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噴水前の歌広場
んーなるほど?
あれだな、「頑張ったで賞」みたいなヤツか。
まぁ貴族サマの食卓には並ばねぇだろうけど、
こーして広場で売れんだもんな。
ある意味じゃあ限界なのかもしんねーけどさ。
あれだな、「頑張ったで賞」みたいなヤツか。
まぁ貴族サマの食卓には並ばねぇだろうけど、
こーして広場で売れんだもんな。
ある意味じゃあ限界なのかもしんねーけどさ。
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その雑踏は以前はちょっとした人だかりにすぎなかった。
その雑踏には、何かちょっとした方向性があった。
その広場そのものに目的があるわけではないという方向性が。
「さあこのフィッシュサンドはあのカタラァナ=コン=モスカが週に一度は食べにきていたよ」
「彼女はこの広場の真ん中のこのあたりの、人だかりの中でそれはもう壮麗に歌って居たんだ! おっと写真は一人10Gで撮るよ」
「これは彼女が身に着けていたという耳飾りのレプリカさ、お代は格安の1000Gで」
「お客さん、二つで十分ですよ!」
いずれこのざわめきも消えて果てて、この広場はただの広場に戻るのだろう。
しかし人が――特異運命座標が竜と相対し、未踏の海を越えて行ったというのは、この戦いに国としては直接関与しなかった幻想の民をしても、熱狂を産んでしまうものらしい。
特にここメフ・メフィートの民は常よりローレットを身近に感じていた。だからこそこんな盛況を産むのだ。
だからこそ、噴水に腰かけている海種の少女はそれを殊更に咎め立てたりはしなかった。
彼女は貴族である。
彼女は民衆が持つ力と無軌道性を承知しており、またある程度健全に(商品価値という意味でおいて)経済が回るのであれば、それを止めることは無粋だと思っていた。
ただ、この広場ですら、己の顔を見て疑問に思うものが少ないのは、いささか納得行かなくも、納得ができるものだった。
目の前を通り過ぎた子供が、あっ! と彼女を指差し、親に手を引かれて連れていかれる。
“彼女”の歌は素直で直截で空っぽで歪んでいて、それをまっすぐ目を見て聴いていられる者はよほど強いか、無垢であるかのどちらかだったのだろう。
彼女の周囲は熱狂の空白地帯となり、無言のままぼんやりとそこに竚むのみであった。
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【参加者向けハンドアウト】
ここは、“彼女”がよく歌を歌って居た噴水のある広場です。
貴方はここで、“彼女”と同じ顔をした少女を見つけました。