イラストSS

　シラス(p3p004421)とサンディ・カルタ(p3p000438)がミニスカサンタさんのコスプレをして立たされていた。
　夜景やビーチのカキワリ背景の前でサンタ帽子やバニー耳をたれさせ、カメラによる連続シャッター音とフラッシュを浴びていた。
「……どうしてこんなことに……」
「……難易度のわりに額の良い依頼だと思ったんだ……」
　目をそらそうとする二人に、カメラマンの仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が厳しい女教師みたいなあの尖った眼鏡をかけて足を踏みならした。タァンという鋭い音が響き、サンディとシラスの肩をびくりとふるわせる。
「カメラにはスマイルをよぉ、向けるんだよぉ。……返したいんだろぉ？　借金を、よぉ……？」
　これ誰だと思う？　女王借金取りロールを楽しんでる汰磨羈。
「笑えよォ……欲しいんだろォ？　コレがぁ」
　札束（オモチャ）をぱたぱたしながらニヤァって笑うと、涙目になりながら笑顔を作るシラスのスカートにお札ねじ込もうとしていた。
「遊び方がディープすぎない……？」
　カクテルパーティーに着てくるような上品な赤いドレスを着たリウィルディア＝エスカ＝ノルン(p3p006761)が、あははと苦笑して振り返る。
「ま、いつもは撮影される側なわけだし。たまには良いんじゃない？」
　リア・クォーツ(p3p004937)はなぜか堂々と腕組みしていたが、『エロサンタシスター服』とかいう売ってる店すら限定されてそうな服装をバッチリ着こなしていた。
　『ぐわーもうやめろー』と叫んで逃げ出そうとするサンディや、謎の残像ダッシュで回り込む汰磨羈や、それをみて苦笑しているリウィルディア。
　彼らを前に止めるでも割り込むでもなくリアが腕組み姿勢で見ているだけなのは、もちろん理由があった。
（いい旋律……過去もしがらみも取り払って、幸せな日常を自分達なりに楽しんでる）
　チリリとはしるこめかみへの痛みも、だからリアは飲み込めた。
「さ、遊んでないで撮影いくわよ」
　ぱちぱちと手を叩くリア。
　リウィルディアははーいと言って本番撮影用の背景の前にやってきた。
　種類も様々なサンタクロース風の衣装が、綺麗に並ぶ。
　集まった10人の男女は、カメラマンの合図にあわせて『せーの』でジャンプした。

　子供達に夢を。
　パパとママに安らぎを。
　今宵も平和でありますようにと、願いを込めて。

　パシャリというシャッターの音が、聖なる夜に心地よく響いた。

　――担当GM：黒筆墨汁