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ギルドスレッド

unknown

【箱庭】宙

 空。否。宙だった。
 君達が呼ばれた空間には、不可思議な事に空気が有り。
 されど。兎に角。宙だったのだ。
 ふわりふわりと身体が浮かぶ。
 黒い貌の三日月が、赤色を歪ませて。

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「そんなことできるの?やってみたいわ!」と、主は申しております。
(水槽の中の娘は目を輝かせていて)
 水槽を持ち上げるように触れたならばくるくると『それ』が浮遊するだろうか。三日月の笑みが上下反転し、星々が輝きを放出するに違いない。其処には得体の知れぬ興奮と不安感が漂うようで、誰にも判断し難い偽りの酩酊が――勿論、此れは全部箱庭の中で、あなたの想像が変化させるものだ。如何なる反応でも構わない。
「此処は夢だ。貴様が望むならばギフトを無視しても問題皆無。されど幸福を味わい、現実に戻った際『反動』を喰らう事を覚悟し給え。永劫に箱庭の住人に成るのは厭だろう? Nyahaha――欲するのか。願うのか。だが。諦めは不可欠だと理解せよ」
「とっても楽しいわ!お星様ってとっても綺麗なのね」と、主は申しております。
(人形は自分の手から水槽が離れるのを見つつも水槽の中の娘の言いたいことを代弁し、水槽の中の娘は満面の笑みを浮かべ楽しそうで)
「言葉は常の如く人形の『もの』か。代弁者は己の在り方を全うし、水槽の主は束縛から解放される。否。自由から追放される。我等『物語』の在り方は迷走の極みで、其処にも底にも娯楽の恐怖すら消えて往く。整理すべき混濁も未だ現れず、宙は清々しいほど真っ暗だ。貴様ならば彼等を手繰る事容易と説け、総ての輝きが掌の上だと思考せよ。ああ。楽しいだろう。楽しい筈だ。糞のような牢獄から、危険に溢れる世界への遊泳!」
 蠢動する肉の塊が宙を抱擁し、三日月の赤は満ちるに違いない。たとえ贈り物が変化しても箱庭は無限大だ。思考と称される至高の嗜好、偏った遊戯が展開される。ほどける四肢に膨張する頭部。物語は怠惰に広がった。
…………。
(人形は何も喋らない、水槽の中の娘はキョロキョロと辺りを見渡しワクワクと何が起きるのか楽しみにしている様子で「あなたはとてもやさしいひと」と言ってるかのように彼女は口を動かして)
 胎が沸き立った。対象は『優しい』と信じて在るのだが、此れが愛情のような弄びだと『理解』していないのか。己の為す事柄、箱庭、感情の装いは常に夢現だ――宙が嗤う。何故、嗤う。其処に【整理しよう――世界は果たして電子の海だが紙面の上には存在しない肉の塊とインクの溜まり場で、貯まりに貯まった金銭とは誰だかエモと記す馬鹿々々しい莫迦々々しい。冗長でも単調でも同調でも呼び声でも罪も罰もひっくるめて我々は整理しよう。つまり我々は残酷な思考回路から生まれた物質で設定と呼ばれる纏まりの肉付け】何が起きるのか。決まっている。それは【君】の脳味噌次第だ【整理しない方が好い。上位に君臨する操り手は種を撒くだけで水をやらずに放置する残酷無慈悲な掌螺旋階段】……
…………。
(水槽の中の娘は水槽の壁に手をつけて笑みを浮かべていて、一方人形はジッと水槽があるであろう方を見つめていてポツリと「深海はどんな世界だったのでしょう」と呟いて)
「――深海。宇宙。我々は未知に包まれた底を『知った』筈だ。貴様等の存在は何れ彼等を踏み躙るだろう。我等『物語』の……眼前で楽しそうな、哀しそうな表情を浮かべるのか。浮かべるべきは物語に沿ったものだ。果たして貴様は本当に嬉しいのか。憂しいのか。ああ。体調が悪いのだな。星々の床で休み給え。安らぎ給え」
…………「宇宙ってこんな素敵なものなのね」と、主は申しております
「貴様が素敵だと思うならば宇宙も泥水のように衣を濡らす。小さな小さな浮遊に堕ちる、貴様の輪郭も永劫の如く楽しめる筈だ。破滅的な世界に降り注ぐ奇跡の無限。無間地獄よりも下の下、貴様の脳味噌は酔っ払いじみて真っ赤に染まるのだ。吸い込まれるが良い。吐き出されるが良い。好みの渦巻きに呑み込まれ、にっこりと笑顔を戻せば好いのだ。次の想像は何だ。貴様の望みが宇宙に反映される。精神で此処を満たせ」
主、如何なさいますか
