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Wiegenlied
(ものに宿るいのち)
(嘗て『あってはならないことだ』と。『誰にも言ってはいけないわ』と。
唾棄すべき思想であると。悍ましい”魔女”のちからであると)
(ああ、けれど――今はそれが、こんなにも)
へ、…………へんじゃ、ないかな。
(自分では見えないけれど。頭に乗ったやわらかい感触にはにかんで。
彼女の胸の内から零れ落ちたように生まれた蝶を。ひとひら、ゆびさきに招こうと。
もしも蝶が娘のゆびさきに届いたなら。溢れたおと。意味を持ったことのはに、目を瞬かせ)
アイラは、……冬が、きらい?
(多くは語らず、そう問うた。蝶が触れなかったとしても。
彼女が自身のちからに何らかの憂いを抱いているのではないかと、花のかんばせ伺って)
しゅく、ふく?
……そ、そうなの、かな。
えへへ。……そんなふうに言ってもらえると、うれしい。
(少女が快諾を示してくれたなら、きゃあ、と黄色い歓声を上げて精霊たちは思い思いに飛び回り始めた。
花に腰掛け歌うもの。朝露で喉を潤すもの。興味深げに少女を観察するもの、様々だ)
よかった。
みんな、おしゃべりがだいすきだから。
(話し相手が増えたことを、きっと歓迎してくれている筈だと添えて)
(嘗て『あってはならないことだ』と。『誰にも言ってはいけないわ』と。
唾棄すべき思想であると。悍ましい”魔女”のちからであると)
(ああ、けれど――今はそれが、こんなにも)
へ、…………へんじゃ、ないかな。
(自分では見えないけれど。頭に乗ったやわらかい感触にはにかんで。
彼女の胸の内から零れ落ちたように生まれた蝶を。ひとひら、ゆびさきに招こうと。
もしも蝶が娘のゆびさきに届いたなら。溢れたおと。意味を持ったことのはに、目を瞬かせ)
アイラは、……冬が、きらい?
(多くは語らず、そう問うた。蝶が触れなかったとしても。
彼女が自身のちからに何らかの憂いを抱いているのではないかと、花のかんばせ伺って)
しゅく、ふく?
……そ、そうなの、かな。
えへへ。……そんなふうに言ってもらえると、うれしい。
(少女が快諾を示してくれたなら、きゃあ、と黄色い歓声を上げて精霊たちは思い思いに飛び回り始めた。
花に腰掛け歌うもの。朝露で喉を潤すもの。興味深げに少女を観察するもの、様々だ)
よかった。
みんな、おしゃべりがだいすきだから。
(話し相手が増えたことを、きっと歓迎してくれている筈だと添えて)
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レガド・イルシオン郊外。
東のそらが白みはじめ、鴉、次いで小鳥が歌い出す頃。
木々が、草花が、白露を帯びている。
白銀の枝葉を揺らす風に乗せて。
微かな歌声が、静寂の森に満ちていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
1:1RP。
アイラとわたしの、或る日の一幕。