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愛蜜に溺れる
イラストSS
●よる
「もうケッコンしたんだから、いいよね?」
どうしてそんな事を言ってしまったんだろう。
儀式を終え、緩んだ気が思わず無意識の欲望を吐露してしまったのか。
気がつけば私は頭を撫でる、契りを交わした人の手を掴んで自分の胸に押し当てていた。
あの人の大きな指が私の胸元に押し込まれる。指越しにどくん、どくんと自分の心臓が今までにないくらい強い力で脈を打っている。熱い、四肢の先端からお腹の下まで、感じた事のない感覚が鼓動と共に周期的に押し寄せてくる。高まる体温に蒸発した汗が甘い香りを放つのが感じられる。くすぐったい、でもそれ以上に幸福で頭がいっぱいになっちゃう。
隣から緊張で乾いた吐息が聞こえる。ハッピーさんはすっごく緊張してるみたい。わかるよ、顔には出してないけど私もホントはすごく緊張してる。愛し合う人がする行為の手順なんて、わかんないもん。
「あ、あ、あ——」
だーめ。
けど、この手を離しちゃダメだ。そんな直感で私は限界を迎え離れようとしてるあの人の手を取って、胸に押し当てる。観念したのか降参したのか、あのむず痒い感覚がまたぐにぐにとやってくる。あの人が言ったもん、最初は初めて会った私の姿と同じことしてから、って。あのプロポーズの後じゃなかったら、冷静に止まれたかもしれないけど。もう手遅れだった。
あの人の指が私とハッピーさんの大きさを比べる様に交互に動く。その初々しい様子に、私の中で熱い感覚が昇ってくる。
愛したい。
悪戯と好奇心だけで出来てたのにあの人は私を、ハッピーさんを愛してしまった。永遠の孤独を共に分かち合える長命の種族を求めてしまった。距離を置いて見守りたかったのに、私もあの人に捕まってしまった。
愛に溺れたらいけないよ、ニンフになってしまうから——
自分の中のソレを否定しようとしてもあの人は捕まえる、舌を絡め合う、激しい愛の口付けをされて仕舞えばもう止まれない。体が熱い、『変わりもの』の妖精の心臓はもう止まらない。送り出す血は蜜に、蜜は本心を曝け出す毒に。
ハッピーさんと同じ様にキスをするあの人を前に、私は初めて自分からソレになりたいと願った。今までは受け身だったけど。自分の意思で子供から大人に、子供を作れる身体、あの人と身長も近く、40cmのえっちでおっぱいの大きなドリアードに。禁止されてたけど、もう十分胸揉んだしいいよ、ね。
「えへへ、もっとー♪」
ああ、サイズ。謝らなくちゃいけない。
私はニンフになったけど、カラダだけだったんだ。
キミを夫にしてあげたけど、何も知っちゃいなかった。
知らなかったんだ、オトコノコの欲求がこんなに激しいなんて。
愛する人に抱かれたニンフの躰が、こんなに気持ちいいなんて。
ああ、ハッピーさん、ごめんなさい。私にもうあの人の衝動は止められない——
※SS担当者:塩魔法使い
挿絵情報
- SS『12月25日、』