その部屋は女王の執務室から近い位置にある。

客人を招き入れるための部屋。

壁には絵画が並び、棚には珍しい陶器のカップや調度品が置かれていた。
部屋の中央には大きなテーブル。それを囲むようにゆったりとした黒革のソファー。
毛の長い絨毯は、まるでクッションのように柔らかな感触を足裏に伝える事だろう。

エゴですか？我儘なんですね？
エコでも良いじゃないです？これも人の我儘ですし？

ん？
どうかしましたか？（額の瞳が開き観察する）

だって我(わたし)は我が儘だもの。問題ないわね？

……んー？
いいえ。なんでもないわ？

まぁ……
問題ないですかね？

？？？はぁ？（不思議そうに）

こ、こほん……(仕切り直すように咳払いし)

ところでティアブラス？

はい？
どうかしましたかね？

以前言ってた食べ物についてなのだけれども。
作り方を教えてくれないかしら。
いえ、言葉では教えてもらったのだけれども、ほら、実際にやるとなると色々あるかもしれないし……？

骨のから揚げでございますか？
えぇ……良いですよ？
でも大丈夫でございますか？油とか大丈夫でございますか？

え？
油ってあれでしょ？
琥珀色の液体で火が付くやつでしょ？
何か問題あるの？(首をかしげ)

間違ってはいませんが使用方法は大丈夫ですか？

貴方は使用人にご飯を作らせているように見えましたので？

え？
焼くのでしょう？(早速迷走を始める)

