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寂れた占い師の店

【雑談】ダイニング

エントランスからやや進むと、ヴァイオレットの生活スペースに入り込む。
持ち込まれたであろうカセットコンロや辛うじて生きている水道、意外にも几帳面に整えられた調理器具のあるキッチンに隣接するように、ソファとテーブルが無造作に置かれている。

「なんです?占い以外にも何か用事でもあるので?
はぁ、まぁ聞くだけ聞いてあげても構いませんけど、気の利いた回答が返って来るとはくれぐれも思わないで下さいね。
ワタクシ、人の不幸は大好きですが人自体は嫌いなので。
珈琲を飲み干したら素直に帰る事をお勧めしますよ」

そう言ってヴァイオレットは豆から挽いた珈琲を来客に出す。
砂糖やミルクはご自由に。茶請けのような気の利いたものがあるはずないでしょうとは本人の談。


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……そうじゃろうな。
きっと皆、そう言った。
然れども、姉はきっとそんなこと思うても居らんかったと思う。
いや、寂しいくらいは思って居たかも知れんが。

……考えていることの丈が違い過ぎて、結局我には、何もわからんかった。
我がこの歌遊びを考えるまで、あれは歌しか歌わなんだ。
あれはこの世界の何もかもを見て居らんかった。
ただ歌だけがあって……我が不純物を混ぜ込むまでは、ただ、純粋な歌であった。
……何を言っておるのかわからんじゃろうな。我にもわからん。

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