PandoraPartyProject

ギルドスレッド

美少女道場

8月某日、遭難7日目

コン=モスカ領にて依頼人と合流。
ここまではポータルでの移動だが、これから往復5~6日の航海となる。
船上戦は久しぶりだが、船の上で動いていれば現場に辿り着くまでには勘を取り戻せよう。

コン=モスカを出発して1日目
船の上は狭いし、やる事がないので暇である。
暇なので美少年とトランプしたらハチャメチャに負けた。
ポーカーって運勝負じゃないの?
明日から絶望の青、もとい静寂の青に入るらしい。

コン=モスカを出発して2日目
静寂の青という名前の通り、極めて穏やかな航海になった。
以前この海域を通った時は常に荒れ狂っているような波の様子だったが、リヴァイアサンの影響でここまで変わるものなのか。
散発的に標的の化け物が出たので適当に対処した。
美少年はずっと酒飲んでる。

コン=モスカを出発して3日目
目的の海域に到着。
美少年が敵を集めてくれるのでほぼ作業のような戦闘が終わる。
一応、打ち漏らしがいないか確認してから戻るらしい。
甲板に化け物の死体がたくさん転がっているので食べれないか聞いたがアクが強いので無理らしい。
人間もアクが強いのにアクが強いものは食べられないとは不思議である。
って、言ったら美少年が「眼球ってプチトマトみたいな食感で好き」って言った時と同じ顔してた。
解せぬ。

コン=モスカを出発して4日目
早朝、狂王種の襲撃を受ける。

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じゃ、それで。
ボクは葉のほうでいい。

ルールの擦り合わせは……まあ、必要ないものと考えてだ。
賭けの提案をするなら今のうちだぞ。
(はい、と枝をそのまま其方へと差し出して)

ふうん?

(賭け事と言えば金だが、財布なんてない。
 そして、冗談でも負けた方が勝った方の言う事を聞くなんて言ったら面倒なことになりそうな気がする)

……負けた方が勝った方にお話する?
欲がねえでやんの。
じゃあ、それで。

提案の有無を確認したのはボクだが、持ち掛けたのはお前で、勝負の内容を選んだのもお前だ。
あとでどうなっても文句言うなよ。

お前からうて。
なんだか始まる前から圧をかけてくるのな。
……わかった、善処する。

(言われた通り一手目を盤面に乗せる。
 目の数が通常と違うので定石もなにもないが平凡な指し筋だ)
あとで文句言われんのがやなんだよ。
深い意味はない。

(一手目は盤の脇の方。攻めよりも守りを意識した打ち筋。)
ふうん……。

(対してこちらは攻めの姿勢である。大まかに布石を撒いてあわよくば切り取れる陣地を増やそうとしているが……)
(堅実に受けに行く……というわけではなかった。
 守りに余裕があると判断すれば、一歩踏み込んで石を置き、相手の対応を見る。
 最低限の足場を得たうえで、ゲームそのものを複雑化させる。
 そういう打ち方……というより、どちらかといえば当人の性格だろう。)


……それにしてもだ。
お前の方にも囲碁があるってのは、考えてみれば意外だよ。
(教科書通りの打ち方に見えて、一貫して勝ちに貪欲な打ち方であった。
 局面が進むにつれて守る事もあるが、陣地を切り取らねば負けるとばかりに大きく打つ。
 凡そ細やかさとは縁遠い打ち方だ)

そうかもな。
……案外、旅人の居た世界と言うのはそれぞれ別のようで、文化が似通っていると思うよ。
再現性東京とかあるだろう。吾の世界でもああいう街並みは存在したし。
ボクよりも順応性が高いように見えたのはそのせいか。
文明的ではあるんだな。お前の世界。

(きっかり1分の長考。からの一打。
 そこからは急に守りが薄くなった。
 打ち筋がより攻撃的になって反撃に……というわけではない。
 このゲームは捨てて、相手の受け方を探るように動いていた。)
…知ってるか。
この手のゲームは御多分に漏れず戦術家に好かれているわけだが。
ゲームにおいて石がとられることを「死ぬ」と形容するらしい。
つまりあいつらは、この石の一つ一つが兵士ないし兵力と見立てている。
そして勝敗はとった石の数でもなく、投入した戦力でもなく、最終的に確保できた土地の数で決めるんだと。

(薄くなった守りの中に、押せば死にそうな石の群れがあった。捨て石だった。)

石ひとつで無双、なんて許されないそうだ。
……場所による。

(文明的、と言われて一瞬顔を顰め、数拍後にそれだけ言った。
 説明しようとして、しかし、まとめきれずに諦めた気配)

