PandoraPartyProject

ギルドスレッド

美少女道場

【RP】前略、貴方へ

貴方はこの物語の続きを知っていますか?

(美少年と美少女の間で交わされ、紡がれる童話。
 無数の手紙と原稿用紙の束。その記録)

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約束した事だからちゃんと仕上げたかった、否……なんでもいいから話がしたかった。
ちゃんともう一回話がしたかったんだ。
………暇はしている。
が、ボクの時間は漫然と浪費していいものでもない。
要件を言え。
……いや、要件はもうない。

言いたかった事は話せた。
そう。

(左の腕が自身の胸元を探ろうとして空を搔いた。
 自らの手荷物は、あの忌々しい細剣も含めてベッド脇に置いてあった。当然水煙草も。
 無理をすれば取れないこともないのだろう。無理をすれば。)


(面倒そうに息を吐き、諦めるように視線を伏せる。)

(日常の動作で誤魔化していたはずの思考に費やす時間が、可視化された間になる)

……お前はあれだな。
見た感じ大した怪我じゃなさそうだな。羨ましいことだ。
うん。

(静かな夜のような瞳が魔法使いに注がれます。
 長く生きた亀のように緩慢だけれども自然な動作でゆっくりと瞬きしました)

でも、入院期間はお前と同じだよ。骨が砕けてるらしい。
そういう意味では、同じ期間でその状態が治るお前は不思議な体質だな。
吾よりもよほど重症に見えるが。
見た目通りの重傷だ……急所はある程度外してはいるがな。
本体の負傷を回復し、内部の亀裂とひび割れがくっついたら、外装と機能を整備し直して終いだ。
腹が立つくらい安上がりで手軽だろう。
だからボクからお前に頼むようなことは特にない。
この腕では頼まれても何もできないよ。

(ガチガチに固められた両手を示す様に持ち上げて見せました。
 包帯の端から見える地肌は過酷な戦闘を超えたのがウソのように滑らかで傷一つありません。
 ですが、その表面とは裏腹に酷使した拳は砕けて固定していないと再生する時にズレてしまうのです)

リンゴを剥いてやる事だってできない。

(ちょっと自嘲と冗談が混ざった声でした)
やりたきゃ勝手にやればいいが頼みはしねえよ。今回の件もそうだ。
それよかお前は自分の面倒を見ろ。
ローレット経由の依頼だっただろ。別に頼まれたからだとか、頼られたかったからじゃない。
現に吾は依頼達成優先でお前のバックアップをしなかった。
あ”ぁ…………?
………まあいい、いいということにしてやるが、自分の面倒見る部分の返事になってねえよ。
訳アリっぽかったから様子を見に行っただけだ。

お互いに勘違いしないために聞いておきたいんだが、お前の言う自分の面倒を見るって例えばどんな事?
…………秋バラがやっと咲いたよ。
苗は去年からあったんだが、幻想から輸入した時に病気がついてしまっていたので今まで花を全部摘んでいたんだ。
だけど、夏を超えて大きく生育したから今年の秋は咲かせることにした。
そう。上手く咲いたら他所にでも見せびらかしてやれ。
うん。
……出発前に最初の蕾が咲いたんだ。退院するころにはもっと咲いているだろう。
アレは色は薄いピンクでありふれた形だが香りが良い。
バラの香りなんて言うが、実際に香るものは少ないからそれが気に入って買ったんだっけか。
バラの香りが好きというか、同じものでも感じる手段の多いものの方が好きだな。
香りだけじゃなくて実をつけるものも好きだぞ。
銀盃花マートルとか、か。
使い道がや楽しみ方が多いに越したことはないが…ボクはそういう手間のかかるものはすぐ枯れさせる。だから造花で済ませているわけだが。
そうだな。暖かい地域の植物だから吾の庭には無いがそういうのだ。
植物にもいろいろあるが……まぁ少なくとも水やりや土の管理は必要になるからな。見た目だけ楽しむのであれば造花の方が賢い選択だろう。
それに自然にあるものは一部を切り取れば美しいが、全体を見ればどこかしら汚い部分がある。
……でも、そうだな。
例え求めて居なくても目に入れば季節を知らせてくれる点は好きだ。
野花なんかは何も手を入れなくても勝手に茂って勝手に咲くからな。そういうのを見るのもすきだ。
へぇ…… お前、山歩きするものな。
それじゃあ自分の領地周辺の植物とかも一通り把握してたりとかするのか。
してる。
そこは趣味と仕事が半分半分だけどな。
うちの領地の産業は農業主体だから周囲の植物の特性を把握しておかなければいけないし、今は情報の編纂もさせてる。
面白いよ。吾は花の名前ならわかるが、現地民は名前は特に付けていなくても利用方法を熟知している。
自然環境に密接した共同体では、その環境を題材とした芸術作品が生まれ難いのと似ているな。環境の一部、自らの一部として認識している者に対し、特別ななにかを抱かないから。改めて分類をする必要がないのかもしれないな。

