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ギルドスレッド

歌う廃墟

古い古い樹の下で

見上げれば空と大樹の枝葉。
ここがかつては神に祈る場所だったという面影は、朽ちた長椅子の群れ、何が描かれていたかわからない程に砕けたステンドガラス、崩れた屋根の残骸であろう大きな十字……
あるのは精々、その程度。

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(大樹の根元で口遊む歌声は小さく掠れ、けれど元の建物の材質故か、反響しては開け放たれた扉や天井の外へ)
(月明かりに照らされた大樹に寄り添い、しんと冷えた空気に乗せて微かな歌声を綴る)
今日も星が、綺麗です、ね。
少し、ボクには明るすぎる、かもしれませんが……
(大樹に凭れて夜空を見上げ、ぽつりぽつりと呟くように歌い始める)
ふぅ。誰かと、長くお話するのは、久しぶりでしたから、少し疲れましたね。
(どこかに出掛けていたのか、扉を潜って瓦礫や残骸を避けながら廃墟内へ。黒布を外すと大樹の根元に腰を下ろして)
……けれど。思った以上に、素敵なものが得られそう、です。とても、いいお店でしたね。
ん?なんでしょう、いつの間に、こんなものが…?
(長椅子の上に見知らぬ荷物を発見。周囲の人の気配を確認してから黒布を外す)
危険なもの、ではないようですけれど……と、お手紙が、付いていますね。えぇと?
(添えられた文章を読み、差出人がわかるとぱあっと表情を綻ばせ、いそいそと開封し始めて)
……うわぁ、すごい。ボクの羽が、こんなに素敵な、あ、綺麗な紋様まで…それに、琥珀、ですか?細かいところまで、凝ってあって、使うのが勿体ないような……
日記帳も、想像よりずっと、あったかくて、使い勝手がよさそう……ふふ、本当に、お願いしてよかった。フェスタさんのセンス、本物です。
ここにたくさん、書き込めるように、ボクも外へ探しに出なければ、いけませんね。
(日記帳の表紙を優しく撫でて笑みを零していると、どこからか白と黒の霊魂が現れてふわふわと)
え?…あ、はい。早速、お礼とお支払いに、行ってきます。善は急げ、ですね。
(いくつか会話をした後、日記帳と羽ペンを大樹の洞に大事そうに隠し)
それでは、行ってきます。お留守番、よろしくお願い、しますね。
(胸元から取り出した首飾りに小さな鍵を結わえると、黒布を直して出かけていく)
ふぅー……やっと、少しは片付きました……ひとまずは、もう、崩れてこない、ですよね?
(ふらふらと脇に寄せられた長椅子へ腰を下ろし、布越しの視線を積み上げられた瓦礫の山、それから屋根と呼べるものがほぼ失われた場所へ伸ばして)
さらに、広くなって、しまいました。
生き埋めにならないうちに、お引っ越しを考える、べきでは、あるのかもしれない、ですけれど……
(月色に照らし出された大樹の太い枝に腰掛け、黒布を外すと深く息を吸い込んで)

……気づかぬ間に、夜はすぐ、そばに…
風の声も、セピアに、染まり、だして…
隠し、きれない、ざわめき…
はらり、切ない、秋の足音…
積もって、ゆくよ、ほら……

(素直に感じたままを紡ぎ出す、枯葉の掠れるような小さな歌声。ひらひらと静かに袖を舞わせながら手で振りを付けて)
んん……あ、あ、あ、あー。
(喉の調子を確かめるように発声を繰り返した後、そっと幹に体重を預けて)
少しずつ、声の出し方も、良くなってきた、気がします。
やっぱり、自由に歌えると、気持ちが落ち着きます、からね。
(扉前に配置した食器棚の具合を確認して)
んん。こんな感じ、でしょうか?
あとは商品を、並べるだけ、ですけれど、まだ数が、作れていないので、少し先の話、ですね。
そもそも、ここまでやってくる方も、そういませんし……道案内、看板…いえ、宣伝する、ほどのものでも、ないのですから、ね……
(一人で納得し、廃墟の中へ帰っていく)
(仕事から帰ってきたところらしく、少し草臥れた格好の隙間から見え隠れする血の滲んだ包帯。覚束ない足取りで扉を潜ると大樹の根元にぺたりと座り込んで)
……流石に、前に出過ぎ、でしたか、ね。
ひとりで守りきれるとは、思いませんでした、けれど、警戒していても、やっぱり一撃が痛かった、です……はぁ……
んん…むう……(大樹の洞でうとうと)

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