PandoraPartyProject

ギルドスレッド

潮騒の従者斡旋所

面談記録(5)

思い出したように綴られる、とある部屋での記録。


風で震える窓と、吐息で揺れる蝋燭の炎。

陽炎の先に相手を見つめ、決して火と共に吹き消さぬよう……

向き合うように、二人。

(従者をお求めならば、何方でもご自由に)

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ええ、Remoraです。私はRemoraと申します。
名乗れば間違いなく相手を幸せにさせる響きだと言えるでしょう。
ああ、細かい発音は置いておいてレモラで結構ですので、是非声に出して幸せな気分にお浸りくださいませ。
レモラ……レモラ……うむ、特に幸せな気分にはならぬな!
嘘をつくのは感心せぬな、レモラ。嘘をつくと母上にそれはもう恐ろしい説教をされるのだ。
まぁ何にせよまた来てやったぞ! ところでお茶はまだであるか?
おや、王子。
性懲りも無くまた足をお運び頂けるとは、余程お時間に余裕があるようで逼迫たる私からすれば大変羨ましく存じます。
ところでお茶は健康に悪いそうですよ。
ご存知でしたか?
なんとお茶が有害とはマジであるか!?
まあ、それはそれとして茶を所望する。
有害であれど量さえ間違えなければ問題はなかろう。酒やタバコもそうであると聞くしな!
しかし聞き捨てならぬな、時間に余裕はなくとも民や従者のために時間を割くのもまた王者の務めである故、こうして様子を見に来た次第である。実際のところ、野良仕事から逃げてきたとかではないぞ!
次からはそなたから伺候するように。
(小さく舌打ちすると、脇机に手を伸ばして)

ではお身体に差し障りなきよう出涸らしをば。
一番茶と二番茶は毒味として私が頂いておきますのでどうかご遠慮なさらず。

そして全くもって無用かつ不要な心遣い誠に痛み入ります。
王子の空想のお話をお聞かせ頂けるとは本当に愉快なことで、
私の気分さえ良い時にきて頂けるともう少々まともな対応ができたのですけれど……今日はもう無理なようですね。

因みに私は王子の従者ではありませんので、
そのご要望につきましては道端のカエルにでもお申し付け頂くのはいかがでしょうか。
む、そなたが淹れるのにそなたが毒味をするのか?
まあ、細かい事はよい。僕の分は湯ではなくホットミルクで淹れるのだぞ。ロイヤルなやつで。

なんと、気分が優れぬと申すか!?
だから拾い食いはするなと母上から教わらなかったのか!
どこが悪いのであるか!? 頭か!頭だな!!
ああ、ミルクでしたら今頃牛が牧場を出立した頃でしょう。
到着まで数刻ほどかかりますので、どうぞその間空気でも吸っていてください。

それにご心配を頂いたところ大変恐縮ですが、
生憎と拾い食いをする必要には迫られておりませんので。
強いて悪いと申し上げるならば今の居心地ですかね。

さて、本日は何用でしょう、王子様?
むむ、ミルクも無いというのか!
いったいどうなって……ああ、いや、そうか。庶民の家には普通はミルクなどという嗜好品は置いていないという事か
庶民の生活には疎いとはいえ、不躾であったな。許すがよい!

しかし何用と聞かれてもな。
特に用事などはありはせぬ。
友人の顔を見に来るのに理由などいらぬであろう?
庶民の生活すら送ることがままならぬ身にもかかわらず、他者をいたわる気持ちを忘れぬとは流石王子。
感動のあまり私も目が開けられなくなってきました。昨夜は仕事で遅かったものでして。

……はー。ははーん?
さては友人を数多く作ろうとされない方なのですね。
いえ、いいんですよ。
詮なきことというのが世の中にはございますもの。
うむ、恥ずかしながらそなたの言う通り友人と呼べる者は少ないな。
なにぶん、僕の身分が身分である故やはり友人を増やすというのは難しいのでな。
ところでレモラには友人はおらぬのか?
いつ来ても暇そうにしておる様に見受けられるが。
おりますよ。
何をもって友とするかが難しくもあり、
やはり従者なる身なれば友にして主たる方も多く。
ただ、従者から友と呼ぶのはまた不躾かとも思う次第で。

