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Wiegenlied

【2】Atmen

【始祖の霊樹】

アルティオ=エルム。
木々に親しみ、大自然の生きとし生けるものを愛しむ緑の民が住まう大樹の麓。
入り組む枝葉を掻き分け、開けた其の先。

――其処には、数多の生命が息吹いていた。

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(うん、うん、と何度か相槌を打って。露わになった影の顔を仰ぎ見て)
(老婆は影の生い立ちを聞いても、尚。唯々、優しく微笑むだけだった)

『ルシアン、此の子たちに止まり木を。
 銀の水路に連れて行っておあげ』

(傍の少女が名を呼ばれれば、閉ざしていた瞼と唇を開いて是を示す)

『大婆様は貴方達を許された。
 マルローンは貴方達を歓迎します』

(立ち上がった少女は老婆へ恭しく頭を下げると特異運命座標達を促すように歩き出す)
(再び開かれた扉。黄金の樹のひかりを浴び乍ら、少女は一度、面々に向き直った)

『私はルシアン。大婆様の曾孫にあたります。
 マルローンでの滞在に何か不便がありましたら、お声掛け下さい』

(少女が”外の者”を連れ歩いていると云う事)
(其れが此の村にとって許容の印なのか、村人達は先程よりも自然な様子だった)

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