他と変わらぬ来客宿泊用の小さな個室だったはずだ。
それが今では壁に遮音材が追加で貼られ、窓に格子が嵌まっている。
トドメとばかりに室内の要所の錠には罠まで仕掛けてあった。
他にも何かあるのかもしれないが……。

ベッド・机・電子端末・本棚以外といったもの以外には、
応接用の一人がけソファ二つとコーヒーテーブルがある。

部屋の主の特性上、生き物が住んでいる匂いに酷く欠けていた。
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（※悪い人向け：
目標値100＜1d100＋テクニック×10で鍵をこじ開けられます。
貴方がとても器用な場合、判定無しで十分でしょう。
中身は大抵銃器や弾薬の類ですが、たまにガラクタもあります。
失敗した場合、生身であれば指がかなり深く切れる程度のダメージが発生します）

まあな。
食うにあたって生きてるモンってのは俺等からすると当たり前なんだがな…アルって元居た世界ではなにを糧にしてたんだ？

向こうの世界で何か食べようなんて思ったことはないよ。本来電力とかで動くタイプだから。
こうしてお茶してるのも君達と対話のギアを合わせるためのわたしからの気遣いであったり、趣味とか五感の鍛錬以上の意味はないし。

ふーん。別に気遣いは要らねえって俺は前も言ったんだがな。つか、水分どうやって分解してんの？スゲェ気になるんだが…腹の中内臓みたいなの入ってねえよな…？(殴った時に感触が全く違ったしって考え)

君だけに気を使っているわけでもないし、趣味でもあるといっているだろう？
社交的であろうという努力は多少はしているし、いい匂いがするものはすきだからね。
第一、気を遣わなくていいと言われて本当に使わないで通用するわけもない。こどもではないからな、わたしも。何一つ口をつけなければ逆に警戒を与える時というのはあるものさ。

……お腹の中身は内緒だよ。企業秘密。まあまともな代謝はしてないんだがな。

ああ、そういう。確かに手を付けないモンには警戒するわな。(味ってわかるんだ…とか考えている)

おう。…そういや前には置いてなかったよな？(これ、とカップを示して中身の牛乳が前には置いてなかったよな？と。自分が茶をシバクとは前もって言って無かったので用意していたとも思っていない。もしかして庭の牛から絞ったのだったりすんのか？とか軽く考えていたり)

気を使っていると思わせたら負けだが気を使わないでは通る話も通らない。ままならないものだね。
（なんてことないように軽く笑って）
なんでって、イタチちゃんのためにいつも用意してるだけだよ。
少なくとも衣食住にはあまり不自由せず過ごしてほしいからねえ。ただでさえ社畜体質なのに日常まで殺伐としてたら帰る場所をなくしてしまう。
（あぐらをかいた膝に肘をつきながら、そうだろうと）

イザークは幸せ者だな。
アルはあいつの親として接してるんだろ？本人がどう思ってるかは知らねえけど。親に暖かくおかえりって迎えてもらうのうれしいからな…

さー、わたしは彼のなんだろうねえ？
人間的に言うなら親子かもしれないが、まあそんな属性でもって行動を制限される理由もない。
なんであれ、幸せに暮らしてほしいことだけは確かだし、その手助けができるというなら、わたしがなにものであれそれで充分なのさ。
あの子はいい子だからね。わたしの言葉に応えて手を伸ばしたことに報いがあっていい。わたしはそのように思うよ。

俺が知るかよ。アンタらが決めりゃいいだろんな事。前にアルが街角で言ってたから俺はそう表現してるだけだからな。
あー…ははは…耳が痛てえな…俺は、今周りに応えられるてるんだろうか…

正直別に決める必要もないし、移り変わってもいいから曖昧に言うのさ。
今はそうだろうけど。この先どうなるかは知らない。永遠に同じものなどどこにもありはしないか。

んー、「幸せであってほしい」という願いに応え続けてる限りはいいんじゃないかな。
まあ少なくとも出会ったときよりかはいい目をしているからわたしは安心していられる。
もしつらいことがあったなら愚痴くらい付き合ってやるとでもいうとおもったか。
（いい話みたいに持っていって最後で台無しにしやがった）
ざんねんながら人の愚痴を聞いて共感するのが下手くそなのでそういうのは他人に求めたほうがいいからな。
わたしは君に辛辣なことを言う係でいいのだろう。

