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文化保存ギルド

薄暗い書庫

ルーム #1
書庫は日光はあまり良くないから、ランプを使ってね。
それと、飲食はここでは禁止よ。本を汚さないようにね。
つまり、後は雑談をするだけの場所ということ。

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(古い本を机の上に置き、開く)
……司書と冒険するにしたって冒険の背景があるとなお楽しい。
そんな事を一日中ぼんやりと考えてたらこの本が手に入ったよ。
読んでいいよね?答えは聞いていない。
僕の精一杯の演奏(https://www.youtube.com/watch?v=IvtLIhWrDUM)も添えながら、(せっかく思いついたから)読ませてもらうとしよう。


―――これは今はラサと呼ばれる国が出来るずっと昔、未だ星数ほどの国々があった時代のこと。
オアシスとオアシスを繋ぐ道を守り、旅人の感謝と尊敬を集めた小さな国の物語。

その小さな国は聡明なる王が治めていた。
民は王を讃え、通りかかる旅人は眩い宝石を落としていく。
黄金と翡翠に飾られた平和という名の揺り籠の中、人々は穏やかに暮らしていた。

しかし、ある日国に不吉の予兆が訪れる。
王宮へと急ぐ巡邏の警吏、彼は大声で叫ぶ。
「白子だ、白子の娘が潜んでいたぞ!」

王宮は大いにどよめいた。
神より賜ったはずの褐色の肌を持たぬ子供が見つかったのだから。
果たしてそれは悪魔の使いか天よりの戒飭か。
王の臣下達は不吉の子はすぐに殺せと騒々しい。
聡明な王は剣を振り上げる前に、宮廷の占い師に白子の娘をどうすべきかを訪ねた。

卜者は言う。
「白子を人の手で殺めてはならぬ。
大地はその呪われた血を飲み干し、忽ちにして災いの口を広げ国を飲み込むであろう。
天命によりその魂を神に返す時、王国は初めて厄災を免れる」と。

王は大いに悩んだ。
白子の娘は不吉の予兆、民は震え上がり、信心深い旅人たちは国を避ける。
しかし白子の娘を血に濡らす事は最も控えるべき短慮である。

王は娘を都から連れ出し、都より遠く離れた民も知らぬ秘密のところに構えた社に娘を住まわせた。
王は大いに白子の娘を恐れながらも、白子の娘が不自由により病に倒れることなきよう、秘密の使いに甲斐甲斐しく世話をさせた。
時が立つにつれ、ついぞ王は恐れと信仰の間で惑乱し、秘密の社は白子の娘を慰める豪奢な贈り物で満たされていったという。
豪奢な贈り物を乗せた王の馬車が人知れぬ場所へと旅立つ時、民草は口々に噂した。
王の心は不吉の娘により呪われ、正気を奪われたと。

王は白子の娘の社の場所を口の固い従者以外に知らせることがなかった。
やがて国は滅び、社の場所を知るものはいなくなった。
今でも砂漠の何処かに宝石に飾られた臥榻の上に横たわる白子の娘がいるという。

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