PandoraPartyProject

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夜帳に謳う

登場人物一覧

星穹(p3p008330)
約束の瓊盾
星穹の関係者
→ イラスト

名前:ジャスミン
種族:魔種(飛行種)
性別:女性
年齢:unknown
一人称:私、わたし
二人称:貴方、~さん
口調:です、ます、ですか?
特徴:元サヨナキドリの飛行種、二児の母、美しい歌声を持ち、体には無数の傷痕がある
設定:
 幻想王国のスラム育ち。貴族達の秘密の酒場にて謳っていた只の女。夜に歌う小夜鳴鳥。
 その美しい歌声は貴族達に愛され、マツリカという源氏名と共に遠くまで知り渡っていた。宵色の美しい女は酒場にて一人の男と恋に落ちた。
 天義よりやってきた聖職者の男、ブーゲンビリア・グラヨールと大恋愛を経て結婚。貴族との玉の輿だと囃し立てられたが其処にあったのは純愛だった。
 セアノサスとセラスチュームという二人の子供を授かった。順風満帆な生活、その出自からは想像できない幸福がそこには確かに存在していただろう。

 聖職者である責務、そして曰く付きの品を『浄化』し神の元に返すという生業であったグラヨール家はある日、不正義たる聖遺物の回収を行なったという。
 もしも時が戻せるならば「それに触れてはなりません」と彼女は告げる事だろう。
 品を回収したその日よりジャスミンの愛した夫、ブーゲンビリア・グラヨールは狂ってしまった。
「ジャスミン、この聖遺物は『手にした者を全て赦されざる悪』に変えて仕舞うのだそうだ」
 その言葉の通り、夫は呼び声に身を委ねたのだろう。帰る場所のないジャスミンは日に日にエスカレートしていく暴力と罵詈雑言に心を壊した。
 愛しいブーゲンビリアを傷付けることも出来ず、耐え忍ぶ日々に終着点が訪れたのは彼の手が幼い娘に伸ばされた時だっただろう。
 神経衰弱状態のジャスミンは信用できる相手であると『ロイブラック』に幼い兄妹を預け、夫と心中することを決意した。

 愛しいその人と始めて出会ったその日と同じ化粧とドレスを身に着けた。
 初めて食事をした日と同じメニューを用意し、毒を含ませた。最期の口づけを交して愛するが儘に死に至る筈――だった。
 女は死にきれず、男の呼ぶ声に応えた。
 唯一、後悔が残るとするならば幼い兄妹の事だった。
 愛しい子供達の将来を見ることの出来ない悲しみを抱きながらジャスミンはブーゲンビリアの傍で歌い続ける。

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