ギルドスレッド
美少女道場
(遅い春を迎えつつある庭園は、いわゆる海洋風の風景式庭園に近かった。
砂利で作られた小道の両脇を小さな花をつける草が覆い、花壇という区分さえ無い様子で大小の草花が茂っている。
半ば迷路のように人間の移動経路と視線を遮断した先に庭の主人は居た)
（俯いた花を指先で持ち上げてその中の色合いを確認している。
風が吹いて髪が顔にかかっても払いのけることなくじっとして動かない）
砂利で作られた小道の両脇を小さな花をつける草が覆い、花壇という区分さえ無い様子で大小の草花が茂っている。
半ば迷路のように人間の移動経路と視線を遮断した先に庭の主人は居た)
（俯いた花を指先で持ち上げてその中の色合いを確認している。
風が吹いて髪が顔にかかっても払いのけることなくじっとして動かない）
（ざくざくと早足で砂利を踏みしめる音が響いた。
領主に対する気遣いとか、景観を楽しむ余裕とか、そういうものが全くない、この辺りの人間にしては極めて不遜が過ぎる足取り。それから遠巻きにその様子を伺う、恐る恐るといった風な足音がいくつか。
その乱暴な方の足音は、あなたの背中を見つけると真直ぐと歩を進める。
領主であるあなたに対し挨拶もなく、だ。
首を撥ねられるのが怖くないらしい。）
領主に対する気遣いとか、景観を楽しむ余裕とか、そういうものが全くない、この辺りの人間にしては極めて不遜が過ぎる足取り。それから遠巻きにその様子を伺う、恐る恐るといった風な足音がいくつか。
その乱暴な方の足音は、あなたの背中を見つけると真直ぐと歩を進める。
領主であるあなたに対し挨拶もなく、だ。
首を撥ねられるのが怖くないらしい。）
（足音を感じ取ると僅かに眉を寄せた。
別に庭に入る事を禁じている訳ではないが、人に会うのが酷く億劫だった。
身の回りの事をさせている使用人たちもそれを感じ取ってか、最低限の会話しかしてこないが、この足取りだと緊急の要件でもあったのだろうか）
（その足音が急いでいるというよりも、いっそ領域を侵すほどの乱暴さであるのに気づかなかったのは感覚が鈍磨していたからか。
それとも、その可能性を意図的に考えないようにしていたからか）
（振り向いた時、その表情は驚きというよりも痛みに揺れていた）
別に庭に入る事を禁じている訳ではないが、人に会うのが酷く億劫だった。
身の回りの事をさせている使用人たちもそれを感じ取ってか、最低限の会話しかしてこないが、この足取りだと緊急の要件でもあったのだろうか）
（その足音が急いでいるというよりも、いっそ領域を侵すほどの乱暴さであるのに気づかなかったのは感覚が鈍磨していたからか。
それとも、その可能性を意図的に考えないようにしていたからか）
（振り向いた時、その表情は驚きというよりも痛みに揺れていた）
知ってるとも。
わざわざここまで来てやったのは別件だ。
お前んとこの領民から匿名で陳情書が届いた。
なんでもご領主殿が目に見えて病み衰弱しておられるが、領民の身の上では尋ねることも相談することもできず困ってるとか……で、そういうのを問題なく聞けそうで、且つ比較的距離の近い所にいるボクに『お願いしたい』と。
そういう内容が来たわけだ。金一封付きでな。
端的に言えば小金儲けだ。他に質問は？
わざわざここまで来てやったのは別件だ。
お前んとこの領民から匿名で陳情書が届いた。
なんでもご領主殿が目に見えて病み衰弱しておられるが、領民の身の上では尋ねることも相談することもできず困ってるとか……で、そういうのを問題なく聞けそうで、且つ比較的距離の近い所にいるボクに『お願いしたい』と。
そういう内容が来たわけだ。金一封付きでな。
端的に言えば小金儲けだ。他に質問は？
別に病んでも衰弱もしていないし、そんな陳情書を書くような奴はいない。
（生垣の向こうから伺う視線に虫でも払うかのように散れ、と合図を出して）
ついでに言っておくが、埋め合わせを断ったのはお前に会いたくなかったからだ。
