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Wiegenlied

【4】Bewegt

【黄昏の扉亭】

レガド・イルシオン某所。
薄暗い路地に仄かな明かりが灯り始める頃。
水煙草を吹かす露店商に、客引き女郎の甘ったるい声が響く。

盗賊、傭兵、冒険者。
所謂”荒くれ者”の集う其の酒場は、黄昏時に扉を開く。

お世辞にも綺麗とは言い難いが、不思議と食事は美味い、らしい。

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『ハッ、口だけって訳じゃあ無さそうだな!』

(砂狼の飲みっぷりに気を良くしたのか、店主は笑顔の侭水の入ったグラスを砂狼の前に突き出した)
(仕事に向かうなら少し酒を抜いて行けよと添えつつに)
(女中から零された問いには、鷹揚に頷き乍ら)

『主に深緑の奥深くにしか顔を出す事の無い幻獣だそうだ。捕らえるのも難しいし、そもそも個体数が少なくてな。
 ブツが盗まれたのは早朝。太陽が昇り始めるよりも少し早い頃だったそうだ』

(生死を問うのか。影の問いには、ふうむ、と顎を摩りつつに)

『出来れば生け捕りにしてこいとの事だ。普通に殺るよりも手が掛かるだろうが、
 依頼主たっての希望でね。自警団には引き渡さずに、此方に引き渡せ、との事だ。
 報酬は一人頭500G。奴らの他の盗品の処遇はお前らに任せるよ。
 それじゃあ――頼まれてくれるな、”特異運命座標”さん達よ?』

(告げて、店主は不揃いの歯を見せて笑った)

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