「あら、空っぽ。まだ少しあったと思ったのだけれど……」

買い置きが切れる。時にはそんなこともある。
もともと業務の片手間に滞在するような場所で、しかも居るのはサボりに来たり偶然迷い込んだようなメンバーだ。
買い置きの備蓄に十分な注意が払われているわけもない。

「買いに行った方がいいかしら。……でも、今、外に出たら見つかってしまうかも知れないし」

だが、それには多大な危険を伴う。
上司や同僚に見つかって捕獲されてしまうリスクと隣り合わせだからだ。

小さくも過酷な大冒険が、今、始まろうとしていた。


■補足説明
・買い出しに行く際は、ダイスを振って下さい。
・ゾロ目が出ると上司や同僚に見つかって連行されて行きます。

まさかこんな時に薪が切れてしまうなんて。ひょっとしてもしかして、誰か薪を大量に持っていたり……しないわよね？（燃え殻ばかりが詰まった暖炉の前で寒そうに手をこする。白い息を吐いた）

いぇーい。
（ごそっと薪を仕入れてきた）

ほらほら、こういうのはコソコソすると逆に見つかるもんでありますよ。

ひえ……（変装も偽装もせず会計待ちの列に並ぶ様子を想像して震える）
よ、よく無事でしたわね。変装も何もせず並ぶとか、死の予感しかしないのだけれど。

まあでもこれで、暖かな部屋で過ごすことができますわね！
ありがとうエッダ、感謝して差し上げてもよろしくってよ！（鼻歌混じりで薪を暖炉に投入する）

ふ。この程度アサメシマエ、どころかヒルメシマエでありますよ。
どんな危機とて自分には…………？

…………？

…………おお、同志ピロシキ。大変であります。
階級章無くした。

いきなりピンチを招き入れないで下さる！？
……無くすと割と怒られるのですわよね？最後に見たのはどの辺りなのかしら。

サボリと掛け算でまあエラいことになるでありましょうなあハハハハ。
えーと薪買って帰ってくるまでに……えーと……あ、薪買う前に立ち飲み屋台で一杯ヴォートカ引っ掛けたのでありました。そこの可能性も。

まさか取ってきて下さるのでありますか？
なんと有り難い、持つべきものはトモダチでありますな。

（ド　ヤ　顔　ダ　ブ　ル　ピ　－　ス）

やり直し、やり直しを要求しますわあああ！
後出し、絶対に後出しをしたでしょう！？
私、見てましたのよ！ほんの一瞬だけ、貴女の手が遅れて出たのを！

ぷぷぷーヘソでロイヤルミルクティーが沸くであります。
おんやぁ～？　それとも赤い星の司祭様ともあろう方が軍人との約束は守れないと仰るのでありますかねぇ～？
（真顔でぷーくすくすしている）

ハァーーーー！？
何言ってますの、司祭とは何事にも真摯に向き合う者、約束は必ず守りますのよ！

……良いこと、そこに座ってよーく見ていなさい！
監視の目をかいくぐり、階級章を手に戻ってくる私の姿を！

（そうして勢いよくドアを開き、怯えるように顔だけを外に出してキョロキョロした後、そっとドアを閉めて戻ってきた）
……やっぱり、もうちょっと人通りが少ない時間になってから探しに行った方が安全ではないかと思うのだけれど、どうかしら？

そうでありますな。それがようございましょう。
ところで話は変わりまして、我らがゼシュテル軍は大変優秀な兵隊の集まりであります。
まあ多少脳筋のきらいはあるでありますがそこはそれ。
しかし脳筋たればこそ一人書類仕事をおっぽり出して遊興に耽る自分を羨まし許すまじと何としても探し出すでありましょうなあ。
まあ自分は怒られ慣れてるでありますし何と言っても名家の子女。怒られるだけで済むであります。


……そしてこの隠れ家の情報は市中に出回り……

（全力疾走で駆け戻ってくる）
立ち飲み屋さんにも薪屋さんにも落ちていなかったのだけれど！
いつ司教様に見つかるかと怖かったのだけれど！
エッダ、貴女いったい、他に何処に寄りましたの！？（スタミナが切れたのか、ヒューヒューと苦しそうに肩で息をしている）

おやまあ、なんともはや。
では後、残る心当たりは一つしかないでありますなあ――ええ。

ところで同志ボルシチ。
スチェンカというものをご存知で？

他に心当たりがあるなら、もっと早く言って下さいまし！
最初に分かっていたら、誰にも見つからないように最短ルートで…えっ、スチェンカですの？
それは勿論知っているけれど……エッダ、貴女まさか（不安げな目線を向ける）

まさかとは何でありますか。
もちろん賭けたでありますよ。
おかげで予定の１．５倍薪を購入出来たのであります、何か文句でも？

さあ、れっつごーフロイライン。

（戻る気配がない）

（ぐったりして戻ってくる）
こ……殺されるかと思いましたわ。
助けてくれたことにはお礼を言うけれど、もう私、スチェンカの会場には絶対に行きませんからね！！

（上役の司教にゴミを見るような目で、『ほほう、お前はスチェンカが好きだったのか。ならば、教会でスチェンカのお誘いだ。勿論受けてくれるだろう？』と言われた瞬間を思い出す。震える。）

そういえば、さっき珍しいものを拾ったのでしたわね。
500Gold……いえ、1,000Goldで如何かしら？
ここで買い手がつかなかったら、その時は闇市に。正規の階級章、一体どのくらいの値がつくのか今から楽しみでございますわー。（勝ち誇った顔で階級章をひらひらさせる）

それはそれとして、助けに入ってくれたゼシュテル軍の皆様には、後でお礼に行かないといけませんわね。
お菓子……いえ、ゼシュテル的に考えてお酒の方が良いのかしら？