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ギルドスレッド

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噴水前の歌広場

【イーリン・ジョーンズ】海を継ぐもの

 指はわななき調べに触れて、ついぞ鳴らなかったのだ。

 水しぶきは白く、顔を撫でて、なのにまるで弾かれるようにその肌を通り過ぎていく。それは、生まれた時からの習性のようなものだった。
 だから、感情だって当然のように受け流して生きて来た。そうやって生きていけると思い込んでいた。
 だが少女は、今生まれて初めて思い知ったのだ。
 ほんとうに生まれた心というのは。
 生まれて初めてのともだちだなんて、そんな重たくて苦しいものをこんなに大きくなってから得てしまった歪な心というのは。
 こんなにも重たくて、苦しくて、熱くて、それが胸の奥のそこからしゃくりあげるように生まれてくるものなのだということを。

 荒波の中、仲間たちに大声を上げて、がんばろう、がんばろうと今まで生きてきて初めてその言葉を本心から用いながら叫んでいた彼女を、ほんの数刻だけ別れていた---たぶん、一生分別れていたような気のする、赤い瞳が見つめていた。

 だから僕は、うたうことすらできなかったんだ。

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参加者向けハンドアウト:
 ここは、絶海龍リヴァイアサンに立ち向かう海洋の軍艦の上です。
 ここは、幾度かの攻撃を負え、補給と負傷者の後送の為に後退しており、次の出撃まで幾許かの余があります。
 あなたは、伝説の海賊ドレイクとの協約を見事取り付け、海洋の艦へと戻ってきました。
 あなたの目の前には、彼女がいます。
 彼女は、必死に抱えていた楽器を取り落としました。

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(その表情を見た時、涙がまだ残る紅い瞳は嬉しそうに。口元も緩んだ。
それはカタラァナの求めたことを察したからなのか、それとも強がるのはお互い様だとわかっているからなのか。
もっと単純に、一緒に前を向けることに幸せを感じたのか。しばらく、いつもならそうねと言うところが、見つめ合ったまま時間をかけて)
――うん、一緒に
(視線を向ける、別の場所に。唸りを上げる波濤の先、その玉座から見下ろす竜を見て)
……「アレ」を、倒す。
そのために、今は皆と集まって、できることを探しましょう。
貴方の歌は、嵐にも響くから。絶対に、必要だわ。
いける?(抱きしめたままの腕、嵐の中、この語らいが聞こえるのは二人だけ。その「いける?」の一言は、カタラァナにイーリンがおそらく、初めて。心底、全部。同じ目線に立ったからこそ、出た言葉。

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