PandoraPartyProject

ギルドスレッド

噴水前の歌広場

【サンディ・カルタ】海洋娘はシロイルカの夢を見るか?

 雑踏がある。
 その雑踏は以前はちょっとした人だかりにすぎなかった。
 その雑踏には、何かちょっとした方向性があった。
 その広場そのものに目的があるわけではないという方向性が。

「さあこのフィッシュサンドはあのカタラァナ=コン=モスカが週に一度は食べにきていたよ」
「彼女はこの広場の真ん中のこのあたりの、人だかりの中でそれはもう壮麗に歌って居たんだ! おっと写真は一人10Gで撮るよ」
「これは彼女が身に着けていたという耳飾りのレプリカさ、お代は格安の1000Gで」
「お客さん、二つで十分ですよ!」

 いずれこのざわめきも消えて果てて、この広場はただの広場に戻るのだろう。
 しかし人が――特異運命座標が竜と相対し、未踏の海を越えて行ったというのは、この戦いに国としては直接関与しなかった幻想の民をしても、熱狂を産んでしまうものらしい。
 特にここメフ・メフィートの民は常よりローレットを身近に感じていた。だからこそこんな盛況を産むのだ。

 だからこそ、噴水に腰かけている海種の少女はそれを殊更に咎め立てたりはしなかった。
 彼女は貴族である。
 彼女は民衆が持つ力と無軌道性を承知しており、またある程度健全に(商品価値という意味でおいて)経済が回るのであれば、それを止めることは無粋だと思っていた。
 ただ、この広場ですら、己の顔を見て疑問に思うものが少ないのは、いささか納得行かなくも、納得ができるものだった。

 目の前を通り過ぎた子供が、あっ! と彼女を指差し、親に手を引かれて連れていかれる。

 “彼女”の歌は素直で直截で空っぽで歪んでいて、それをまっすぐ目を見て聴いていられる者はよほど強いか、無垢であるかのどちらかだったのだろう。

 彼女の周囲は熱狂の空白地帯となり、無言のままぼんやりとそこに竚むのみであった。

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【参加者向けハンドアウト】
 ここは、“彼女”がよく歌を歌って居た噴水のある広場です。
 貴方はここで、“彼女”と同じ顔をした少女を見つけました。

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……お、久しぶりに来てみたが、思ったよりなんだかんだ賑わってんな。
(なんとなく、ここに来た。別にイレギュラーズだって皆悲しんでたわけだし、
 海域に名前が載った以上、「知らない」と答える人はほとんどいないのだろう。
 ……「生まれながらの差」に加え、「消えた時の差」をも見せられている気もする。)

あいつサンドより普通にチップス食ってたと思うが……
まーでも、とりあえずお通夜になってねーのはいーことだな。

……ん?
(ふと噴水の方を見る。視界に、青い髪の海種が目に入る)
え……カタ……?
(その時、その距離、その瞬間、それは確かにカタラァナに見えた。
 あの場で聴いた歌は確かにカタラァナで、いくらリヴァイアサン戦で忙しかったとしても、オクトやアルバニアで色々頭がいっぱいだったとしても、多分そこは間違えてなかったはずだ。帰りの船もある程度確認したし、ほかのイレギュラーズの話も聞いている。

 だが、例えば本人が生きていれば、それはそれでこのお祭り騒ぎは完全に腑に落ちる。もしかして……)
(噴水のへりに腰かけた少女は、脚を組み、膝に肘を乗せて、肘から伸びた手のひらで顎を支えて、白い指で顎をとんとんと叩いている。
しかめっ面というか、眉と目の距離が近いというか、表情はまるで違う。
顔の作りは全く同じで、間違うことも十二分にあり得る。
もし貴方が冷静であれば、別人(おなじかお)であると気付くことも出来るだろう)
……じゃ、ないか。(違う。多分違う。彼女にその気があれば本当にカタラァナだと思ったかもしれないが、明確に「中身が違う」。)
にしても似てんな。なりすましってわけでもなさそうだが。
(逆にこう、形見でも探してるんだろうか。全くの偶然ならそれはそれで面白そうだ)
(屋台でフィッシュ&チップスを買ってから、その少女に近づいていく)
やーレディ!誰かと待ち合わせか?
……軟派ならば他を当たるが良い。

(とげとげしく険のある声。
視線は前方に固定しながら、微動だにしない。
お高く止まっているように見えて、苛立ちを潜めているように見える。
いずれにしても。
その声は、とても聴いたことのあるものだった)
つれねぇなぁ。別になにしよーってわけじゃねーんだぜ。
(ガンガンに警戒されてる。そりゃそうだ。……そして声を聴いて思い出した。
 そういやカタラァナはオパール・ネラに一族がいたんだったか。
 正直なところ、今なお態度以外はほぼカタラァナにも見えるのだが。)
観光に来てるとかなら、道案内でもしよーか?って位の話だ。
地元ってわけでもなさそうだし?俺はこの街に来て長いからな。
(言って、一口、チップスを食べる。うーん、場をごまかすために食ってみたが、流石にケチャップかなんかないとあっさりだ。)
フン、見え透いた手管じゃな!
我の装飾品に目が眩んだか?

