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at no.9

夕陽のリビングルーム(1:1)

住んでみれば部屋の維持というものは存外に手間のかかるものだった。
そもそも掃除の習慣の無かったシラスの部屋は気づけば散らかってしまう。
いや、ソファーサイドに積まれた本も、テーブルに散らばったチョコレート、リーフポッドにティーカップ、束ねられたメモに羽ペンだって、更には床に寝かされてる冒険用のリュックサックとブーツに、ソファの上で丸められた毛布まで、彼に言わせればソファから手の届く『ちょうど良い』場所に配置されていたのだが……ふと思い直して独り言ちる。

「アレクシアの家の本のこと言えないや」

今日は家で夕食を一緒する約束をしている。
この有様を見せてしまったらしばらく笑われてしまう気がした。
読みかけの本に栞を挟むと意を決して立ち上がり、それでも彼女が来ることを思うといそいそと片付けに手を付ける。

ようやく整頓が済んだ、もとい、雑物を全て寝室に放り込んだ頃には出窓から入ってくる秋の西日がダイニングをオレンジに染めていた。


(アレクシアさんとの1:1のスレッドです)

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ふふ、そりゃもちろん!
兄さんは私にとってのヒーローだからね!
私達の活躍、届いてるといいなあ。ううん、きっと届いてるはずだよね!
そのときは褒めてもらえるといいなあ!
もし届いてなかったら、耳引っ張って何してたんだー!って怒らないと!

(話を聞いて、思い返すように)

世界から爪弾きにされたような気持ち、かあ……。
それは少しだけ、わかるような気もする。
もちろん、私には家族がいたし、体のことを除けば不自由することなんてほとんどなかったから、シラス君とはまったく状況が違うけれども……。
だから、ユリアンさんが特別なんだってっていうのも、なんとなくわかるよ。

ユリアンさんはシラス君のことをきっと今でも家族だって考えてるよね。
だからこそそうだね、放っておいちゃいけないって私も思うよ。
それが正しいか正しくないかはシラス君が決めることだけど……応えないままにしておけばおくだけ、ユリアンさんはそこに囚われるしかなくなるもの。
答えのない感情って。あいつもきっとこう思ってるって気持ちって。いくらでも膨らませられるからさ。
シラス君はどうしたいか、もう決まってるのかな?
まあ、私としては二人で仲良くしてほしいなって思うけどね!
行方不明になってたと思ったら、再会できたんだもの!感動的じゃない?

(ふふっと笑い返してから)

あはは、結局お互いに自分勝手に好きなようにやるということだね!
でも、きっとそれでいいんだよね。思ったことを曲げるのはシラス君らしくないし、私だってしたくないもの。

(経験したこと?と問われて少し苦笑いするように)

うーんまあ、そうだね。でも、そんなに変わった話じゃないよ。
私がとびきり病弱だったのはもう話したでしょう?
当然、お父さんやお母さんはなんとかしようとお医者さんとか探したりしてくれたんだけど、ダメだったんだよね。
全然治る見込みがなくてさ、匙を投げられちゃったんだ、お医者さんに。
もちろん、お父さんたちはずっと諦めないでいてくれたけど、小さな私にとってはお医者さんの言うことなんて絶対だって思ったし、なんとかなると思ってたから、目の前が真っ暗になったような気持ちだった。

別にお医者さんが間違ってたなんて思ってないよ。
今でもなんでこんなに動けるかわかんないしね。いつかまたもとに戻っちゃうかも。
でも、あの時の世界が終わったような気持ちは本当に辛かったから。
それを誰かに味わわせたくない。
それだけだよ。

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