｢あっ、いらっしゃいませ！まずはフロントへどうぞどうぞ！｣ 海洋王国領海の北の外れにある名前もない小島に『人魚がいる』と噂の隠れ宿があった。
場所柄、船乗り達がひとときの憩いを求めて立ち寄ることが多く、海に生きる者にはとても居心地が良い場所である。
現社長も愛船《Tinker Bell》で元気に海賊業をしており、経営は女将が一手に引き受けているそうな。

そんな自由な両親に育てられた跡取りのMeer＝See＝Februarは『大号令を機に見聞を広めるべし』という母の言により幻想へ送り出される。
この分館の名を冠した小さな旅館は、突然決まった初めての遊学を心配した父からの餞別である。
うん、とってもおおらか！

海沿いに建てられているので風向きによっては潮の香りがしたり、全ての客室から海を眺めることができる。
敷地内には一般の通路の他に細い水路が張り巡らされていて、海種やそれに違い種族の人が訪れやすい環境が整えられている。