（生垣の向こうから伺う視線に虫でも払うかのように散れ、と合図を出して）
ついでに言っておくが、埋め合わせを断ったのはお前に会いたくなかったからだ。
あ、そう？
まあお前がそういうならそうなのかもしれねえな。お前ん中では。
だがこっちには事実として封書が届いたんだ。
それに、その様子を見る限りあながち嘘でもない風に見えるが？
まあお前がそういうならそうなのかもしれねえな。お前ん中では。
だがこっちには事実として封書が届いたんだ。
それに、その様子を見る限りあながち嘘でもない風に見えるが？
（諦念の籠った息を吐いた。
貴方の前では割と薄い表情が明確に億劫そうに歪んでいる）
……で、お前は何しに来たんだ。病み衰弱してる理由を調べるのか？
貴方の前では割と薄い表情が明確に億劫そうに歪んでいる）
……で、お前は何しに来たんだ。病み衰弱してる理由を調べるのか？
（小さく眉を寄せる。が、すぐに元の表情に戻る。）
理由の方は大方見当がついている。
だからボクの目的と言えば…この状況に対して前向きな変化をもたらすことだ。
より上手な『振り』をするように説得するのでもなくな。
理由の方は大方見当がついている。
だからボクの目的と言えば…この状況に対して前向きな変化をもたらすことだ。
より上手な『振り』をするように説得するのでもなくな。
こんなに短い時間で色々考えて実行するためにここまで来たんだろう？
吾はそんなに早くは出来ないし、仮に出来てもお前ほどうまくは出来ないだろうな。
吾はそんなに早くは出来ないし、仮に出来てもお前ほどうまくは出来ないだろうな。
………おう。そういう口を叩くだけの気はあるようだな。
普段ならそういう言い回しには「張り倒すぞ」と返してやるところだが、ひとまずは見逃してやる。
じゃあ、そうだな。
実際お前の言う通り、ボクがそういう何の得にもならない面倒くさい根回しをしていたとしよう。
仕事ではなく、プライベートで、もっともらしい理屈をつけて？
…まあ、考えづらいことだが、お前が「そうだ」と思ったからそういうことだとしよう。
するとなんだ。茶の一杯でも出して談笑でも始めるか？
普段ならそういう言い回しには「張り倒すぞ」と返してやるところだが、ひとまずは見逃してやる。
じゃあ、そうだな。
実際お前の言う通り、ボクがそういう何の得にもならない面倒くさい根回しをしていたとしよう。
仕事ではなく、プライベートで、もっともらしい理屈をつけて？
…まあ、考えづらいことだが、お前が「そうだ」と思ったからそういうことだとしよう。
するとなんだ。茶の一杯でも出して談笑でも始めるか？
お前がそこまでしたなら吾だって「そうしなくちゃいけない」だろう。
どけ、テーブルを持ってこさせる。
どけ、テーブルを持ってこさせる。
あ”？
………いや、いい、いまはいい。好都合だ。
とっととはじめよう。
（脇に退いて準備を待つ）
………いや、いい、いまはいい。好都合だ。
とっととはじめよう。
（脇に退いて準備を待つ）
（使用人達に指示してテーブルと椅子を用意させる。
ついでに言われた通りに茶まで用意させるが……なんの皮肉の意図もなく「そうしなければいけないから」そうしているだけなのだろう。
それなりに高級な茶葉の豊かな香りが恐ろしく空虚に漂う）
で、どういう話だ。
（作業していた者達を再び下がらせてからようやくそちらを見た）
ついでに言われた通りに茶まで用意させるが……なんの皮肉の意図もなく「そうしなければいけないから」そうしているだけなのだろう。
それなりに高級な茶葉の豊かな香りが恐ろしく空虚に漂う）
で、どういう話だ。
（作業していた者達を再び下がらせてからようやくそちらを見た）
具体的な解決策なんざ持ってるわけねえだろ。
むしろどういう話を始めるかこっちが聞きたいくらいだっつーのに、本気で茶を持ってこさせたことに寒気すら覚えてるところだよ。
むしろどういう話を始めるかこっちが聞きたいくらいだっつーのに、本気で茶を持ってこさせたことに寒気すら覚えてるところだよ。
