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文化保存ギルド

今夜の喋り場その50

それは文化保存ギルドにある一室。
正確には、貴族がこの書庫という屋敷に来た際に執務を執り行うために用意された部屋。

それも今はイーリンの自室となっている。
といっても内装は殆どいじっておらず、書斎机と来客用のソファとローテーブル。本棚と唯一追加されただろうベッド。効率を重視する彼女にとって、ワンルームマンションのようになっているのだ。

おそらく、彼女自身が掃除しているのではない。そう思える小綺麗な部屋。貴方を迎えたのはそういう部屋だ。

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…(珈琲を傾け、もう一度口に含み…語り継がれる言葉と共に、口の中で、耳の中で。珈琲の味、苦味と風味を、イーリンの語る話の苦味と心境を、脳の中で混ぜ合わせるように)

…成程。それがアナタの中で、自分自身を悪たらしめている理由、ですか。

…やはり、思った通りでした。
イーリン様、アナタが自らを悪と定義し、名乗っているのは…ワタクシとよく似ておられる
自らの所業を後悔しながらも、纏わり付く業から逃れられない自己に
戒めるように、縫い付けるように、その重さを抱えておられる。

…命の重さを、そして「信」の重さを理解していなければ、そうは語れますまいに。

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