王子ならそこらの子供とすぐ仲良くなりそうですけれど。
兵士にでも任命してモンスター退治と吹き込み、
カエルとりでも手伝ってもらっては如何ですか?
ああ、町の子供達であるか……。
うむ、確かによく遊びはするが、カエル狩りはいかん。
何故あの年頃の子供はやたらとカエルを爆発させたがるのか……。
決めたぞ、レモラ。国に帰ったら無闇にカエルを爆発させてはならないと触れを出そう。

しかしいつの間にか僕以外にも主を得ていたのか。
うむ、勤労意欲が高いのは良き事である。その割にはどうも暇そうではあるが、どういった仕事をしておるのだ?
成る程。「食べ物」で遊んでしまってはいけませんものね。
良い御触れだと思いますよ、蛇や猛禽の国などであれば。
海老に鯛が引っかかる確率で王子がもし生命の尊さという観点からその御触れを仰っているならば、また別のお話ですけれど。

ええ、七度主君を変えねば優秀な傭兵とは言えぬのと同じです。
七人主人を持たねば従者とは言えないと言うのが私の持論にございますれば当然のことで。

職務内容につきましては契約上機密事項ですのでご容赦くださいませ。
暇に見えるのは世界にとって貴重な私にとって貴重な、すなわち世界的財産たる私の休みを見計らったかのように王子が現れるからですね。
贅の尽くし方だけはしっかりと抑えてらっしゃる。
うむ、食べ物で遊ぶというカテゴリーに含まれるかは分からぬが、爆発は少々惨すぎるのでな!
レモラもカエルを爆発させぬように!

しかし七度主君をとは言うが、そこには信用や忠義などは存在せぬのではなかろうか?
ああ、いや、そうか。所謂「びじねすらいく」というドライな契約という事であるな!

レモラと過ごす事が贅になるのであるか?
すまぬが、浅学故そのジョークの意味がよくわからぬ。解説を求める!
まあ、引く手数多たる力量こそが信用を勝ち得る要素では?
忠義の尺度は使えた人の少なさのみで測るものでも無いでしょう。
主を如何に支えたか、その実績により測られるべきだと私は思いますね。
主を一人に絞るというのは、逆に言えばその主に私の生活を保証いただくということに他なりません。
ドライだと言われますが、結果としてお互いに負担をかけすぎない、良い関係だと思っていますよ。

結局のところビジネスの範囲を超えたものをお望みなら、金銭価値では測れぬそれなりの対価を要するというお話で。

(嘆息)
私の時間は価値があるもので、
王子は私の時間を浪費されている。
故に、王子は価値あるものを浪費しているのですから、贅を尽くしているわけです。
まあ、ややこしい理屈っぽい話はよい。
時間とは皆に平等に価値あるもの。故に僕らは互いに贅を尽くしていると言えよう。
うむうむ、こうして益体の無い話で時間を潰すのもたまには良いではないか!
ふふふ、全く。
王子にとっては日常茶飯事でしょうに。
時間はジャガイモとは異なり、単に潰せばいいものではありません。
クロケット屋を営むなら止めはしませんが、この地で再興をお考えなのであれば……潰すよりお金に変える方法を考えた方がよろしいのではありませんか?
おお、クロケットか。あれはよい!
城での食事には出なかったが、城下に遊び……ではなく、視察に赴いた時はよく食べたものだ。
こちらにもクロケットがあるということは不思議な事に異世界でも食文化に大きな差はないのだな。

なに、僕とて無為に時間を潰してばかりはおらぬ。開墾の方も少しずつではあるが、進んでおるのでな。
当面の目標は芋の栽培である!
レモラもやってみるか!
芋の、栽培。

農園主でも目指されているのですか?
かような大事業に携わるなど、とてもとても。
私は市中で仕入れてまいりますので遠慮申し上げますわ。

大方、栽培できたところで芽を食してまた苦しむ姿が想像されましたけれど、
あるいは食べられる芋の芽の研究に一生を注いでいただくのもまた、その人の人生ですものね。
大農園の主!
うむうむ、それもまた一興であるな!!
直に芋だけではなく、様々な作物を栽培する一大農場へと仕上げてみせよう!