(こちらもやや攻め手が鈍る。
 それは相手の打ち方が変わった事もあるし……ある程度の見込みを得たという事でもある。
 相手の弱い所を攻めるよりも自分の模様を増やそうとしている)
それはそうだろう。
この沖で眠っているアレのような規格外はいるが、ああいうのと戦うのは戦争ではない。

(明らかに弱い石があるが、取っても「安い」。
 しかし、取らねば攻めの足掛かりにもなりそうで……取らされる)

戦争と言うのはもっと有象無象がやるものだ。でなければ起きん。
(捨て石を殺された瞬間の、その盤面をなめとるように視線が動く。
 瞳は細く、細く伏せられ、数手前の互いの打ち方を思い起こしている。)


概ね同意だ。
戦争は互いに一定数の勝ちの目が見込める状況において利用される外交手段だ。
石に強さの違いなんてあったら、こんな風に混沌とした盤面にはならないだろうさ。
それこそお前の言う通り、仕掛ける側も使われる石も有象無象であるわけだが……

ボクの疑問はそこじゃない。
外界から入ってきた盤を「戦場」に見立て、石を「兵力」と見立てるように。
それが元々存在した世界においても、このゲームはなにかに見立てられているはずだろう。
お前の方はどちらかといえば……個の戦力が物をいう世界と考える。
ともすればこの盤面に対する見立ても違ったものじゃないか、という個人的好奇心だ。

(そこからの打ち筋は……消極的遅延に徹底する。
 程なくして大差で負けを喫するだろう。)
我々も大半は有象無象だよ。
一人は二人に負けるし、達人も10人で囲んで殴れば死ぬ。
そこから脱出したとして、個の力で無双するかと言えばそうじゃない。
強さの高みを目指して全力だして死ぬか、別の目的のために程々にやるかだ。
盤面遊戯に向く内容にはならない。

(あからさまな時間稼ぎに面白くもなさそうに応じ)

まぁ、吾の世界の囲碁は種族:美少女の成立よりも歴史が古いんだが。
……しかし、嫌な負け方をするな。お前も。

(やがて石側が盤面を支配するのだが、面白くもなさそうに呟いた)
なんだそりゃ。
新生命体か人造生物か外来生物かなにかか。

仕方ないだろお前の方が上手いんだから。
で、なんのお話をさせるだって?
また御伽噺でも唱えろってか?
人間から変異したのが種として定着したらしいが、本当の所は分からん。
情報源は「あの」開祖だし。

……御伽噺もいいが、偶にはお前の事を聞かせろよ。
なんで人の身で不老不死なんて手を出そうとしたのかとか。
………それこそ一番しょうもねえところだろ。
…まあ、いい。語ってやる。
少し長くなるから、打ちながら聞けよ。

先手貰うぞ。
興味深いとも。普通、人間は明日も生きているのが当たり前だと思っているからな。

いいぞ。好きに置け。
(掠れがちな声を整えるように咳ばらいを一つ)

不老不死を得るメリットを説く前に
まずはボクの扱う「契約魔術」という分野について触れておく。

「契約魔術」というのは異界の上位存在と対等な取引を行うために作られた儀式だ。
御伽噺の妖精が、金の糸束と引き換えに初子を攫うように、別世界のものはボク達混沌人とは決定的に異なる価値観を有している場合がある。
古い魔術師……今でいうところの召喚術や精霊使術という系統を作った定礎達は、その根本的な価値観の溝を通した対等な取引を成立させるために、契約魔術を作り出した。
互いに納得できる取引により、互いを契約で縛れるようにするためだ。

契約魔術による取引は実に簡単だ。
「自分が相手に対して求める主観的価値総量」と「相手が自分に対して求める主観的価値総量」が釣り合うように、互いの所有物を差し出すことによって成立する。
「とても欲しい」ものを相手に要求した場合、相手も同じだけ「とても欲しい」ものを要求する権利を得るわけだ。
一切の嘘も妥協もない。
契約を結ぶ当事者たちに限って言えば、極めて公平な取引と言える。
ここで不老不死が大きな意味を持つ。
老いることがなくなれば肉体は常に十全な力を発揮できる。
死ぬことがなくなれば富や知識を無限に蓄え続けることができる。
だが、それ以上に大きな意味が、この契約魔術という世界には存在する。
それがなにかわかるか?


(初手天元。からの終始攻撃的展開。)
与えても与えても尽きないリソースが手に入る、ということか?