(水槽の中の娘は考える仕草をしていて、人形はジッと主の返事を待っていて)
 饒舌――舌は存在しないのだが――を止める。
 対象の言葉を促すように。対象の思考を舐るように。
 対象の心を撫でるように。くねりくねりと肉が躍る。
……良いのですか?
(水槽の中の娘は口を動かし「黒深、あなたがしたいことがいいわ」と言っているようで人形が問いかけると頷き)
 急かすように両腕を伸ばす。
 脈動する触手の塊が、箱庭の隅から隅までを覆い尽くす。
 何を欲するのか。何を齎すのか。楽しみで仕方がない。
「さあ。貴様の在り方を魅せるが好い」
在り方……私の、在り方…ですか…?
……わ、私も、遊びたいです…何をしたらいいか、分かりませんが…こう、人として遊びたいです…
(人形は困惑しており、水槽の中の娘は頷いていて)
「我等『物語』に対して随分な願いだ。細やかな欲望だが、己に望んでも箱庭以外生まれぬ。貴様が創造するのが最初だ。想像で創造するのだ。貴様が欲した人間達と、楽しい楽しい宇宙旅行だ。もはや娯楽的恐怖は存在しない。貴様が選択せねば『成立』しないと思考せよ。さあ。水槽の中から抜け出して、一時の夢に溺れてしまえ」
 箱庭の隅から波のような『人間』が溢れ出す。其処に個性などは無く、単純に『人間』の輪郭を成した夢の住人。彼等に色彩を与えるのは対象自身の想像だ。創造するならば『どんな友達』が好いだろう――人波が迫りくる。
…………主…?
どこにいるのですか?
(人形はどうしたらいいのか分からず人波に飲まれそうになりながらキョロキョロと見回して自然と主を探して)
誰が何処に存在するのか。誰が何を望んで呑まれたのか。描き出すのは本人で、オラボナ=ヒールド=テゴスは傍観するのみ。
主…!
どこですか…!
(人並みを逆らいながら水槽の娘を探していて)
「――何だ。水槽の娘が何処に呑まれたのか。溺れたのか。溺れる筈がない。我々に残された理は現、一時的だが崩壊したのだ。探し求めるならば貴様も想像せよ。創造こそが唯一の法で在り、悪夢を脱する術だと思考せよ。されど忘れるな。悪夢とは誰かの幸福と」
主が、主の姿が見えないのです…
(辺りを見渡して主を探す人形、水槽の娘は人波によりコロコロ転がっていて)
「迷子を発見する為に叫ぶのは如何だ。娘の行方は永劫に到達するぞ。冗談だ。終わりは必ず訪れる。我等『物語』は終わらない事を赦せない性質故――ああ。悲鳴か歓喜か、貴様等は真に美しい『繋がり』で!」
主……大丈夫でしょうか…
(オロオロしながら)
「先ずは深呼吸だ。不可能でも可能でも気を鎮めるのが。気を強く持つのが大切だ。錯乱の度合いで世界は暗く、堕ちて往く――貴様の主人ならば今頃、人波の渦に蹂躙され……違うな。人波の渦中で手放しの悦び。歓び。確かに夢の中だ。保つべきは現実だが、偶に幻想と狂うのも好い」
え、あ…深呼吸…ですか…?
主は気楽ですが、それと同時に無警戒で無防備なので…心配、です…
「心配するのは当たり前だが、何故我等『物語』を警戒しない。輪郭だけでも相当な『怪しげ』と思考可能。箱庭に攫われた時点で奇妙だと解せないのか。されど安堵せよ。貴様の娘が望まぬ限り危険は訪れない。冒険を好む場合は保証不可能だがな」
え……?
でも、あなたは主を楽しませてくれたので警戒する必要は無いかと…主は「優しくていい人よ」と、申しておりましたので…
(人形は首を傾げながらも主を探しつつ、水槽の娘はきゃっきゃっと転がりながら楽しんでいる様子で)
「成程。やはり人間、最初の『触れ』方が重要なのか。芸術に己を注ぎ込んだ過去は失われ、現では愉快な物語と。Nyahahahaha!!! 貴様は主と同じ考えなのか。人波に転がり込んで、戯れる『だけ』で満足そうな! 貴様の主人が欲する望みは、友達と遊ぶ程度らしい。最近の連中は無邪気で毒だ。此方に影響を与える」
主はそういう考えをしてるので、私もそういうものだと思いますが…?
あ、主…!……そうですか、楽しかったですか…心配しましたよ
(人形は首をかしげ、水槽の娘は人形の前を通り過ぎる寸前で人形が持ち上げて水槽の中の娘は人形の方を見て満面の笑みを浮かべていて)
「楽しいと思えるならば愉快で留めるべきだ。されど物語を留める事は不可能だと思考すべきで、我々は整理された誰かの精神。根底に潜む感情は表に晒せる可能性と逆を魅せて往く」
