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Wiegenlied
……そんなことは、無いと思うけれど……。
(直ぐ傍の壁――否、巨大な都市の、大樹の鼓動が聞こえる。嗚呼、其れの何と優しいこと)
(『おかえり』と告げる音。何処か懐かしさすら持つ其の声に、目頭が熱を持ち掛けて。慌てて空を見上げて込み上げる雫を遣り過ごした)
……そう、かな。
そうなの、かな。
(砂狼の促す声に、恐る恐る一歩を踏み出し)
(『こっち、こっち』。囁く呼び声に誘われるように。一度踏み出してしまえば、二歩目を苦に思う事は無い)
(深緑の入り口。其れは、巨大な樹の身の丈に相応しい、此れまた巨大な樹洞だった)
(直ぐ傍の壁――否、巨大な都市の、大樹の鼓動が聞こえる。嗚呼、其れの何と優しいこと)
(『おかえり』と告げる音。何処か懐かしさすら持つ其の声に、目頭が熱を持ち掛けて。慌てて空を見上げて込み上げる雫を遣り過ごした)
……そう、かな。
そうなの、かな。
(砂狼の促す声に、恐る恐る一歩を踏み出し)
(『こっち、こっち』。囁く呼び声に誘われるように。一度踏み出してしまえば、二歩目を苦に思う事は無い)
(深緑の入り口。其れは、巨大な樹の身の丈に相応しい、此れまた巨大な樹洞だった)
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アルティオ=エルム。
木々に親しみ、大自然の生きとし生けるものを愛しむ緑の民が住まう大樹の麓。
入り組む枝葉を掻き分け、開けた其の先。
――其処には、数多の生命が息吹いていた。