(序盤は布石を撒くことに終始する。がその意図はやはり攻撃的だ。
 一手間違えば相手に飲まれかねない展開。しかし、同時にそれを相手にも押し付ける)
それもあるが、それはあくまで副次的なものでしかない。
契約魔術における不老不死の最大の利点は「相対的になにもかもどうでもよくなる」ことだ。

(その攻撃に対して対応は……しなかった。
 攻めの手を緩めず、相手に対して常に複数の問題に対する対処を要求している。)
ふうん?
まぁ、分からなくもない。
問題や課題は結局時間が解決してしまうものも多いし、天敵も居なってしまえば欲望は薄くもなろう。

(中盤、大きく撒いた布石を回収しにかかる。
 相手の妨害に時には乗り、時には無視し、陣地を大きくすることに注力を始める)
(相手の対応を見るたびに、または見逃すたびに、長考が入るようになる。)

………その通りだ。
時間は金以上に多くの問題を解決する。
その万能の回答はほとんどあらゆる思想と願いを堕落させる。
契約魔術師が不老不死を求める理由はそこにある。
本当に欲しいものを、本当に欲しいまま望んでしまったら終わるんだ。

考えてもみろ。
「命に代えても叶えたい願い」の為に「命と同等のもの」を差し出してしまえば、破滅の方が先に来る。
じゃあ、どうすればいいか。答えはもう決まっている。
「命に代えても叶えたい願い」の方の価値を下げて貶めるしかない。
「命に代えても叶えたい願いではあるが、しかしこれほどの力があれば手に入るのだから、本当は大した願いではないのではないか」と、自らの願いを冒涜することが最も正しい。
だから……どうして不老不死を望むのか問われれば……………
…次の願いを叶えるために、消費されるための願いとして、当面の目標として願っているというほかない。

(いずれ攻め筋の全てが対応され、脆弱な地盤ごと崩れ落ちる段階。
 また消極的遅延策に入る。)
ふうん。わかった。

……ついでに聞くが、お前の考える不老不死の達成条件とは何だ?
契約魔術とは要するに対価を払って他所から力を借りてくる魔術だろう。
借りものである限り、契約しても相手方が消えたりすれば効力がなくなるものかと思うが。

(明らかに集中力を欠いた様子に胡乱な視線をやる。
 攻撃に徹するにしても足元をおろそかにするのはあまりにらしくないように思えた)
それはわからん。
目標に明確な像を持たせないことで、願いに価値を与えないようにしているというのが正しい。
契約相手が死んだ場合、借り物が消えるかどうかは結んだ契約内容による。
なぁ。やっぱり少し疲れすぎてるんじゃないのか。
………そうかもな。
ボクも多少気が滅入ってんだろうよ。
ふうん。
じゃあ、休憩代わりに吾がお話してやろう。
どんな話がいい?
(「余裕か」と、文句を零すと。
 不機嫌そうなに視線を水平線へと投げて、そのまま黙り込む。
 太陽の位置が変わったことでより一層深くなった日陰のなかで、ぼんやりと瞳が浮かんでいる。)

























………好きな花の話をしろ。
べつに。

……そうだな。こちら側では見た事がないが、コショウルリ。という花が好きだ。
透明なのに薄っすら青い……そうだな、青い硝子みたいな小さな花で、枯れる時は本当に溶けるみたいに枯れる。
山とかの日の当たらない所に蔓延っていて、雑草扱いされるような、そういう種類の花なんだが……。

(見たことは無いか、と其方へと視線をやり)
………聞いたことがないな。
文献を探せば見つかるかもしれないが。

何時の花だ。何か…似た形をした花はあるのか。
7月の初めに咲く。
葉の形はハコベに似ていて……花はネモフィラに似ているかな。ずっと小さいけど。
小指の爪ほどもない花なんだ。

成人するまで海を見たことが無かったんだが、本で海は瑠璃色だと書いてあってな。
だから、きっとコショウルリの花のような色をしているんだと思っていた。
……あまり人の記憶に残る様な華やかな花ではないが、海が見えるから思い出したんだな。
そう。

(夜の青味を閉じ込めたような、小さな氷の欠片を思い浮かべた。
 溶けないように、溶けないようにと、陽の光を避けて、ひっそりと咲く様を描く。)

…可愛い花じゃん。
見つけたら、お前にも見せてやる。
初夏のまだ涼しい朝に咲くんだ。
……………そう。


…。


…そうか。


…………………来年以降の話になるな。

…。
…………もう一戦だ。もう一戦、やらせろ。
それと賭けの内容の変更したい。
よく考えてみれば、こんな内容じゃあボクも張り合いがないんだ。
やるからにはもっと強く張るべきだ。
負けた方が、無理のない範囲で、なんでもいうことを一つ聞く。

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