それとも我の顔に“見覚え”でもあったか?
フン、そんなわけが無かろうな。
……どいつもこいつも、表層しか見えておらぬ!
まーじで信用ねーな俺。あんまカリカリしてっと大変だぜ?
そんな人を盗人みたいに……(自分を見る)……うーんまぁ盗人みたいか。そーかもな。

そーはいってもな。
いきなり深層に突っ込んでくる奴のほーが危ねーもんだぜ。どっかの歌姫みたいにな。
ま、それはそれ。じゃーちょっとやりなおすぜ。
「結構前の話だが、その節は廃滅病を遅らせてくれたおかげで大分助かった。
 元々海洋住まいだったと思うが、ここにいるとは珍しい。何かあんなら手伝えるぜ。」
……っと、これならどうだ。
カリカ……っ
(そこで挨拶を聞き、改めて振りむいた。
 普段ならばこう頑なではなかったろうが、彼女にとってこの広場の有様は、些か心をとげだたせるものらしい)

……何じゃ、イレギュラーズか!
我はまた、くだらぬ軟派の類かと思うたわ。
何、珍しくもない。我もまた、居地をしばしこちらに移したまでのことじゃ。
まー最初だけはそのつもりはないでもなかったけど。
それはともかく。改めて、イレギュラーズのサンディ君だぜ。よろしくな。

へー、地名にまでなったのに。まー、こっちはこっちでまた面白いとは思うが。
その感じだと早速結構モテてんのか?
我もまた、特異運命座標として選ばれただけのこと。
……あの荒海のいくさのさなかに。
或いはアレが死んだ空席を譲られたのか。

それは良い。
じゃが二つ訂正をしよう。
まず一つ、これは貴様が知らんでも無理からぬことじゃが、海洋の民ですら録に知らぬ我がモスカは、地名となったのではない。それが遍く知らしめられただけで、あすこは遥かいにしえよりモスカじゃ。

そしてもう一つは……ああ、言うても詮無きことじゃが。
我はモテているのではない。
ここにいると、どうしても、己ではない者と間違えられて――あるいは間違えられすらせんで、堪える。

……貴様は我の顔に、見覚えはあるか?
えっ!召喚されたのか!!?マジか。。
結構危険な依頼とかもあるからな。
無理すんじゃねーぜ、って、あの戦いの後に言っても遅いか。

あーなるほど、悪い悪い。
いわれてみりゃあんま地名とか確認してなかったな。そっか、元からモスカか。

……ん?間違えられんのか?まちがえられねーのか?どっちだ?
見覚えあるっちゃそりゃーあるぜ、少なくともあの儀式のときに紛れて見てるからな。
まー、ここの人達が間違えんなら十中八九はカタラァナと、だろうが。
……お主は、我(カタラァナ)を知って居るのじゃな。
そして、我をそれとは間違えぬと。

前言を撤回し、謝罪する。お主は表層を見ているのではなかった。
すっげー真面目だ。
まーあれだぜ、謝罪されるほどちゃんとしてるわけじゃねーさ。
とーくから見た時にゃ一瞬「まさか」とは思っちまった。
今後はそんなこと一切ねーから、まー許してくれよな。

これ食うか?(まだそれなりに残っているフィッシュ&チップスの皿を少し向ける)
………………
お主に、ひとつ、聞こう。




なんじゃ? これ。
?……!まじかっ!
いやでも確かにこの辺じゃなきゃあんまねーかもな……俺もここに来てから知ったし。

あれだぜ、なんだ、魚の身をサクサクにしたやつ。
ふむ。
なるほど。
(ためつすがめつ、料理を観察している。
別に悪気はないのだが、何だか値踏みをされているような気になってしまう視線だった)

……頂こうか。
なかなか珍しいか?
まー大丈夫だぜ。ちゃんと中身は魚の身だし。
味はまぁさっぱり系ではあるけど。
ケチャップとかつけてもいーかもな。

どーぞ。
(もさもさと食べる。
非常に真顔。)

……ちなみに、なぜ我をこれに薦めたのじゃ?
それはあれだぜ。ほら。なんつーかさ。
まぁこの辺じゃいつも屋台でこれ出てっからさ、
この味をどー思うかなーってのが気になってて。
どう?うまいと思う?
率直に言ってマズい。
魚は揚げ過ぎてパサパサ。
何だか泥臭いし、味付けは薄い。
…………じゃが。
気になる味ではある。
おおっと。そいつぁーわるい。
まー俺も正直手放しでウマいとはあんまな。
ここの広場以外じゃ買ってねーと思うぜ。
(言いながらひとつ食う。サンディ基準では相当上等な体裁をとってる方の食い物だが、料理の中では味が無いのも今では分かる)

とおもったら「気になる」、か。
この辺でよくこれ食ってたヤツがいてなぁ。
やっぱなんかあんのかな。
……その“ヤツ”がどう思ってたかは知らんがな。
マズいのじゃが、それでもこれは、どうにか美味く食おうと頑張ったのがわかる。
そもそも身が美味くないか、鮮度が悪いか……これはそういう理由で“安い”魚じゃ。
それにどうにか手をかけて、食えるものにしてある。
それが、何だか気になって、また一口食べてしまう。

……そんな感じかのう。
んーなるほど?
あれだな、「頑張ったで賞」みたいなヤツか。
まぁ貴族サマの食卓には並ばねぇだろうけど、
こーして広場で売れんだもんな。
ある意味じゃあ限界なのかもしんねーけどさ。
そう思うか?
……我はそうは思わん。
結果ではなく、過程に意味があるのじゃ。
これは旨くない。
が、次の……あるいはその次の代で美味くなるやもしれん。
或いは、次の次の……かも知れんが。
大事なのは進んでおることじゃ。さすれば止まることはあるまい。
過程かぁ。まー今みたいに、分かる人にゃわかるみたいだが。
みえねーからなぁ、過程って。
進んでりゃーいーし、先に着いたらそりゃーばっちりだけどな。
……まぁ、といっても別に止まる意味はあんまねーのか。

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