PandoraPartyProject

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オートパンツァー戦闘訓練 VS Astoria

 かつて宇宙に進出し始めた頃の人類が経験した災厄――フォン・ルーベルグ戦役。
 法王立宇宙軍からアストリア級の宇宙戦艦が離脱した事件に始まり、フォン・ルーベルグ星系に大規模な争乱が勃発したのである。
 反乱軍は星銃士を名乗り、司令官モーリー、秘密裏の協力者であるアブレウやテレジア等と共に、新しい貨幣をゲーカと定めるなど専横暴虐の限りを尽くしたと記録されている。

 この戦役による技術革新は当時の常識を大きく塗り替えた。
 膨大なマテリアルサイド(表面宇宙)の質量をアストラルサイド(裏面宇宙)に置換格納することにより従来戦力の七億倍という超高効率化を実現したのだ。
 古文明では付喪神等と呼称され、今日の我々が初等教育中に歴史の教科書で知る事になる、宇宙戦艦に宿る魂を抽出して人型とする『スピリットオーブシステム』――通称ガチャは、この時に誕生した。
 宇宙戦艦アストリアは赤い帽子をかぶったロリババアタイプ(ただしロバではない)の美少女とされ、傍若無人に振る舞う様が人気を博した。
 こうして宇宙駆逐艦カノン級、モーリー級、アストリア級、アルエット級――かなりの間を置き宇宙重巡洋艦アルテナ級、宇宙戦艦ラーシア級、宇宙空母リュミエ級等々。
 多くの宇宙戦艦が次々と擬人化された。不等号『<』には重大な意味があるとされ、すんげえ唸るほどガチャがめたくそ回ったのだ。

 戦乱は大きな変化により新たな局面を迎える事となった。
 当時の記録では巨神とも破壊神とも呼ばれた存在によって、戦局に決定的な変化が生じたとされる。
 スクラッチでは種粒と薬液、銀銅の月にまみれたGSDが、ついにバタピーとウィスキーをやり始めた。
 当日の朝五時にクエスト執筆するという戦いの最終局面において、擬人化宇宙戦艦は次々に宇宙の塵となり、その役目を終えていった。
 人口の過半を課金爆死させたとされる大戦乱はこうして終結したのだった。

 時は移ろい、幾星霜の後――現代。
(『下着様の素粒子』パンデモリウムが発見されて以後を『現代』と呼ぶが、さておき)
 特殊抵抗――えっc……魅力的な装備やクラスほどマイナス値に設定されるという――を半減(!)される程の災厄を乗り越え、だが人類は健在であった。
 はじめから抵抗を下げておけば災厄は恐るるに足らず。勝利の鍵となったのは尊み溢れる強めの幻覚が人類を救うという逆転の発想だった。
 銀河系全体に活動圏を広げた人類は、そうした旧時代の遺物を高度に情報化しアーカイブしていた。
 かつてのスピリットオーブシステムを電子空間上に仮想復元し、その強大な力を持つアバターを宇宙戦闘訓練に用いるようになったのだ。
 つまり今日のアストリア級は電子空間上に再現したものである。
 あくまで擬似的にではあるが、おおよそ戦役時代のスペックを保持しているとされ、訓練相手には『うってつけ』という訳だ。

「くっ、ふざけよってからに! 妾はSSR(Limited)じゃぞ! 血祭りにしてやるのじゃ!」


勝利

 かつての人類悪。
 強欲にまみれた旧時代の遺物。
 今の妾は所詮、その紛い物に過ぎん――

 前を向けイレギュラー。新しき戦乱を集結させうるのは、汝しかおらんのじゃから。

 あ、まて、も、もう破壊されとうない……後生じゃから……

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