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Wiegenlied

【2】Atmen

【始祖の霊樹】

アルティオ=エルム。
木々に親しみ、大自然の生きとし生けるものを愛しむ緑の民が住まう大樹の麓。
入り組む枝葉を掻き分け、開けた其の先。

――其処には、数多の生命が息吹いていた。

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(礼を告げられれば少女は長い銀の髪を翻して、『いえ』と短くことのはを返す)
(大人たちの歩幅に合わせ、少しばかり早足の歩調は淀み無い)
(木々の合間を縫い乍ら歩く事暫し。村外れに差し掛かったところに、”其れ”はあった)

『此の樹をお使いください。今はもう、住まう者のいない古木ではありますが。
 少し土埃を払えば、羽休めには十分の場所となることでしょう』

(村の住居は二種類ある。一つは茅葺屋根の小屋。もう一つは黄金の樹其の物を住居に改造したもの)
(少女の指し示すものは、どうやら後者であるようだった)

『水路を汚したり、食べる以外の用途で無闇な殺生をしないように。
 其れさえ守って頂けるのであれば、我々は貴方達の自由を約束致します』

(木製の鍵を影に手渡しつつに。困った事があれば呼び付けて欲しいと添えて)
(少女は一度深く頭を下げると、来た時同様足早に家路に着いてしまった)

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