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美少女道場
…任せる。
(……あの顔は、流石に勘付かれたろうか。
自分の持つ数ある弱みの中でも、比較的無視できる物ではあるが……それはそれとして居心地が悪いことには違いない。それもこれも確認を怠った己の落ち度である。)
(だが、そこは何でもないように振る舞う。
意に介していないように、ムキに言及しないようにせねばならない。)
(火花の魔術によって着火した紙煙草を、水のフィルター越しに吸い上げる。
浅く一度、二度…三度………ひりりと喉が熱を持ったら、今度は深く吸い上げ肺に溜める。
数秒ほど溜めてから吐き出した紫煙が、副流煙と混ざり合って、ヤニとは些か趣の異なる重たい香りになって溢れて……せせらぎの上をなぞる空気に攫われて、下流へと落ちていく。
そういう様を何度か繰り返して、自分はようやっと落ち着きを取り戻す。
呼吸は整い、その頃には噴き出す汗も落ち着き、素肌に特有の湿り気を帯びさせる程度にまでなった。)
(……あの顔は、流石に勘付かれたろうか。
自分の持つ数ある弱みの中でも、比較的無視できる物ではあるが……それはそれとして居心地が悪いことには違いない。それもこれも確認を怠った己の落ち度である。)
(だが、そこは何でもないように振る舞う。
意に介していないように、ムキに言及しないようにせねばならない。)
(火花の魔術によって着火した紙煙草を、水のフィルター越しに吸い上げる。
浅く一度、二度…三度………ひりりと喉が熱を持ったら、今度は深く吸い上げ肺に溜める。
数秒ほど溜めてから吐き出した紫煙が、副流煙と混ざり合って、ヤニとは些か趣の異なる重たい香りになって溢れて……せせらぎの上をなぞる空気に攫われて、下流へと落ちていく。
そういう様を何度か繰り返して、自分はようやっと落ち着きを取り戻す。
呼吸は整い、その頃には噴き出す汗も落ち着き、素肌に特有の湿り気を帯びさせる程度にまでなった。)
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麓の村で一泊した後に早朝から山に入る事となった。
途中までは村の者が拓いた山道を辿り、その次は細く草が倒れたけもの道を辿る。
山中は緑色濃く、日差しの眩しさに反して空気はしっとりとして冷えていた。
人里とは違う草の匂い、否、堆積した腐葉土の匂いか。踏み締めるごとに強く香っては人の生存圏から離れた事を主張する。
知らぬものからすれば、無軌道にけもの道を辿っている様に見えるかもしれない。
その実、等間隔に植えられた食用になる樹木、辻の積み石等、自然の中に溶け込む様に残された人工物を頼りに進んでいるのだ。
導こうとしているのは人の世の浅瀬に作られた貯蔵庫。昨晩泊まった村の隠し沢だ。