PandoraPartyProject

ギルドスレッド

laulaa

ひとつ

(ここは、近頃の彼女のお気に入り
 涼しげな風を感じる海辺。今は夜だから、少しだけ肌寒いけれど
 まだ歩くことに慣れてない彼女が、小休止にと訪れる場所)

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今日は穏やかですね……。
(見上げた星空に、ほう、と溜息をつく)
んん……心地いい風だ。静かに響く潮騒も、足元を照らす星明かりも、心を落ち着けてくれる。
いい場所だね。
少しばかり、お邪魔してもいいかい?
(声を掛けながらゆったりとした足取りで近づいていく男が一人)
(突然の声に、空に向けていた視線を地上に戻す。姿を確認すれば、表情は穏やかな微笑みへと変わり)
ええ……隣で良ければ、どうぞ。
……貴方様も、星を見に来られたのですか?
ふふ、ありがと。それじゃあ、お言葉に甘えよう。
(快い返事に微笑みを返し、隣まで寄って近くの石段に腰掛ける)

(そして、問いに応えるよう星空を見上げ)
んー……まぁ、そんなところ。
綺麗な星空に誘われて、ふらふらと散歩をしていてね。ここに来られたのは運が良かったよ。
(一呼吸置いて視線を落とし、隣の少女へと向ける)
せっかくの場所に割って入ったのだから、キミには申し訳ないことをしたね。
(彼の人の言葉に、慌てて首を横に振って)
いいえ、そんな……此処は、風が気持ち良くて、とても星がよく見えて……すごく、心地良い場所なんです。
それを私だけが独り占めするなんて、とても勿体ない事ですから……。
(慌てて否定する少女の姿に和んだのか、微笑みを浮かべ)
はは……そっか。キミは優しい子なんだね。
僕だったら、こんないい所は自分だけの秘密にするかも。
(吹き抜ける風に髪を靡かせて、心地よさそうに目を細める)
この場所へは、よく来るのかい?
(優しい、の言葉に、ほんのりと頬に朱が差す)
優しいだなんて、そんな……。秘密にするなんて、私には余りにも贅沢過ぎる、と思いまして……。
(少し恥ずかしそうにしながらも、こくりと、軽く頷いてから)
ええ……此処には、よく来ます。歩く事に慣れたくて、いつも散歩しているものですから……。
(楽しそうに無邪気に笑いかけ)
散歩は良いぞぅ。宛もなく歩くのはもっと良い!
そこには素敵な場所や出会いがあるかもしれない。例えば今みたいに。
(そういえば、と思い出すように改まって少女へ向き直る)
まだキミに名乗っていなかったね。んん……悪い癖だ。
僕はグレイ=アッシュ。キミの名前、よかったら教えてもらえないかな?
そうなのです……! 海では見た事のない物も、美味しそうな食べ物も沢山あって……歩いて回るだけで、こんなに楽しいとは思いませんでした……。
(楽しそう笑っていたが、自己紹介をしていなかった事に気付いて、恥ずかしそうに頬を抑える)
ああ、そうでした……自己紹介もせずに……私ってば、なんて失礼な……。
私は、イーリス・メリカントと申します。グレイ様、で宜しいでしょうか……。
(気にしていないよ、一声かけて少女に笑いかけ)
“様”なんて言わず、気軽にグレイと呼んでくれてもいいんだよ?
ふふっ……まぁ、呼びやすいように。よろしく!イーリス。
(他意はなさそうなものの、無遠慮にじぃっと体を見て)
海……。ん、まぁそうか。海種(ディープシー)……だね?
聞き及んではいたけど、実のところ見たのは初めてなんだ。僕はこの世界の住人ではないからね。
海の中を散歩するのも楽しいだろうなぁ……。
いえ、そんな……呼び方は癖の様なものなので……どうかお気になさらないで下さい……。
(一度申し訳なさそうに目を伏せるも、すぐに顔を上げて優しげに微笑んだ)
改めて、宜しくお願いします、グレイ様。
(小さな問い掛けに、こくり、と首を縦に振る)
はい……仰る通り、私は海種の者です。今は変化させていますが、普段は足の部分が尾の様になっていまして……。
グレイ様が居られた世界は、どういった世界なのでしょうか……?
見目麗しい人魚姫!うん、いいね。とっても素敵だ。
(少女の問いで自らの記憶を振り返り、声のトーンを僅かに落として話し出す)
僕の居た世界は……あまり、良いところではないよ。
魔術って特別な力を使える人たちを兵器にして、凄惨な国盗り合戦をする。狭くて息苦しい所さ。
多くのものを奪い合って、いつの間にか自分自身の大切なものさえ、取りこぼしていくような。
……。