（一瞬、酷く疲れた様な顔をした）
（告げる「べき」言葉がみつからない。今までこういう事は無かった。
いや、元々会話なんて得意ではなかったが、少なくとも目の前の人物相手ならそれなりに出来ていたのに。
ぐるぐると思考だけが巡り、胸の中に重いものが満ちる）
………。
（こてんと首を横に倒したまま、固まって動かない。動けない）
（告げる「べき」言葉がみつからない。今までこういう事は無かった。
いや、元々会話なんて得意ではなかったが、少なくとも目の前の人物相手ならそれなりに出来ていたのに。
ぐるぐると思考だけが巡り、胸の中に重いものが満ちる）
………。
（こてんと首を横に倒したまま、固まって動かない。動けない）
お前最近はそこそこ生意気にできてたと思ったが……まだまだへったクソだなほんとよぉ。
じゃあ、お前にもわかりやすいように聞き方を変えてやろう。
つまり……お前が望んでいるフェアな関係っていうのは、こういう形でいいんだな？
じゃあ、お前にもわかりやすいように聞き方を変えてやろう。
つまり……お前が望んでいるフェアな関係っていうのは、こういう形でいいんだな？
………やだ。
（それならば明確に分った。
なによりも目の前に貴方が居るのにちっとも楽しくないのだ）
（それならば明確に分った。
なによりも目の前に貴方が居るのにちっとも楽しくないのだ）
矛盾を理解できる程度の脳味噌は残ってるようだな。
ボクが「茶を持ってきたことに寒気を覚えた」と言ってやったのはそういうことだ。
まさかこの部分から説明することになるとは思ってもみねえよ。
ボクが「茶を持ってきたことに寒気を覚えた」と言ってやったのはそういうことだ。
まさかこの部分から説明することになるとは思ってもみねえよ。
ボクみたいにやってみればいい話じゃねえかよ。
まさかそこについても説明がいるなんて言わねえよな？
まさかそこについても説明がいるなんて言わねえよな？
………。
（腕組をして不機嫌そうなポーズを取ってみた）
（明らかに慣れていない様子で眉も下がっているし、口もへの字になりきらない）
（腕組をして不機嫌そうなポーズを取ってみた）
（明らかに慣れていない様子で眉も下がっているし、口もへの字になりきらない）
（呆れと苛立ちが混ざったため息をつく。）
お前のことを情緒が未発達な童女だと思ったことはあるが……
マジでやってるってんならそれ以下だな、おい。
（指先は苛立ちを主張するようにテーブルをカツカツと叩く）
いいか、お前、ボクは気が長い方じゃないからいっぺんしか言わねえぞ。
それがボクに対する印象の全てだとしたらクソみてえな侮辱だ。
次それやったら『張り倒すぞ』。わかるか？あ”？
お前のことを情緒が未発達な童女だと思ったことはあるが……
マジでやってるってんならそれ以下だな、おい。
（指先は苛立ちを主張するようにテーブルをカツカツと叩く）
いいか、お前、ボクは気が長い方じゃないからいっぺんしか言わねえぞ。
それがボクに対する印象の全てだとしたらクソみてえな侮辱だ。
次それやったら『張り倒すぞ』。わかるか？あ”？
（細い指がテーブルに触れて、吹き飛ばすまで１秒もかからなかった）
（整えられた庭木に白いテーブルがめり込んで次に同じ色の椅子がめり込む）
帰って。
帰って！！！
（整えられた庭木に白いテーブルがめり込んで次に同じ色の椅子がめり込む）
帰って。
帰って！！！
（椅子に座ったまま、顔の隣を通り抜けたテーブルを視線で追って……。
またすぐに目の前の人間に視線を戻した。
「だからどうした」とでも言わんばかりのふてぶてしさだ。）
あぁ？ なんだって？聞こえねえなぁ。
今さっき誰に向かって口きいたよ。ありんこか？
お前、ありんこ相手なら上手におしゃべりできそうな性格してるもんなぁ？
またすぐに目の前の人間に視線を戻した。
「だからどうした」とでも言わんばかりのふてぶてしさだ。）
あぁ？ なんだって？聞こえねえなぁ。
