PandoraPartyProject
第七話:せめて戦争らしく、ときに乙女のように
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_bg/24150/8ec959b57278128ac65607f07812f0fd.png)
宇宙は人を孤独にする。
無限の暗黒が、遠すぎる光が、人の心を渇かすのだ。
そしてここにも、心の渇いた者たちがあった。
「第三ブロック損壊、もう持ちません!」
「E48から77までのシャッターを閉鎖。ダメージコントロール急げ!」
「推進を維持できなくなりますよ……!」
「我々の命より大事なものか!」
荒れ狂うデッキ。それも無理からぬことだ。
地球およびコロニー国家からの独立を宣言し、地球を自らの正当なる領土であると主張し侵略戦争をしかけた宇宙貧に――いや宇宙標準帝国軍。
対して各コロニー国家に対し軍事力による平和を維持していた地球幻想レガド連邦はこの独立を認めず、両者の間に生まれた亀裂はその日のうちに戦争という形で燃え上がった。
宇宙総力戦。
それはかつて地球という星で行われた世界大戦を越える規模であり、人間の死が数字に、全ての資金が兵器にかわる戦い。お互いを壊しあい、ときには自らをも破壊しながら相手の殲滅と戦争継続能力の喪失を求める争いである。
ゆえに、拮抗した戦力は拮抗した破壊となる。
帝国軍の戦力はフラッグシップ『ビビッドレッドショーツ』一隻のみ。
連邦軍の戦力もまた、フラッグシップ『ピュアホワイトパンツァー』一隻のみ。
お互いの艦はひどく傷つき、もはや航行するのが限界である。
そんな中……。
「お嬢閣下! ご指示を!」
「閣下!」
「うろたえるのはおよしなさい」
マントを払い、リーゼロッテ・アーベントロートは立ち上がった。
「私が出ます」
「「おお……!」」
デッキで立ち上がるクルーたち。
格納庫にもウィンドウが表示され、傷ついて(ついさっきまで水着回してた)パイロットたちにもお嬢の顔と声が届けられた。
「技術班から私の愛機ブルーローゼス……いいえ、それを遙かに超える最強のオートパンツァーが届きました。
私は今から、この力をもって傲慢なる連邦軍に最後の鉄槌をおろします」
あがる歓声、身を乗り出す帝国軍パイロットたち。
「やったー! おぜうサイコー! ついていくよー! いくよイクサガミ!」
「混沌たる脳髄の宴に結末のホイップクリームを撒くのだ! Nyahahahaha!!!」
「月女神(セレネー)・ハルア、どこまでもお供するよ!」
「こんな風に出て行かれたら……一緒にいくしかないよね、イーリン!」
「復活早々またかり出されるとはね。本当、楽じゃない仕事についたものだわ」
「御嬢様……やはりスライムが効いて……」
皆が見守るなか、リーゼロッテはカタパルトへとはいった。
「リーゼロッテ・アーベントロート――『ブルーローゼス・アサルト』、Showdown!!」
――限定クエスト発動! オートパンツァーただちに急行せよ!
――戦闘訓練機Astoriaが解放されました。回せ! ボコれ!