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温もりに絆されて
温もりに絆されて
イラストSS
薄暗い部屋。壁には酒瓶などが並べられ、部屋の角には飾り付けられたツリー。
ここはシキの住居である振るい酒場である。
天井から下げられた小さなランプの灯りが部屋の中を温もりのある光で照らし出している。
「全く……」
そのような部屋で小さく呟いたのはヴァイオレットだ。視線の先にはアクアマリンの瞳を閉じ、規則的な寝息をたてているシキが居る。その腕には厚めの本が抱えられており、読み疲れて眠ってしまったことが伺い知れる。
しかしいくら屋内とはいえ、この時期にソファで寝落ちてしまうのはいささか
「風邪を引いても知りませんよ」
誰に聞かせるでもない、たしなめるような言葉。しかしその声色には優しさだけが浮かび、言葉とは裏腹にヴァイオレットが手にしているのは暖かそうな大判の毛布である。
ヴァイオレットはシキを起こさないよう、ゆっくりと静かに毛布をかける。世話を焼くヴァイオレットはその行動や服装も相まって、まるで仲の良い姉妹の姉のよう。しかし実際の年齢ではシキのほうが年上である。
穏やかに眠るシキの寝顔はいつも以上に幼く見えた気がした。
*SS担当者:天野奈々GM