今さっき誰に向かって口きいたよ。ありんこか？
お前、ありんこ相手なら上手におしゃべりできそうな性格してるもんなぁ？
（濡れた芝の上に座って癇癪を起した幼女のように耳を押さえ何度も首を振る）
やだやだやだやだ！帰って！帰ってよ！
そんなにひどい事言うなら帰って！！
やだやだやだやだ！帰って！帰ってよ！
そんなにひどい事言うなら帰って！！
っっせえなぁ！
ボクが今までいっぺんでも気がよかった事なんざあるわけねえだろが！
それくらいわかってんだろうがボケがよぉ！
いまさら何が気に入らねえってんだよ！意味わかんねえこと抜かしてんじゃねえぞ！
ボクが今までいっぺんでも気がよかった事なんざあるわけねえだろが！
それくらいわかってんだろうがボケがよぉ！
いまさら何が気に入らねえってんだよ！意味わかんねえこと抜かしてんじゃねえぞ！
そんな事言う位なら来なきゃよかったのに！
……本当に、ちゃんといかなきゃ他に行かなきゃいけない人がいる癖に何で来たの……。
嫌なら断ればよかったのに、無理やり誘ったりなんかしないのに……。
……本当に、ちゃんといかなきゃ他に行かなきゃいけない人がいる癖に何で来たの……。
嫌なら断ればよかったのに、無理やり誘ったりなんかしないのに……。
あ”あ”あ”あ”ぁ～～～～～～～～？？？？？？？
いるわけねえだろクソ恋愛脳が！
誰が好き好んでこっちを凌辱したやつと行きたがるかよ！常識的に考えろ！
あーいやそうだなぁお前常識も脳味噌もたりねえわなぁ！
つーか場所指定したのはボクだが？そんなことも忘れたかぁ？
いるわけねえだろクソ恋愛脳が！
誰が好き好んでこっちを凌辱したやつと行きたがるかよ！常識的に考えろ！
あーいやそうだなぁお前常識も脳味噌もたりねえわなぁ！
つーか場所指定したのはボクだが？そんなことも忘れたかぁ？
うそつき！！！うそつき！！うそつき！！！うそつき！！！！
なんで恵愛でそんなことおもいつくの！！！なんでたかがゲームでわたしを傷つけてまで勝とうとするの！！！
しらないしらない！！！ 私以外の人と行けたらよかったのにね！
なんで恵愛でそんなことおもいつくの！！！なんでたかがゲームでわたしを傷つけてまで勝とうとするの！！！
しらないしらない！！！ 私以外の人と行けたらよかったのにね！
はーん、つまりなにか、お前。
普段そこまで自分の容姿だなんだに自信持っておきながら、いざこっちにツバがついてると分かったら途端に気に入らなくなったってか？
ふーんそっかー、まあお前潔癖症だもんなぁ～～。
百兆歩譲って酒で判断力が鈍って話題選びを間違った部分に非があったとしても？
自分が今まで目にかけてきた相手がすでに手垢ついてるとなったら、そりゃあ興味も失せるし帰ってほしいよなぁ？
あーはいはいそういうことね～
普段そこまで自分の容姿だなんだに自信持っておきながら、いざこっちにツバがついてると分かったら途端に気に入らなくなったってか？
ふーんそっかー、まあお前潔癖症だもんなぁ～～。
百兆歩譲って酒で判断力が鈍って話題選びを間違った部分に非があったとしても？
自分が今まで目にかけてきた相手がすでに手垢ついてるとなったら、そりゃあ興味も失せるし帰ってほしいよなぁ？
あーはいはいそういうことね～
（上ずった声が自分のものだとはとても信じられなくて、鼻の奥がツンと痛い）
ちがうもん。
…………ちがうもん。
（膝の上にぱたぱたと音を立てて涙が落ちた）
ちがうもん。
…………ちがうもん。
（膝の上にぱたぱたと音を立てて涙が落ちた）
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咲花百合子が血を好む事は周知の事実だが、花を好むのを知るのは領地で百合子の世話をする者達位なものだろう。
普段から目に見えて深い愛情を注いている訳ではないが、時々小さな花が綻ぶのを見つけてはじっと眺めて居たり、使用人を下げて手ずから植え替えをしていたりする。
貴方が訪れたのはそういうタイミングだ。