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at no.9

露店の並ぶ裏通り(誰でも歓迎)

華やかな大通りに挟まれた横丁には猥雑に露店が並び、立ち食いの客や掘り出し物を探す客でごった返して闇市さながらの賑わいを見せているようだ。まるで河川が沿海にまじわって汽水域を成すように堅気とヤクザな人種が混在している。

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(寂しくはない。友人が増えたのだから、と)
(告げる少年のかんばせは晴れやかで、影にはすこし眩しいくらいだった)
(もじもじと縮こまり乍らもこくんとひとつ頷いて)

科学。
練達の、魔術のようだけれど、ニンゲンのちからが作り出したもの、だっけ。
わたしはいつも精霊たちがそばにいてくれたから、なんだかふしぎ。

(其方から見れば、此の混沌こそがおかしな世界なのだろうけれど)
(射手の少年は其れすら楽しんでくれているようだから、よかったと胸を撫で下ろしつつに)

大規模召喚のあの日から。私、ずっと驚きっぱなしなの。
このせかいには、ありとあらゆる種のいきものが共存しているということ。
それから……私以外にも、尖った耳をもつひとたちが、たくさんいるのだということ。

(変じゃない。怖くない。ふたりから重ねられる言の葉に、ちいさなちいさな謝辞を添えて)
(逡巡。ややあって、恐る恐ると云った体で。微かに声が上擦り、震えてしまったけれど)

……このかっこうは村を出たときから、ずっとこうで。
ひとりで生きて行くのに、おんなだって思われると、不便だから。
”夜鷹”は村で呼ばれていたなまえなの。

(男か女か判らぬ名。けれど、自分を指し示す音)
(自身もまた自分が”そう”だと認識していたが故に、本来の名を捨ててそう名乗り続けていたのだと訥々と語り)

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