(大きく息を吸って、切り替えるようにパッと明るい表情を作り)
キミはそうならないようにね!大切と思うものは、案外自分では気付かないものらしい。
失くしておいて、なにを失くしたのかわからないことほど哀れなことはないからね。
(微笑みとも自嘲とも取れるような小さな笑みを浮かべて、夜空を見上げる)
(紡がれた光景を想像したのか、見る見る表情が暗いものになる)
それは……つらい事を思い出させてしまって……その、何とお詫びすれば良いのか……。
(表情を俯かせたまま、ぽつりぽつりと言葉を零していく)
大切なもの……そうですね……。
もう二度と、失くさない様に……忘れない様に、しないと……。
キミが謝ることなんて何もないとも!それに僕は同情されるほど善い人ではないんだ。
だからまぁ、気にしないでほしい。
(「二度と」と零れた言葉から何かを察し、その上で問いかける)
……イーリス。キミは、何かを失くしてしまったのかい?
あ……! えっと、いえ……その……。
……いえ、私だけ、隠すなんて、公平では無いですね……。
(一度慌てて口を噤んだが、やがて暗い表情のまま口を開く)
……此方に召喚される前に、その……大切な方を……。
(静かに聞き入り、目を閉じる。曖昧な自分の記憶と重ね合わせ、考えるより先に言葉が出た)
……キミはその人との思い出を、今も未だ覚えているかい?
僕はもう、よく思い出せないんだ。
もし良ければ聞かせてほしい。
何か……何か分かるかもしれない……。
(最後の言葉は弱々しく、縋るように絞り出した声だった)
はい、勿論……覚えています。いえ、忘れられないのです……。
(喪った時の事を思い出し、胸が締め付けられる様な感覚に襲われながらも)
畏まりました……グレイ様の、何らかの助けになるなら。
(すっと目を閉じる。その大事な思い出を、瞼の裏に浮かべて)
……とても、お優しい方でした。
初めて会った時も、困っていた私に、手を差し伸べて下さって……。自分に自信が持てない私に、『良い所はたくさんあるよ』と、仰ってくれて……。
本当に……どうして……。
(徐々に、その語尾に涙が混じる)
恩人……?キミにとって大切な人というのは――。
(自らが求める“何か”。その手がかりの為にと問い詰めようとした瞬間、少女の涙で我に返る)
……っ。ごめんよ。そんなつもりじゃなかったんだ。
キミを泣かせるつもりは……。
(一瞬、何かが記憶と重なって違和感を覚える。だがその前にと、すぐに振り払って言い直す)
……泣かせるつもりはなかったんだ。
辛かっただろうに、思い出させてしまってごめん。僕が……悪かった。
(悪かった、と言う彼の言葉に、慌てて首を横に振る)
っ、いいえ、いいえ……グレイ様は、何も、悪くないのです……。
全て、私が……私が、弱かったから……。
だから、私は、忘れる訳には、いかないのです……。
(ぽろぽろと零した涙を何度も拭って、なんとか顔を上げてみせる)
私は、大丈夫です……ですので、どうか、お気になさらないで……。
(涙を拭う少女を見つめ、大切な人を失ったという少女へと無意識の内に自分を重ねていた事に気が付き)
……ああ……そうか……キミは……。
(違和感が確信に変わり、僅かながら過去の記憶を思い出す)
キミを尊敬する。
過去と向き合って逃げ出さない、芯の強い子だ。僕なんかより、ずっと。
……僕が失くしたのも、誰か、大切な人だったと思う。
全部投げ出して、何もかも忘れようとしたのは自分自身なんだ。
「忘れる訳にはいかない」と、僕には言えなかったのだろうね。
(そう言う男の表情は穏やかで、どこか懐かしむような優しい声色だった)
(気恥ずかしさと、様々な感情が心中に渦巻く。その辛さに、上げた顔を少しだけ俯かせて)
……私は、強くなど……。
過去も、ただ、忘れたくなくて、ただ必死なだけで……。
(声色の変化を聞き取り、再び顔を上げる。穏やかなその表情を見て、涙の止まった顔で少し微笑む)
……グレイ様は、私などより、余程強いお方の様に思えます……。
投げ出してしまった事、忘れようとしてしまった事……それに気付けた方が、弱い筈がありませんから……。
とはいえ、何かを思い出しても、やはり僕には過去の出来事だ。僕がこれから生きる今ではないと、心の何処かで思っている。
蔑ろにはしないけれど縛られるつもりもない。
……ふふっ。我ながら随分とロクデナシだ。
(卑下する言葉とは裏腹に声色は明るく、前向きな口調で話し)
辛い話をさせてしまったが、キミのおかげで少しだけ自分のことがわかった気がする。
ありがとう。