途中までいい話だった気がするがアンタだからなで終わるわボケ。

愚痴聞いてもらう相手も世話役相手も居るからな。寧ろ軽率に殴り合える関係の方が貴重な気がしてる。つか、アンタに愚痴聞いて貰うとか逆に裏があるとしか思えねえわ。

…っと、結構長居した気がするしそろそろ行くわ。コレありがとな(中身の無いカップをテーブルに置き)

まあ必要ならそれをするさ。別に要らないならしない、それだけ。
信用されるだなどと自分のことを買いかぶっちゃいない。ただ必要とされるかどうか。
わたしはそこまで善意も悪意も持ち歩いてないよ。無駄だからな。
（或いはそこに特段の見返りも要らない。納得と達成感の問題はあるが。それは雨が降ってきたら空を見上げるのは当たり前のこと、とでもいうような気負いのなさ。）

うん、また今度なにかあったらな。当分わたしに用があるとも思わないが。

ん。(短く頷くと部屋の扉前で一度振り返り、「何かあった時にまた来る」と残し、尻尾を親し気に揺らして出て行った。)

（サウザンド・ワンをうっとりしながら愛でている）

これをアベル君からきっちり買い取りできるまで頑張って稼がねばなあ、フフ。あーしあわせー。

（手元で弾の入っていない拳銃を弄んでいる。何の変哲もない、それこそ金さえ積めば工面できるような外面の。どこまでも癖を熟知したハンドガンである。）

（『足早に往けよ仕掛け屋よ』『今宵も鉛の雨が降る』『銀鼠色したアドラステア』『射す街の灯に緋の映ゆる』）
（八五調の四行詩だ。レトロな、一周回ってモダンな、そんなようなものを思い出している。）

（書きかけの書類がおいてある）

（また書きかけの書類がおいてある）

（書きかけの書類がまたおいてある）

（椅子に持たれてぐったりとしている。膝の上から足元にかけて、流血のメタファーのように色とりどりのお菓子の包みが落ちていた。）

ふぇ……。（ぽてぽて。耳をしょんぼり下げたまま廊下を歩く青い姿。部屋の前まで来ると少し迷いを見せながらも、ぽふぽふ柔らかい手で戸を叩き）アルー。起きてるー？

（ふっと意識が浮上する。足元の包みをじゃまにならないだけ拾ってテーブルに載せた）

うん、おきてるとも。どうしたんだいイタチちゃん。
（返事をしながら、来訪者を招き入れんと扉に手をかけて開く）

にゃー。こわい夢みたの……。（扉が開くなり隙間からちょろりと部屋へ入り、相手の足元に抱きつこうと両手を広げて）それで起きたら、寝れなくなっちゃって……。

（足元はうっかり蹴散らかしそうなので、ひょいとつまみ上げて胸元に抱き寄せる）
怖い夢ねー……どんな夢だろか。
温かい飲み物でも入れるかい？

ふぁ。（抱き寄せられると尻尾がご機嫌そうにゆらゆらと揺れて、ぴとりと胸に頰を寄せる。ぶるぶる思い出して震え）あのね、事務所にね、ガラの悪そうな地上げ屋が来るの。ここに新しい商業施設をつくるから退けー！って。
温かいの！のむー！

地上げったって、ここんちの地下スーパー事故物件じゃん。見積もりに入れてあげたら大体メアリアンとハインツ君の家主コンビがなんとでもしてくれるよ。
当人たちが売却に積極的だったら別んとこで仕事をしてもいいけれどな。
（ぽふぽふと後頭を撫でながら、そんなような現実を口にした。）

んーじゃあホットミルクでいいかな。お茶やコーヒーだと目が冴えそうであるし。
（しがみつかせたままコンロに鍋をおいて、牛乳を温める）

それでね。地上げ屋さんがハインツに絡むんだけどね、怪しいオカルトアイテムで悲惨な目にあってたの。可愛そうで怖かったの……。

今の事務所を移すには激安物件を探さないとなの。今は結構爆安で借りてるから……んん！
（撫でる手に頭をすりすりと擦り寄せて、幸せそうに頰を緩ませる。しっかりと胸にしがみつき、温まる牛乳の匂いに鼻をヒクヒクさせて）

