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ギルドスレッド

unknown

【箱庭】宙

 空。否。宙だった。
 君達が呼ばれた空間には、不可思議な事に空気が有り。
 されど。兎に角。宙だったのだ。
 ふわりふわりと身体が浮かぶ。
 黒い貌の三日月が、赤色を歪ませて。

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「来てよかったかしら?」と、主は申しております。
 宙を泳ぐ肉の塊。
 三日月は回転しけらけらと謳う。
 もっとも、其処に神など存在しないが。
「勿論だ。貴様の為に用意した箱庭故。他者を招くのも構わないが」
「誰か…そうねぇ…誰がいいかしら?」と、主は申しております。
「貴様の友人でも貴様の想像上の友人でも、誰でも何でも問題皆無。我々は己の脳髄を整理する為に、一度撹拌の決を貪らねば成らぬ。たとえ貴様が望まずに現れた物質でも、拒絶する事は困難の極み。出現した輪郭は尽くが解放され、くるくると空間を舞い踊る。おや。貴様、如何なる反応も無いのか。珍しい。ああ。常なのか。何せ水中では浮かぶのが当たり前故!」
「そうね…貴方の友人を紹介して欲しいわ。とっても賑やかになりそうね」と、主は申しております。
(水槽の中の娘は満面の笑みを浮かべ)
「我等『物語』の友人だと。困った。最近は此処の連中も静かなもので、貌を晒す個体は一も二も解せぬ。やはり声を掛けるのが正解だが、果たして現実、誰の肩を触るべきか。貴様だけを招待し、貴様だけの空間に成すのも良好……ああ。貴様の水槽、固定済みなのか。否か。やはり宇宙空間でも縛られた現実!」
「声を掛けられたらいいのだけれど……仕方ないわ、この水槽はギフトだもの」と、主は申しております。
「やはり他所で声を掛けるのが正しいものか。貴様の水槽がギフトだとしても、動きに制限は無いのだろう。ならば一度試すべきだ。世界から重量が取り払われ、水や硝子が不規則に浮かぶ、海の起き上がる幻想を! Nyahahahaha!!! 貴様が望むならば水槽諸共宙を廻れ。楽しい楽しい遊具(アトラクション)にはお客様が不可欠だ」

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