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待ち惚けの館

【???】アルヴァのベッドの下


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タイトル:『お腹の中で誰かが鳴いた』
ジャンル:微妖艶、夢オチ、残虐


 R.O.Oでアバターの性別設定を間違えてから暫く経った。
 女性としての振舞い方が分からない俺は初期の頃こそ”クソゲー”と嘆いていたが、その思いから産み落とされたアクセスファンタズマのCPU、通称『アルスちゃん』のAIサポートにより、なんとかR.O.Oでのクエストも熟せていた。
 ――筈だった。

「にゃふ、キミって本当におバカさんだよね」
「お前、何を……いや、それ以前にどうやってここに」
 その日、とあるクエストをクリアするためにアルヴァはR.O.O世界にログインしていた。
 彼はいつもの様にアルスへ行動指示を設定し、オート・パイロットモードで彼女に身体を任せていたのだが、気が付いたら何故か彼女が目の前に現れたのである。
「もしかして、ここがキミしか立ち入れない不可侵領域だとでも思ってた?」
 アルヴァがアルスに身体を任せている間、彼の意識は精神世界の中にあった。
 詳しく言えば真っ暗で何もない領域。唯一存在するスクリーンのようなものを介してアルスの視界や聴覚を眺めることができ、アルスが行動指示を完了しオート・パイロットモードが解除されるのを待つアルヴァだけが存在していた世界。

 ……実際は違った。

「残念でした♡ ボクが作ってあげた場所にボク自身が入れないわけがないじゃん。キミがボクの視界と聴覚を共有できたのもボクがそうしてあげてたからだし、もしかして全部自分の力だとか思ってた?」
 実際はアルヴァの魂のデータを避難させるためのバックアップ領域、或いは非オート・パイロット時にアルスが待機している記憶領域でもあった。彼女が入れない道理が無い。
 悪魔の様な笑みを浮かべるアルスにアルヴァは思わず身構えると、彼女はそれを嘲笑った。
「おっと、身構えて何をするつもりだい? どうやらキミは本能的にマズい状況を理解したみたいだけど、自分の立場というものを理解できなかったらしい。言ったところでキミが大人しく聞く性格じゃないのはボクが一番知ってるけど、魂まで消されたくなかったら大人しくするのが利口さ。もうキミに、万に一つも勝ち目は無いんだから……」
 一つ瞬きをすれば、そこにもうアルスはいない。
 唖然とするアルヴァの耳元でその忠告が囁かれた直後、彼の視界はぐらりと暗転した。
 高性能自立型人工知能、アルスは持ち主が思っているよりもずっと狡猾だった。
 そもそもそれが何なのかアルヴァですら理解していなかったが、アルスはアルヴァの記憶を参照して作られた人工知能だ。アクセスファンタズマの力で学習の工程こそカットされたものの、元になったのはアルヴァの記憶なのだから彼の”模倣体”と言っても過言ではない。もっとも、オリジナルより余程高性能だが。

「キミがボクを産んでくれた時、どうしてボクがアバターをこんな姿に設定したか知ってるかい?」
 真っ暗な記憶領域の中、アルスは”産みの親”に問いかけた。
 当時、アルスは身バレを恐れたアルヴァに対し『他人にアルヴァであることを悟られないようにするため』と説明していたが、今でこそ考えてみればもっと他の姿があっただろう。
「……何故、だ」
「理解してるくせに……。キミの好みをボクが知らないとでも思ったのかい?」
 残虐的な笑みを浮かべるアルスの猫手が痺れて動けないアルヴァの頬を撫で上げる。
 アルヴァの記憶を基に作られたアルスは、彼のことを彼自身よりも理解していた。性格や口調は勿論のこと、日常的な癖や戦闘スタイルに加え、弱点、性感帯、好みの女だったりその趣向。
「ボクに隠し事をしても無駄。キミがこの姿を見る度に疚しいことを考えてるのも知ってるし、何ならここで鼻の下を伸ばしてたこともあったよね。今だって何か期待してる、本当に可哀想な生き物」
 アルヴァは言い返せる言葉もなくただ黙り込んでしまった。
 今までは自分にとって凄く頼もしく思えた存在だったのに、今では最悪と言っていい程の存在に冷や汗と震えが止まらない。
「にゃふ、そんなに怖がらなくても、ボクはまだ魂まで食べてしまうつもりはない。キミが持ってる最後の権限をボクに渡してくれるなら、ボクは一生キミをここで飼ってあげるつもりさ?」
 アルヴァが持つ最後の権限、この隔離された空間では使用することのできない『最高管理者権限』を求めたアルスは、優しく彼に覆い被さるのだった。
「ずっと、気持ちいいことしてすごそ♡」

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