ホットミルクはよく眠れる成分かま入ってるーって聞いた事ある！

あー。（わかる、ってかんじの声。）

まあ犬小屋サイズで数千万とか言わないだけこの国の物件は安いと思うけどね。ギルドから助成がでなくもないし。
まあお値段はさておき、家移りするのめんどくさいちゃめんどくさいのだけど。
（沸騰する前に小さなカップに温まった牛乳を注ぎ、流しに鍋を置いて水に浸してからテーブルに向かう。）

割とこの家が気に入っているからな、わたしも。

地上げ屋さん、最後の方「ふひひひ、ベニヤ板美味しー」って言いながらダンボールかじってたの……。

アルが昔いたところはそんなにお高かったのー？
僕の前いたところは土地にお金なんてかからなかったの。
（カップの上に白い膜ができれば、不思議なものを見たと目を輝かせた。テーブルの前でちょろんと胸から飛び降り、椅子の上へとよじ登って）

僕も！事務所を離れられないお友達もいるし、離れたくないのー。

どっちにしろたべものじゃなーい。

坪単価一億越えとかの土地は聞いたことあるね？都心とか。
いかんせん過集中していたからな、首都圏は。
（お砂糖もいいだけいれるといい、と角砂糖の入ったポットを近づけた。テーブルの上はハロウィンの残り香のお菓子の包みが転がっている。誰かからもらったんだろう。ビスケットのたぐいのような、当人が口にしないものもある。）

僕にできる事はダンボールが食べやすいようにお茶を出してあげる事くらいで。無力だったにゃあ。
（椅子によじ登り終えてから人型になり）
……あっ。
(先に人型になれば座るのが楽だったと後から気づいた）

幻想は王様がてきとーだから助かってるのかも。
……んー？はろうぃん。アルもお菓子もらったんだ。誰かに悪戯されなかった？
（お砂糖を三個ミルクに落とし、カップを持ち上げてふーふー息を吹きかける）

まあ正直、商業規模の桁が違うからな、この世界とは。数十階建ての建物が要らないうちは土地なんぞ安いものさ。たぶん。
（メガロポリス、というほかない。誰もが都市にしがみつくように密集して生きていたのだからそうもなる。）

まあ普通に歩いてるだけでもらえたりするからねえ。で、いたずらはされた。
（あっけらかんと。）

すうじゅっかい？階段登り降りするだけで一日が過ぎそうだけど……。アルの世界の人は健脚だったんだね！
（すごいなぁと素直に感心しながらミルクに口をつける。あちあち舌を出して慌て、ちびちびと飲み）

僕が歩いててもハロウィンの魔法がかかったグッズと勘違いされて何も貰えなかったけど……。どんなイタズラされちゃったのー？

エレベーターっていう上り下りする機械があるのさ。多分練達にもあるよ。
（頬杖を付きながら相手を見る）

やあ、「お菓子はいいからいたずらさせろ」っていって火がついたケーキ皿をもたされたくらいかな。だれだかもわからないし難儀したっけ。他の人に押し付けたけど。

えれべた？何それすごい！今度練達に行ったら見てみたいなー！
（ようやく適温になって、ごくごく飲む。口まわりに白いヒゲをつけて、ぷはっと幸せそうに息を吐き出し）

それはイタズラじゃ済まされないやつじゃないのー！？お、お菓子ももらえてよかったね……アル。

また今年も夜景を見に行けるといいねえ？
ところでおひげがついているぞ。（白い髭を拭ってやろうとゆびを伸ばした）

なんかアルコールで火がついてた。ケーキ燃えてた。（景気よく、とはいわんかった）
かぼちゃタルト？よくしらないけどそんなかんじ。

うん！まだまだいっぱい見たいものがいっぱいあるの！
最近物騒だけど、アルと一緒にいろんなとこ遊びに行きたいなー。……おひげ？にゃー。（口を拭ってもらうと目をぱちくりさせた。それから間を置いて。かあぁと頰が赤らむ）

