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Wiegenlied

【1】Eingang

【唄う鵯亭】

幻想――”レガド・イルシオン”某所。
繁華街の大通りに店を構える大衆酒場である。
気っ風の良い老婦人と其の息子夫婦が切り盛りする繁盛店だ。
地元民よりは冒険者達が情報交換の場として利用している事が多い。

1階は酒場、2Fは宿屋。
早い、安い、美味い。

今日も、眠らない街が湧いている。

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(自分の目に覚えがある。其れは、どういう意味だろうか)
(常にヒトの顔色を伺い、絶望と悲哀に彩られた”虐げられる者”の目)
(傷面の男は、何と自分を重ねているのだろうか)

……私は、”かみさまのいるところ”から、きた。
聖都のほうじゃなくて……もっとずっと外れの、小さな村。

(聖教国ネメシス。聖なるかなを尊ぶ宗教国家)
(”神”の御名のもと、”正義”を執行する者達が集う其の地では、老いも若きも男も女も。其の全てが”神罰者”であった)
(嗚呼、そうだ。此の呪わしき我が身こそ、”悪魔”であると――)

あなたの望む答えかどうかは、わからないけれど。
幻想に来たのは、つい最近。大規模召喚が起きてから。

(其れまでは各地を転々としていたのだと告げて)
(影は男から視線を外すと、ジョッキに視線を落とし乍ら言葉を切った)

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