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美少女道場

RP『ポンペイ最後の日』鉄帝公演

 ――かくして、悪しき魔種アーベイシーズは神の怒り……ベスビオ火山の噴火により滅び去りました。
 狂乱に飲まれたポンペイの街も今は静かに死の灰が降り積もるばかりです。
 その様子を小舟の上で奴隷のニディアだけが感じていました。
 盲目ながらも彼女の素晴らしい感覚はチリチリと肌を焼く熱気と灰の匂い……或いは滅びの匂いを正確に感じ取っていたのです。
 恐ろしくなってニディアは主人のグローカスを探す様に手を彷徨わせましたが、すぐに諦めて船の縁を掴みました。
 きっとグローカスの横にはアイオンが居るに違いありません。
 この船が陸に着いたら、グローカスが国元に帰ったら、二人は結婚してしまうでしょう。心を狂わせる薬さえも二人の愛を引き離す事は出来なかったのですから。
 ニディアは残る力を振り絞って立ち上がり、磯の香りが濃い方に踏み出しました。

「さようなら、グローカス様」

 水音に船を漕いでいた船頭が振り返りましたが、ニディアの体はとても小さくやせ細っていたので魚の跳ねた音だろうとかたずけてしまいました。
 小舟は陸地を目指してゆらゆらと進んでいきます。
 やがて水平線から日が昇り、疲れ果てて眠るグローカスとアイオンを照らし出しました。

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北方(鉄帝)基準だとヒーローもヒロインも武闘派だな。そこは変わらないらしい。
戦わずして望みをかなえようなんて思想そのものの受けが悪いから、当然といえば当然の改変でもあるな。逆に文官扱いだったクローディアスの結末がああだったのは…まあ、そういうことなんだろう。軽視というか、死んでしまっても仕方ないという割り振りになったんだろうな。
だがグローカスが軍人扱いだったおかげで、アイオンとの関係が一目惚れではなく、長い片思い扱いになった展開は…賛否が分かれるところもあるがボクはそっちのが好きだな。

清貧をよしとし、贅を戒める異教徒が、歓楽都市の終わりの中で生き残ったのも印象的だったな。原本でも明確に死んだという描写はなかったが。この国の風潮的にも信仰をよしとするとかじゃなく、贅を戒める側面のが強いんだろうな。

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