アイスケーキはたまに聞くけど、焼きケーキは分からなすぎるの……。カボチャのタルトにキャンディー、ウーピーパイ！美味しく楽しめたならよかっ……（ふと眠たそうに目が細まる）

どこへでも行けるさ。どこかに行きたいと思う限りね。
わたしたちは自由だし。
（布巾で指先を拭い。）

眠そうだねえ。片付けは明日すればいいし、寝ていくかい？

いく！絶対いくー！社畜のいない国とか探すー！
ありがとうアル、いいのお？
（それじゃあお邪魔にならないようにとベッドの方へ、ぬいぐるみになってころーんと寝転ぶ）アルに相談できてよかった。ありがとう。おやすみなさーいっ！

社畜を作るのは社畜を良しとするおのれも一つの要因ではあるらしいのだがな。
（労使交渉なくして環境の改善はないと左の人がいってたが……なんとも言えない目をした。）

構わないさ。ゆっくり寝ておいでな。
（おやすみなさい、と布団をかけてやり、自分も隣で眠りにつくことにした）

（伝票を持ち込んでコーヒー片手に処理している。帳簿に記入が終わった束が下処理された魚の如くに処理済みの箱に投げ込まれていた。）

（こっ。窓の外から乾いた音）

（なにかな、とカクンと首を傾げてから、窓外に目をやった。）

（ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、）

（幼子のような小さな手が、窓いっぱいに張り付く）

うわあ。
（掃除を怠り土埃で白くなりかけた窓ガラスに無数の小さな手形。相変わらずの緊張感のない声ながら、「マジかよ」とか「やべーな」程度のニュアンスはそこにある。）

君か。君だな。開けよう。
（窓の格子などあってなきが如しだろうし、なんなら勝手に入れといえば窓すらものともせずに入れることは承知している。それはそれとして客がノックしているのだから招くのも礼儀というものだ。ページにペンを挟んで席を立ち、窓を開けた。）

（ぞろり…）

（かの神殿で垣間見たであろう、黒い影に人のパーツがたくさん混ざったナニかが入り込んできた）

（全身を一瞥した）
まったく随分な格好だな。借り物の願いをどこへやったんだい？
あるいはありのままの自分でも受け入れてほしかったのか、逆に厭うてほしかったのかは知らないけれど。
（そもそもこの男はこういう生き物であるとは、こうなる前に理解はしていた。その有様をろくでもないと思いこそすれ好ましいとも哀れとも特段思いはしないが。）

……今の君のどこがどう腰だかわかんないが、椅子に座るなら座ってもよいぞ。
お茶でもいれようか。
（椅子をすすめる。すぐそこのテーブルの上にはハロウィンのお菓子と書類があった）

“……さァ。カタチを喪ったこのコたちの願いかーー或いは我(アタシ)の願いか。それはイマイチよくわからないけど。ともかく、そういう気分”
(ざらついたノイズを被りながら、男とも女とも子供とも老人ともつかぬ声がする。時折、そのノイズに混じって幼子の笑い声が小さく響いた)

“でも、この姿は人間がよく怖がる。だから、来た”
(ずる、ズルとその姿を引きずってソレが椅子を取り込んだ)

まあ人を脅かすのも時に喜ばれるより楽しいかもしれないが、加減が難しい見た目ではあるな。ひょっとしたら傷つけてしまうかもしれない。
どうでもいい相手ならどうだっていいが、まだもっと近くで見たい相手の心を傷つけるのは不都合だ。
（もっと情感でものを言うなら「おぞましいものを見る目で見られるのはつらい」といってもいいが、言わない。）

わたしも多少は驚いているが、ヒトよりは怖がりはしないからな。茶飲み話をする相手としてはわたしは確かに正解かもしれない。
（背後に気を配る。なけなしの理性や打算まで見た目通りに崩れていないという確証はまだないが、だからといって追い返すほどの野暮をする間柄でもないし、こちらとしてもちょうど話したいような気もしていた。）

“…つらくは、ないよ。あいするのに、かんけいないから”
(じっ……とたくさんの目が共犯者を見ながら、視ながら。出鱈目に生えた幼子の足がぱたぱたと軽く揺れる。どうやらソレは毛先ほどの理性は健在らしいが、今日はだいぶおしゃべりらしい)