(沈んだ雰囲気を変えようとしてか、あるいは素か。途端に冗談めいて砕けた口調に変わり)
ついでに思い出した事なんだけどね?
僕はキミのように素直で小動物的な子が好みらしい。
散歩の話をするキミは可愛らしくて魅力的だった。だから、笑っていてほしい。
(同じく思い出した“問い”を少女へと投げかける)
キミはさ、“今を楽しめているかい?”
そのお考えで、宜しいと思います……。
過去に縛られて、前を向かう事が出来ないのは、もっと悲しいですから……。
(ふるふると首を振る)
いいえ、とんでもありません……。
私の話が、何かの切欠になったのであれば……それは、とても喜ばしい事です。
(褒められた言葉に、頬を染める。両の頬を手で押さえて)
あ、有難う、御座います……。
うう、しかし、直球で褒められると、とても照れてしまいます……。
(その照れた赤い顔のまま、問いにこくりと縦に頷いた。今までで一番、力強く)
……はい、勿論。
今まで、海に居た頃より、もっと沢山の事を知る事が出来ました……。
その事が、楽しくて、嬉しくて……。だから、今はとても楽しい、です……。
(顔を赤らめて照れる少女を見て、満足げに笑い)
ふふ、素直に照れる子は見ていて飽きない。
ごめんね。言葉は飾るより真っ直ぐ言ってしまうのが性分なんだ。
(力強く頷く少女に安心感を覚え、納得したように小さく頷く)
ああ。それはよかった。
あらゆる手段で以て生を楽しみたまえよ。それが未来ある者の特権というやつさ。
ま、やりすぎるとちょーっと痛い目を見るけど……キミはその心配もなさそうだ。
(思い当たる節があるようで、言いながらも苦い顔を浮かべる)
(顔からは赤みが徐々に引いてきたが、まだ少し気恥ずかしいのはある様子)
い、いえ、謝って頂く事では……。
その、嘘を言われるより、正直に言って頂く方が気は楽です……。

は、はい! そのお言葉、しかと胸に刻みます……!
(ぴしっと背筋を正すも、その苦い顔を見て不思議そうに首を傾げ)
何か、その、痛い目に遭われたのですか……?
あ……その、お話し出来る範囲で良いのですが!
いいとも!これはよく覚えている。……まぁ、いっぱい怒られたし……。
(最後の一言は弱ったように小声で付け足し)

もう何十年と前、僕には弟子が居たんだよ。元の世界ではそれなりに腕が立ったからね。
これがまた自慢の弟子でね!
飲み込みも早くて、教えれば教えるほど伸びる。僕以外ならまず負けないだけ成長してくれた。
そんな彼を育てるのが楽しくて楽しくて!
それでまぁ……どれだけやれるか試してみたくなっちゃったんだ。
彼の名前を借りて隣の国へ喧嘩を売ってきたんだよ。
そしたら弟子くん含め、お国とか、お偉い方々とか、いろんなところから怒られてしまった。
散々叱られた挙句、結局自分で片付けなきゃいけなくなって、その上、師弟関係の解消まで命じられて……。

