートとなった。
 ユリーカ等の一部の情報屋はイレギュラーズではないために長い船旅を経て、黄泉津へ向かわないといけないが……イレギュラーズ達にとってはその必要がないという事だ。
 晴明がこの地でイレギュラーズの話を聞きたいと言ったのは多数の仲間たちにも『共闘相手』について知って欲しいと願ったからだ。
 彼は『けがれの巫女』つづりと共に特異運命座標の語る冒険譚やギルド・ローレットでの活動について――そして、『魔種』についての説明を受けた。

 その交流会が終了したのちに、つづりはぽつり、と晴明を呼んだ。
「セイメイ」
 ――つづりは晴明をそう綽名した。それも旅人であるという帝が揶揄い半分で付けた綽名だそうだ。
「……あの人たちは、良い人、だよ」
「ああ。様々な思想を抱えた者達や、様々な種が共存し合う。それを許すローレットと言う土壌は、正しくこれからのカムイグラに欲しいものだと……改めて実感したのだ。
 つづり、俺が前にお前に言ったことを覚えているか」
 晴明のその言葉につづりはゆっくりと頷いた。長い付き合いとなってきた彼は、時折夢見がちな事を言うのだ。つづりの片割――『そそぎ』と言う名の双子の妹はよく小馬鹿にするものだが、つづりは彼の夢を聞く事は嫌いではない。
「この黄泉津に『あの海』を超えてやって来るものが来たならば、俺は彼らに『賭ける』と。
 巫女姫が、そして天香が『魔種』と呼ばれる存在であると再認識した以上、そして、彼らが求める外つ国との外交の為にも京の闇を晴らさねばならない。
 ……彼らであればできる。そして、俺達のこの身に存在する稀有なる力の使い方は彼らとならば知ることが出来る筈だ」
「セイメイは頭が固いから、私が何を言っても曲げない」
 つづりは「だから、好きにしていいと思う」と言った。巫女たる彼女とてイレギュラーズに悪感情を抱かなかった。
 父代わりであり、兄代わりであった『霞帝』が醒めぬ眠りに捕らわれた時、外よりやって来る異邦の者に惧れ怯えた事は嘘ではない。だが、緊張解そうとする者や、友好関係を築かんとするイレギュラーズと触れ合った今、その感情を前面に押し出すことをつづりはしなかった。
「そそぎとカラカサ様がどういうかは、分からない……けど、私もセイメイ達、黄泉津の神使は、ローレットに所属するべきだと思った。
 その力は、放っておいて良いものじゃ、ないよ。帝様の事もあの人たちとなら、救えると思うから……セイメイも、そう思った……でしょう?」
「ああ。志を共にする同胞へとすぐに声を掛けよう。我らがこの力は――可能性と呼ぶらしい。
 未来を切り開く可能性。神をも堕とす絶対的な力と変えて……この京の闇を払い、お前とそそぎにも新たな世界を見せてやりたい」
 兄のように共に過ごした晴明のその言葉につづりは小さく笑った。きっと、彼らとなら『新しい世界』でも『楽しい日常』でも、得られるはずだから。
 ……高天京の、カムイグラの、大いなる闇だって、晴らせるはずなのだから。

 ――そう、夢見ずには居られない。


 ※カムイグラ:新種族『ゼノポルタ』が追加されました!
 ※カムイグラ:期間限定クエスト『神威神楽・妖討滅』が開始されています! 7/15終了予定です!
 ※カムイグラ:カムイグラでは夏祭りのお話が出ているようです……?

 ※妖精郷:ストーリー関連クエスト『迷宮踏破ヘイムダル・リオン』が開始されています!

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