ええ。
基本的に我が眷属に任せているわ。

違います、油を温めて揚げるのですよ？
焼いてしまったら炭になってしまいますよ？

やっぱりそうでしょうね。

そうなの？
え、でも、油って燃料よね？

熱した油……あぁ。
確かに戦争でも使ったわね！
恐ろしく癒えない酷い火傷を負わせるのだわ。

だって、料理なんて生まれてこのかたやったこともないし……記憶にもないわ。

それも違います、ちゃんと食用の油というモノがあるので
まぁ燃料にもなりましょうが、

確かに酷い傷になるかもしれませんねぇ
って料理の話でしたよね？

あらあら、ではご飯を作れるようになることからが
大切じゃないです？

え、ち、違うの……？

え、あ、うん。そうね。
戦争の話になると、つい。

ご飯を作れるように？
んー？
切って焼けば大体第じゃない？

違いますよ？

まったく、戦争の話なんてしておりませんよ？（じー）

ただ切って焼いただけではないですか？
料理とは見た目、そして誰かに食べて貰いたいという想いですよ？
勿論おいしいのも大切ですがね？

むむむ……？
して、なかったかしら……？

ふむ。
食べてもらいたい、想い……。
(思案して)
食べてもらいたいという、想いは、あるわ？

はい、しておりませんので？

えぇ、じゃあその御仁の為にも
ちゃんと作れるようにならないといけませんよ？
切って焼くなんて料理じゃないのですから。

そう。
残念……。

むむ……。
そうなのね。ティアブラス、料理はどうすればいいの？

戦争なんて、何度見ても変わらないので？
勝って負けての繰り返し、痛みはいつか忘れる愚か者（

えぇ、天使に聞いてしまうのですか？
食べる料理が違いすぎませんか？

……そうね。
人が死ぬことに変わりはないわ。そして、現場の悲惨さも。

……え？
違うの？

そうですね、結局人は死んでしまいますね。
それも運命ですが（

貴方の様なちゃんとしたご飯はあまり食べてませんね
多分ですが……

運命という言葉はあまり好きではないけれど……天運について高説を垂れる側としては皮肉か。

……。…………え？
ちょっとそれ大丈夫なの？
普段はなに食べてるのよ？

ﾌﾌｯ
決まった道を歩くのが運命
道を作るモノは開拓者
では道を自ら破壊するモノは？

普段はあまり食べませんね
食べられないとかではなく食べないが正しいのですかね？
食べるという行為は面倒でございまして（

破壊するもの……なにかしら？
お化けとか？

面倒って。
それじゃぁちゃんと栄養とれないじゃない。ダメよ。そんなの。
やっぱり我(わたし)が何か作るのだわ。

お化けでございますか……（ｸｽｸｽと笑い）
可愛らしい回答ですね？

でもレジーナ？貴方ご飯作れないでしょう？

む？
それは違うって反応ね。
なによぅ。可愛くないし。

……。……まぁ、そうだけれど……そこは、あれよ。
鋭意努力というものだわ？

いえいえ、人によって其処の回答は違いますから間違いではございませんよ
でもお化けは予想外でしたね？

ふむふむ、やる気満々という事で御座いますね？

むー……なんだかバカにされてる気がするのだわ(頬をふくらませ)
わ、我(わたし)だって本気で答えた訳じゃないのだわ。ジョークよジョーク。

ええ。
ティアブラスの食事事情があれだと知ったからにはね。
頑張るのだわ？

私はいつも大真面目ですので？
但し周りからは中々そのように捉えて頂けませんが（何故か…と言葉を付けたし）
あれ？ジョークでしたかね？

まぁ、まぁ
それはとても楽しみでございますね？
えぇ、えぇ　期待して待っていますよ？

真面目ねえ。
かえってたち悪いかも知れないわね。

……じ、じょーくよ？

絶対、美味しい！
て言わせるのだわ！

そんな風に言われてしまうと天使の名折れですねぇ
素直って良い事ではないですか、えぇ、隠し事は面倒ですし（素）

はい、
じゃあその時を楽しみにさせて貰いますよ？

もなは、いいようね？
(ふふ、と笑い)

ところで、ティアブラスて好きなものとかあるの？

もな？
もな……？（考え中）

好きなモノでございますか？
そうでございますね。基本何でも食べられますが
そうですね、食べると心に刻まれる料理なんて好きでございますね（

(自分の口元を隠しながら)
こほん。
自分でなんといってるのかわからないのだわ(ちょっとだけ耳が赤い)

食べると心に刻まれる……？？

あるあるでございますね、
時々相手に聞き取り難い言葉が漏れる事がありますし。
混沌肯定が時々機能してない時があるのかもしれませんね？

そうそう、心に刻まれる
つまり、本当に美味しいと思えるご飯が私の好物えございます。

なるほど……。
混沌肯定も万能完璧ではないのね。

ふむ……すごーく、難しい好物ね。
(悩む)

まぁ完璧なんですけど（ﾎﾞｿｯ）
そう言う風なせいにしておけば恥を掻いても誤魔化せるという事で御座います
えぇ、便利でございますねぇ（

ちゃんと作れば伝わるという事で御座いますかね？

え、え？
結局きこえてたの？
というか、普通に変なこといっただけよ。もぅ、はずかし！
(頬を両手で隠しながら)

……。
…………伝わる、料理を作るってことね。

いえ？聞こえなかったですよ（
機能してなかったんですね～（のほほんとしながら）

ん、気持ちが大切です
レジーナにもそういう御仁が出来るはずですので？

そ、そう。
それはよかったのだわー。(棒)

……。……そうねぇ(遠い目をして)

？？？
どうかしましたか？

ん？
ううん。なんでも。
ちょっと骨の揚げ物ってどんな味するのかなぁて思って？

カリカリとして
とてもとても美味しいのですよ。
味は……動物や魚によって味は少し変わりますねぇ。

油を調達すれば割りと簡単にできるのよねー。
ローレットに置いてないかしら。

ローレットには置いてなかって気もしますねぇ。
市場、若しくはラサ辺りなら売ってるかもしれませんねぇ？

市場か……。眷属に御使いを頼むか。

ティアブラスて料理は普段作るの？

料理？いえ、作る必要が無いので？
ほら、献上品が多いので（

ただ、そうですね。
作れる時は作るといった感じでしょうか？
非常に面倒ですが（素）

献上品？

と言うことは、作れることには作れるのね。

私、これでも敬虔な神の使いでございまして（
信徒がお供え物をして頂く事が多いのですよ。

まぁそれなりにはですかね？
一応世界の文献、遺（オーパーツ）書等も読んでいたりしてましたので

お供え物……。
なんだかそれはそれで……托鉢？ とかそんなかんじなのかしら。

……オーパーツ？