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しょこぱ!2022!in練達ナイトプール!

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 イーリンがギルドマスターの文化保存ギルドのシャイネンナハトパーティーというのは、定期開催というわけではないものの。
「ふむ、参ったわね。これじゃあそこそこの規模で開催できちゃうじゃないの」
 参加希望メンバーの名前がかかれた用紙を数えたイーリンはひとりごちる。
 今年は参加のメンバーも多いため、ちょっぴり奮発してみたりしてみようか。とはいえ、勿論予算オーバーのない範囲で。けれどコネの多そうな天下の特異運命座標ならどうにかなってしまったりするのかもしれない。
 柔らかくなった混沌の地図を広げ、あーでもないこーでもないと観光マップを広げたイーリンは、閃いた。



「と、いうことで。今年はなんとあのシレンツィオリゾートの屋内ナイトプール……ってつもりなんだけど、どうかしら?」
 別に期待をしていなかったわけではなかろうが、かといって期待しすぎたってあとで肩を落とすのは自分なのだ。書庫でもみの木を飾って雑談して、でも勿論楽しいし。つまるところそんな普通のパーティーでもよかった。
 だけどちょっとくらいネジが飛んでいたほうが面白いこともある。それが今回で。深夜テンションで予約の連絡を入れたイーリンに抜かりはなかった。
「で、返事は? 反応がないならいつも通り書庫でもいいと思うのだけど」
 あんまりにも唖然とされるものだからもしかしたらしくじったかも、なんてやや内心不安にもなるのだけれど。そんな不安はいとも容易く払拭されるのだ。
「行く!!」
 声をあげたのはフラーゴラ。だいだいはアトのことでしか大声を出さない彼女が声をあげた。
 勿論他のメンバーが反対していたわけもなく。こうして文化保存ギルドの面々はようやく落ち着きを見せたシレンツィオリゾートでのシャイネンナハトパーティを決行することになったのである。

「にしても随分と豪勢なところに案内されちゃったわね、特異運命座標パワーってやつかしら!」
「うおっと?! なんだ、もう酔ってるんじゃないかい?」
「なによ、たまにはにこにこしてたって良いでしょう? それにこんな弱いのじゃアルコールなんか回りやしないわ」
「ま、それもそうだね。ってちょっと、それ僕のグラスなんだけど! やっぱり酔ってるんじゃないか!」
「酔ってないって言ってるでしょ!」
 浮き輪に揺られていたメリッカを揺らして、珍しく満面の笑みを浮かべるイーリン。
「あの馬の骨が笑っちまう気持ちも解る気がするぜ。いやぁ肉が旨いのなんのって」
「こんなにネオンガンガンなんですもん、拙には少し眩しいくらいです。皆、元気ですねぇ」
「若いのがそんなこと言ってちゃ世話ねえなあ。まだ肉のあまりはあるぜ、食うか?」
「こっちにアイスクリームもあるぞ?」
「ちょ、そんなに食べ物を持ってこられても……むぐぐ?!」
「お、ナイスだリースヒース」
「だろう。こんなにあっては私一人では食べきれないからな」
 スペアリブをかじっていたバクルドははしゃぐイーリンに目を細め。腰掛けていたリースヒースはアイスを眺める。
 羨ましそうにぼやいたステラをからかいついでにアイスでもてなして。
「うん。いいね、いいね。やっぱりフロアにはこういうガンガンの音楽を流すものだって相場だよね」
 水着の面々が多いなかひとりダボシャツにヘッドセットのアトはターンテーブルを回す。DJブースによって齎される音楽に、フラーゴラやウルズのテンションも上がっていく。
「ダンシング アット シャイネンナハト……! フゥー……↑」
「自慢のステップ見せちゃうっすよー、あたしのビートについてこいっす!」
「いいねぇ、ワタシもアトさんにいいところを見せなくちゃ……!」
 きゃぴきゃぴした声が聞こえるのはなにもプールサイドだけではない様子。
「はぇー…皆、冬だってのに元気でスねー……」
「遊び足りないのでして! ふふーん!」
「お、うさ耳じゃねーの。可愛いじゃん」
「そうでスか? まあ来年は兎がどうこうあるらしいでスし……」
「皆何話してるのー? ミーナ、キャッチして! いっくよー!」
「おい、レイリー?!」
「えいやーっ!」
 フローマットに浮かんでいた美咲、いたずらをしていたルシア、それからぷかぷか浮かんでいたミーナめがけて飛び込んだレイリー。あまりの勢いの良さにざぶん! と大きな波がプールに生まれて。
「ぷは! びっくりしたのでして!」
「とんでもねー波でスね……」
「腕の間に飛び込んでくるな、キャッチ出来ないだろ」
「まったく、じゃあもう一回やるから次はキャッチしてね!」
「そういうことじゃなくてな?!」
「じゃあこういうことなのでして?」
「ああもう、お前らな……!」
 声を荒げるミーナの頭にも揺れるうさ耳。楽しげに笑うルシアの声がこだまする。
 輝く蛍光灯に添えられた重低音のアップビート。イルミネーションよりも眩しい水面は電光色に煌めいて。
 ああ、どうかこの輝かんばかりの夜くらいは。電脈で煌めく偽物でも星屑相応に煌めいたって、いいじゃないか。

 ※SS担当者:染

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