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文化保存ギルド

【幕間】ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)へ その2

【幕間】ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)へ その2


●2023年、3月20日

 騎兵隊が激突した。敵はバトゥ・ザッハザーク率いる新皇帝派最精鋭兵。正面門という要衝を守る勇将に、赫々たる騎兵隊が激突した。
 第一次の激突では、騎兵隊総大将であるイーリンとバトゥは、その表情を互いに見えるほどに接近した。
 そのまま騎兵隊は勢いのまま一時後退。ココロは治療の魔法を大量に使いながら、再突撃の準備を済ませていた。おそらく次の激突で、趨勢は決まるだろう。今のままなら勝勢に持ち込める。もう手詰めの状態だ。
「――ない」
 その時だった、ココロの師の声が、戦場では特に気にかけていた彼女の声が、恐るべき言葉を述べたのは。
「足りない」
 何が、とココロは問わなかった。「次の激突で仕留めるには、このままでは足りない」というのは明白だったからだ。
 視線は戦場に向いたまま。意識は戦場を俯瞰したまま。彼女はある種無表情にそれを見つめていた。

「お師匠、様」
 ココロは、彼女の腰に提げられた宝石と同じ色の瞳で見つめた。
 やめてください。私達はこの場で勝勢を確保すれば、仲間が片付けてくれます。
 私達が失敗すれば、戦線に大打撃が起きるでしょう。
 勇気と無謀は違います。誰かが死んでも良いんですか。
 止める言葉はいくつも浮かんだ。
 しかしそれと同じように、三年以上、隣で戦場に立ち、彼女が次に突撃をする際に何をすべきか、頭に浮かんできた。
 隊列を維持する際に気をつける事。
 主首をあげるために必要な時間。
 限界まで粘る場合の引き際。
 ……彼女が居ない場合、どうやって指揮を引き継ぐか。
 
――不可能か、可能かで言えば。不可能「ではない」

「お師匠様、わたしは――」
 手綱を握り、胸に手を当てる。

 その答えは。

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