PandoraPartyProject
第一話:高機動混沌伝説レリックL
突然だが俺の名前は茂ケ崎・レオン。日本最強の財閥モテガサキ家の長男だ。
PPP学園に転校初日曲がり角で偶然ぶつかったアイツがまさかクラスメイトだなんてな。
おまけに隣に住んでるアイツもクラスメイトで間違って入った更衣室で着替えてたアイツもクラスメイトで偶然再会した幼なじみもクラスメイトで高校に入る際家庭教師をしていたアイツはこの学校の教師だなんてハハッ参ったぜ。
おっと受けておいた学年模試が一位でフィギュアスケート優勝のトロフィーも届いて表彰されるって? オイオイ俺は普通の学園生活が送りたいだけなのになヤレヤレだぜ。
そんな俺をどうやら放っておいてはくれないらしいな。
突如襲いかかる水着回。迫り来る温泉回。避けられぬ看病イベント。待ち受ける花火回。連続するラッキーなスケベイベントに俺は一体どうなっちまうんだ?
新番組――『俺の実力主義学園生活は冴えない青春豚野郎の妹が可愛いわけがないラブコメは絶対間違ってる友達が少ない彼方の恋は下ネタのないアレな件』は毎週金曜深夜2時放送! 絶対見てくれよな!
「――は! 夢か!」
コックピットの中でレオンは目を覚ました。
眼前に広がる大宇宙。いや、大宇宙の風景を映したウィンドウがあった。
スイッチを操作するとコックピットハッチが開き、広い格納庫が見える。
宇宙強襲揚陸艦ピュアホワイトパンツァー。その窓から見える本物の宇宙は何者にも代えがたい巨大な宝石箱だった。
仲間達と共に、俺はついに宇宙へと旅立った。
「帝国軍の野望は……俺たちが止める!」
この宇宙の中で、命の価値はいつも一定だ。
喰う者と喰われる者。そのおこぼれを狙う者。その三者がいるだけに過ぎない。だが命の記憶は別だ。
今亡き戦友達の写った写真はロケットペンダントに入れ、レオンの首に下がっていた。
おかげで今首から下がじゃらっじゃらだが、その一つにイケメンギルオスの笑顔があった。
ペンダントを握りしめ、振り返る。
「皆、今日は記念すべき日かもしれないな。俺たち幻想レガド連邦は帝国軍の宇宙艦隊に一矢報いるチャンスを得た」
巨大なディスプレイに映し出されたのは地球攻略作戦の折に帝国軍の要となった超弩級戦艦ギガントラストであった。
「帝国と連邦の戦いはもはや二者だけの話ではなくなった。
高い航行技術を持つネオフロンティアは両者の派閥に分かれ技術競争が始まり、ラサとゼシュテルは傭兵や兵器提供国としてそれぞれの利益を高めている。中立の立場だったネメシスやファルカウでさえ、友人や家族のためにそれぞれの両軍の派閥に少しずつ分かれ始めているようだ。
戦いが人を別つのか。人が別ってしまうから戦いが起きるのか……。
俺たちは少なくとも、この戦いを終わらせなくてはならない。そうだな!?」
演説を終え、専用機リミットブルーの肩へと飛び乗る。
「さあ、仕事の時間だ! 今回の任務はギガントラストへの突入と破壊。危険な任務だが……生きて帰ろう!」
また、戦いが始まる。
戦いを終えるための戦いが。
――限定クエスト発動! オートパンツァーただちに急行せよ!
――戦闘訓練機Astoriaが解放されました。回せ! ボコれ!