………お前、思ったよりも領主してるな。
そういうのもっと自慢しろよ。
別に自慢するほどの事はしてないだろ。
土地の博物記なんてどこでも作ってるし……。
うちは着手まで遅かったからな、今更恥ずかしいくらいだ。
政治屋でもない冒険者は後回しにしがちな所だろ。
つーかボクはやってない。練達は練達だったし、鬼楽は鬼楽で元々あったしな。
元々ある所はいいよな。
ヴィーザルは口伝重視だし、纏めようと思っても現地の三氏族と鉄帝からの入植者の軋轢があって最初は上手くいかなかった。
執政官もそれぞれ派閥があるので……吾がいう事を聞かせるしかない。ほんとにめんどくさかった。
……でも、バラバラになってる知識を結び付けて民に開くのはいつか吾が居なくなった時の為に必要だろ。
お優しいことだな。
それともどこぞに寝床を移す予定でもあるのか。
へぇ…… まあ、選択肢があるに越したことはないな。
もっと自分の肌に合う場所とか、やりたいことをやれる場所とか、挑戦したいこととか。
そういうものの為に、気軽に古巣を出て行ける心構えとか根性の話だ。
ああうん。そういう事、そういう事だな。
……。

お前もせっかく作った練達の街を変換してこっちに来たんだよな。
金を払えば欲しいものが手に入って、探せばそこらに娯楽が転がってて、元手とやる気さえあれば好きなだけ資本を膨らませることができたが……あそこは便利なだけだったからな。
なにかに挑戦するにはあそこはなにもかもが揃い過ぎる。
それもいいんだろうが…………まぁ、ボク向きでなかったことは確かだ。
映画村とか進めてた事業もあっただろうに。
……それで、物資も少なく人手も人材もない僻地に越してきてどうだ。
勉強することが一挙に増えたな。
今はできるだけ低いコストでどう道路整備事業を成し遂げるか、そのためにどうやって下の人間を納得させるかとか、そういうゲームを楽しんでる。
道路を整備しようと思ったら区画整理がついて回るからな。
物流や防衛面から見ても道路は重要だ。かと言って家屋が邪魔だ取りつぶすではお前の統治にはそぐわぬだろう。
……その為に娯楽として砂糖を流通させたのか?
面白かったぞ?
普段は実力だ腕っぷしがなんだと言ってる奴らが、砂糖菓子ひとつで譲歩をしたり、甘味をねだる子供の為に曲がって見せたりと。娯楽は人を豊かにするし、ボクの仕事もやりやすくなる。
それに売りに出せるもの、地元で作れるものがあるというのは、それだけでそこに生きる人間の誇りになるからな。

お前んとこだってあれだけ農地があるんだ。そういうの何かやってるだろ。
……高級ハチミツ作ったりとか……いやそうじゃないな。
……うーん、やってないな。
チョコレートを輸入して与えたりとか、そういう事はしてるが……自分の持っている文化と合わせるという事が進んでない。
吾が手を入れれば進むんだろうが……。
やってないのか……。
お前んところにはお前の考え方があるんだろうが、暇な奴らに与える仕事ができたり、客をもてなすにも話の種にも使えるし、あって悪いことはないぞ。
考えとくといい。今は難しい時期だろうがな。
環境をよくすれば自然と出てくるものかと思っていた。
でもそうよな。物事には思惑があって上手くいくいかないにしろ、やらねば結果も出んか。
……一応、考えはある。具体的に何かを導入するというものではないが……。
いや、そういうのではなくてだな。
えーっと、米の収穫量が一番多いので米を使った特産品開発の対抗戦……かな。
吾の好みだけで作るものではないだろうし。
へぇ………なんかいい具合の酒ができたら呼べよ。
気に入ったらお前のとこに卸させてくれよ。
それなら下の奴らが娯楽に飢えてるうちで頼んだ。
早いに越したことはねえが……



……なんだ。そのペースでいいぞ。
…………?

(僅かに首をかしいだ。艶やかな髪が光が当たる角度を変えて黒から深い青へと輝く)
(ふつ、と息を吐くと横たわった体が、小さな軋みをあげて寝台に食い込む。)

………今度こそ満足したかよ。
うん

(小さく頷き、再び他愛もない話を始める。
 収穫した果実の話、花の色、空のあわいの細やかな好ましいものの事。
 時に沈黙を挟みながら、柔らかな時間が過ぎていく)

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