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　お母様は優しいひとだ。
　スラム生まれなのだ、とお母様は僕に教えてくれた。ひとの生まれを重視する世の中ではあるけれど、と付け足して。
「でも、お母様はマナーだってお上手で、歌もダンスも……」
「それはわたしが練習したからに過ぎないのですよ、セアノサス」
　髪を撫でる手は温かい。優しいひとだった。どこまでも可憐で、嫋やかで、儚くて。
　僕はそんなお母様が好きだった。
「セアノサスももうすぐお兄様になりますから、この子を導いて、守ってあげてくださいね」
「はい！　いもうと、ですよね」
「ええ。もうすぐお兄様に会えるのを楽しみにしている筈よ」

　――ある日のグラヨール家の一幕。

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• 人物：星穹の関係者 作者：雀居盟士 6 このイラストのページ 納品日：2022-04-26