愉快…?…逆…?
(首を傾げる人形に水槽の中の娘も首を傾げ)
「貴様等の感情とは果たして真実か。否か。表裏とは騙し愛を思わせる言の葉よ」
「真実よ、楽しかったのは事実だもの」と、主は申しております
「水槽が波に呑まれてころころと転がる夢の坂、貴様は此れを真実だと悦ぶのか。幻想に溺れて終う種類の人間だ。夢と呼ばれる永眠に誘われ、抗う事無く『さようなら』と頭を垂れる。可哀想とは言わないが、貴様も現実を、世界を観察すべきだ。最近の我等『物語』が説ける理とは無に等しい! 全く。我々は蛹だ。とろけた中身だ。変態も恐ろしいのか!」
「夢だとしても楽しかったことは本当の本当だもの。深海の観察ならいっぱいしてきたけれど、深海以外の世界は観察したことなかったわ。それも楽しそうね。変わりたいけれど、変わりたくないそんなものよ?少なくとも私はそう」と、主は申しております
(水槽の娘は手をめいいっぱい広げたり、首を傾げたりと喋れないなりの動作をして)
「貴様は既に変えられた。今現在奇っ怪な夢に誘われて、こびり付いた、憑いた、歓びに沈み込むものだ。動きも言葉も何れも、我々には文面としか認識出来ぬ。Nyhahaha――変化の有無は誰に委ねられる。単純かつ不可知な真実どもよ」
変えられた…?
(人形は首を傾げ水槽の中の娘も首を傾げて)
「変える変えられる変わらない。違う意味に聞こえるが、実際には同意なのだ。頷く方向が違うだけで、我々は如何なる状況でも我々だ。ああ。最近の情勢は視たのか。正しく此れだ。パンドラの箱を開けるのか否か。現実を定めたのは己だと思考すべき。視界の位置を戻せ。思考を柔らかく成せ。正直堅物でも構わない。我々は誰かに執っての纏まりだ」
えっと……その、ラーン=テゴスさんの言ってることは難しいようで、単純なような…?
「パンドラの箱を開けるのはよくないことだと私は思うわ」と、主は申しております
纏まり…ですか…?
「残念ながらパンドラの箱は開けるべきで、世界は再生を待ち望む。違うな。我々の上位は『それ』を望むのだ。整理しよう――話は実に簡単で悪夢は魔物の牙に独占された侵略され始めた地獄を取り戻す為に夕餉はホイップクリームで在るべきだ果たして世界は泥のような甘味で奈落はふわふわと膨張するノイズあぁ……さようならは近いのだ。最悪も最高も骰子次第で回転する椅子はふざけにも到達しない怠惰の遊泳永遠など存在しないと黄泉に伝えて強欲を嘲笑するのみ――Nyahahahahaha!!!」
「開けるべきなの?あぁ、楽しい時間はすぎていくものね。時間はとっても過ぎるのは早いわ」と、主は申しております。
「時間は異常な速度だが、皆の脳味噌が慣れた結果とも思考すべき。永劫に生命を与えられた存在は現実を地獄と認識する筈だ。されど幸福な事に我々は楽園へ到達可能。肉体が如何に扱われても、魂の往く先は上位存在の恍惚よ。Nyahaha――貴様。肌で触れる闇黒は恐ろしいものだ。自己とは別種の暗黒は、酷く痛い悦に違いない」
「そうなのかしら?私は青い黒なら知ってるわ」と、主は申しております
「我等『物語』の色は黒と赤で、青に塗れるとは不可解な。我々に必要な整理整頓は魂。生死を羅列する為の悪夢。さて。我々の成すべき勇気は無謀に違いないのだが、貴様は如何に思考する。箱庭を閉ざすべきだ。博物館で半端者どもが我々を待ち望む――Nyhahaha!!!」
「深海は青くて黒いのよ。勇気なんて無謀だとしても勇気出すことは偉いことだわ。半端者?誰か来ているの?」と、主は申しております
(水槽の中の娘は笑顔を見せてから首を傾げ)
「我等『物語』は芸術家だ。半端者とは半端物よ。我々の存在は最初から最後まで半端で在り、最悪と最高の極みには至れず。やはり魂は派手に扱われて光輝する。貴様の魂は如何に綴られるものか。楽しみだ」
「私もこの先が楽しみだわ」と、主は申しております
(水槽の中の娘は微笑んでいて)
 宙が吸い込まれる。箱庭の中央に、総てが吸い込まれる。
 楽しみと、微笑んだ水槽の娘。
 赤色の三日月――もはや此処は用済みだろう。
 此れ以上は冗長だと物語は息を吐いた。

 https://rev1.reversion.jp/guild/77/thread/137

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