彼、もっと伸びただろうなぁ……。勿体無いなぁ……。
(未練がましく思いを馳せ、心底残念そうな顔はしているものの、反省の色はない様子)
まあ……それは、随分と大変な目に……。
でも、グレイ様は、それだけお弟子さんを誇りに思っておられたのですね……。
お弟子さんも、その事はきっと分かってくれている筈です。
また、いつかお会い出来ると良いですね……。

……あれ、でも……何十年前……?
(ふと、話の始めを思い出す。その外見とどうにも合わず、首を傾げた)
うん、何十年と前。こう見えておじいちゃんだからね!僕は。
(何故か得意げに、ふふんと鼻を鳴らし)
この身体で成長を止めて、寿命のしがらみから抜け出したんだ。
おかげで肉体的な成長は二度と無いけれど、僕はそんなのに興味なかったから。
多分……キミの10倍以上は生きてるんじゃないかな?
えっ……えっ、えええ……っ!?
(思わず大声を出してしまい、慌てて口を覆う)
し、失礼致しました……。思わず驚いてしまって……。
(何度も瞬きする。目を擦ってもみるが、眼前の彼の人の見た目は変わらない)
私が、今この歳で……その、10倍以上……。
そんなにも、長く生きて居られたのですね……。
この見た目だから驚くのも無理もない。というか、むしろ驚いて欲しかったところ!
(少女の様子を楽しむようにして笑い)
長く生きると大抵の物事に既視感を覚えてしまうもので、結構退屈なんだよ?
その点、この世界は新鮮さに溢れている!
赤子のように手探りで、見るもの触れるものの全てが新しい!こんな気持ち久々だ。
(昂ぶる気持ちを隠すこともせず、無邪気に話す)
(その話ぶりに、ぱあっと顔を明るくする。そして、何度も何度も頷いて)
そのお気持ち、とても分かります……!
周りは殆ど海だったから、何もかもが真新しくて……本当に、何でも手を伸ばしたくなってしまって。
いえ、陸だけではなくて……旅人の方々の文化にも、驚いてばかりで。
世界が広いのは知っていましたが……此処まで広かったなんて、と思わずにはいられません……。
(少女の共感を得たことが嬉しかったのか、さらに機嫌を良くし)
そうだろう、そうだろう!これからもっとたくさんの世界を知るんだ。世界は未知で溢れているぞぅ!
好奇心を殺してはいけない。届くとも、届かなくとも、手を伸ばすことをやめてはいけない。
そうして、たくさん失敗するといい。それが成長の種になる。
僕はキミのファンになったからね。どんな時でも味方で居よう。
……なんてね。ふふ、老婆心が過ぎたかな?
好奇心は殺さず、失敗する事も、恐れてはいけないのですね……。
……ええ、確かにそうです……恐れていては何も出来ないですから……。
今はただ、好奇心のままに、行動してみます……。
(ファンという言葉に照れながらも、少し気分が良くなって)
ま、まあ……ファンだなんて、そんな、照れてしまいます……。
でも、グレイ様の様な方が、そう言って下さるなら……これほど、心強い事もありません。
キミは本当に素直な良い子だ。孫を見守る目とはこういうものなのかな。
(照れる少女を見て満足げながら、先の老婆心が尾を引き少し複雑な様子)
故にと言うべきか……悪い人に騙されやしないかと、おじいちゃんは心配してしまうなぁ。
会ったばかりの僕が本当に悪い人でも、キミの素直さは受け入れてしまいそうだ。
ま、孫……あ、でも、グレイ様のお年を考えれば……?
しかし、どちらかといえば、何だか『先生』といった方が正しい様な気がしてきます……。
(素直さと聞いて、ああ、と懐かしむ様に目を細める)
それは……その、似た様な事は、何度も姉に言われましたね……。
『お前のその素直さは美徳だが、だからこそ疑う事を知れ』と……懐かしい……。
先生という柄ではないのだけどね。僕はまぁ、したいようにするだけだし?
(すっとぼけるような軽い口調で言い放ち)
お姉さんはキミをよく見ていたのかな。その一言には共感してしまうね。
しかし、なるほど……。ふむ……うーん……んんーー……。
(唸りながら深く考え込み、いくらかの間を置いて唐突に)
イーリス。キミ、想い人は居るかい?
姉は、とても聡明でしたから……。
周りだけではなく、自分にも厳しかったのですが……。でも、優しい所もあって、自慢の姉です……。
(想い人、の言葉に肩がびくんと跳ねる。みるみる顔が青ざめて)
あ……その、それは……。
……『居る』と言うより、『居た』と言う方が、正しいです……。
……居た……。
(少女の様子と過去形の表現から察して声を落とし)
そういった相手が居るのなら、キミの美徳は肯定し守られるのだろうと。
そう、思ったのだけどね。

