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Wiegenlied

【4】Bewegt

【黄昏の扉亭】

レガド・イルシオン某所。
薄暗い路地に仄かな明かりが灯り始める頃。
水煙草を吹かす露店商に、客引き女郎の甘ったるい声が響く。

盗賊、傭兵、冒険者。
所謂”荒くれ者”の集う其の酒場は、黄昏時に扉を開く。

お世辞にも綺麗とは言い難いが、不思議と食事は美味い、らしい。

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ニコ、

(此の扱いには慣れているからと。口に出すことこそ無かったが、自分は傷付いてはいないと女中を仰ぐ)
(酒は飲めないことも無い。故郷では、15を迎えれば成人と認められていたからだ)
(けれど、此の幻想ではそうではない。極めて違法に近い場末の酒場とはいえ、酒を呷る事は憚られた)



(どうしたものかと首を傾けていた影の横からにゅっと伸びてきた腕)
(影が振り向くのと、砂狼が酒瓶を傾け始めたのはほぼ同時だった)

ら、ラノール。
だい、……だいじょうぶ?

(旅人の中には、小柄だが全身を筋肉の鎧で固めたドワーフなる妖精族が居ると聞く)
(彼等は揃って酒好きで、そんな彼等をも殺す火酒。其れを、そんなにも勢い良く!)
(気遣わしげな自身とは裏腹、常と変わらぬ調子の砂狼に、影は目を丸くするばかりだった)

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