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歌う廃墟

古い古い樹の下で

見上げれば空と大樹の枝葉。
ここがかつては神に祈る場所だったという面影は、朽ちた長椅子の群れ、何が描かれていたかわからない程に砕けたステンドガラス、崩れた屋根の残骸であろう大きな十字……
あるのは精々、その程度。

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(月色に照らし出された大樹の太い枝に腰掛け、黒布を外すと深く息を吸い込んで)

……気づかぬ間に、夜はすぐ、そばに…
風の声も、セピアに、染まり、だして…
隠し、きれない、ざわめき…
はらり、切ない、秋の足音…
積もって、ゆくよ、ほら……

(素直に感じたままを紡ぎ出す、枯葉の掠れるような小さな歌声。ひらひらと静かに袖を舞わせながら手で振りを付けて)

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