……一人の少女が歩む道としては、歪んでいる。……此処も……。
(酷く濁る面構えを隠すように俯き、低く呟く)
(青い顔のまま、力なく首を横に振る)
……いいえ、いいえ。それは、きっと違うと思うのです。
だって、私は……何度もその方に、肯定して頂きましたから……。
……その方の言葉も、思い出しました。
『お姉さんの言う事も正しいけれど、君の素直な心は大事にするべきだ』と……優しく言って下さって……。
……。
(先の調子から戻るように「こほん」と咳払いして)
きっと、優しい人だったんだろう。人の心を肯定できる人間は得てしてそういうものだからね。
僕としては、その二人の言い分がよく分かるもので悩ましいけれど……。
(敢えて、と決心するように少女へと向き直り)
先程の御仁ではないけれど、少し言葉を借りよう。
キミの心の在り様もまた、たくさんあるキミの良いところの一つだと僕は思うよ。
(言い終えてすぐ、バツの悪そうに視線を外し)
僕には些か眩しいくらいだ。……その心のままに、幸せを得て欲しいのだけどね。
(ほんの少しだけ微笑んだ。まだ顔は若干青ざめていたが、それでも言葉が慰めになった様子)
……本当に、お優しい方なのですね。グレイ様は。
見ず知らずの、世間知らずなこんな私を、何度も慰めて下さって……。
私は、貴方の様な方にこそ、幸福が訪れるべきだと思うのです……。
優しい人が、不幸であって良い筈が無いのです……。
(僅かに視線を戻し、微笑む少女を見る。そうしてすぐにまた視線を外し)
そう言えるキミが僕は好きだよ。ズルい大人は優しさに打算が混じるもの。
キミの行く末に興味を抱いて、善し悪しに関わらず背中を押してみようと思った僕のように。
だけど……やはり微笑む顔がよく似合っている。その顔が濁る様を見たくなくなってしまった。
本当なら何かしてあげられると良いのだろうけど、誰かの為に何かをしようという経験がなくて困ってしまうな……。
私の為に、何かを……?
そんな、こうしてお話し出来ただけでも嬉しいのに、そんな贅沢を――
(続けようとして、ぴたりと一度言葉を区切る。そして、何かを思いついた)
……それでは、ひとつ。
再び何処かでお会い出来たなら……またこうして、私と話をして頂けますか?
グレイ様の世界であった、様々な事を、沢山、聞いてみたいのです……。
(想像していたよりもずっと単純な提案に拍子抜けしながらも、快く受け入れ)
いいとも!伊達に長生きはしていないからね。きっと、望む話を聞かせてあげられるだろう。
その時は何なりと。
なに、世界は思いの外狭いのだよ。案外、どこかでばったり会うさ。
さて……。
(スッと立ち上がり、夜風に髪を靡かせて目を細め)
……んー……風が気持ちいいね。……ふふ、いい場所だ。
如何せんおしゃべりなもので、すっかり長居してしまった。
名残惜しいけど、そろそろ行かなければ。
そうですね……。
こうして、偶然出会って、お話も出来ましたし……きっと、またお会い出来そうな気が致します。
その時は、またきっと、色々と聞かせて下さい……!

(立ち上がったのを見て、自分もゆっくりと立ち上がり、ぺこりと頭を下げる)
あ、今日は、本当に有難う御座いました……!
夜ですし、冷えますから……お身体には、どうかお気を付けて……。
うん。キミもね、イーリス。貴方の旅路に幸多からんことを。
それじゃあまたね!
(後ろ手に手を振りつつ立ち去っていく)
はい、また……どうか、お気を付けて……!
(行く背中を、小さく手を振って。遠くなるまで見送った)
(再び、石段に腰掛け空を見上げた。彼の人が来る前より、星が瞬いて見えた)
……今日は……とても、良い夜ですね……。

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