とは言っても僕の一番の目的は本国への帰還であるからな、農場経営に心血を注ぎすぎてもそれは本末転倒である。
農場経営は生活に困らない程度に程々にとどめておくべきだな。

ところでレモラは野菜や果物なら何が好きか?
今後の参考に聞かせてくれ。
遠い本国……そうでしたね。そういえばそうでした。
王子も理由があって無職だったのですね。
ええ、無事お帰りになれる日を私も待ち望んでおります。
一大農場を作っていただけるなら……私に残してくれれば旗を振って見送りましょうとも。

はて、好きな果物や野菜。
そうですね、桃は好きですよ。あとは野菜だと……トマトでしょうか。
おお、桃は僕も好きであるぞ!
あの瑞々しい食感と甘さは実に素晴らしい。
しかし木は育てるのに時間がかかるのが難点であるな。その点、トマトは比較的楽に育てられると聞く。
というわけでレモラにはトマトを担当してもらう。
今日からそなたはトマト大臣だ!
この大任、名誉に思うが良い!
うーん、この芋王子。
頭にマッシュポテトでも詰めてらっしゃるのですか?
むしろじゃがいもに手足が生えて現在に至るのでしょうか?

であれば認識を改めねばなりませんね。
人ならまだしも、じゃがいもにしては会話が可能とは脱帽いたしましたわ。

いいですか芋王子。
名誉より先に対価を提示なさい。
おお、怪奇じゃがいも人間……。
こちらにはその様な種族も存在するのか、さすが混沌であるな。

ふむ、対価であるか。まあ、見返りを求めるのも道理ではあるな。
よかろう、ならば売り上げの3割でどうか!
歩合制である、励むがよい!!
前払いがいいと申すのであればそうであるな、少し惜しいがこの前拾った綺麗な石などがあるが……。
あと町の子供らに花で冠を作る術なども教わったのでな、特別に教授してやってもよい!
そんな者がいるわけないでしょう。
何を仰ってるんですか全く。

売り上げの3割……歩合制……
おそらくきっと天をも恐れぬ王子であれば、
栽培方法はまだしも、売り捌く先に検討はついていないのでしょうね。

良い商品なら酒場や宿屋に卸せるよう交渉は致しましょう。
売り上げの3割なら、お手伝いできるのはそのぐらいですかね。

その綺麗な石とやらはきっと王子の家宝となりうるものでしょうし、謹んでご辞退致しますわ。
花冠は……まあ他の人に聞きますし。
子供達と仲が良いようで何よりでございます。
うむ、子供らは皆気の良い者達であるのでな。今度、レモラにも紹介しようではないか。
少々、礼儀を知らぬところもあるがそこはそれ、似た者同士で仲良くできよう。年の頃もさほど変わらぬ様であるしな。
それになかなか得難い知識や良い遊び場も教えてくれるのだ。
レモラも遊びに来るとよい。あまり部屋にこもってばかりでは陰気になる故な。
子供と遊ぶ話は今はしていません。

誰が似た者同士だ誰が。私はこれでも成……
……清楚な従者ですので、童心に帰って遊ぶなどとてもとても。

気遣いはありがたく思いますが、これでも外出している方が多い身ですので。
いずれ王子のように路頭に迷った際には子供達を頼りにさせていただきましょう。
すまぬ、レモラ……。この様な事、あまり言いたくはないのだがそなたは清楚の意味をはき違えておる様だ……(心底、ばつの悪そうな顔で)
まあ、あまり気にするな。無知とは罪と言うが、恥ではない。これから知っていけばよい。

さて、そろそろ僕は帰る。良い暇潰しになったぞ、レモラ。
次は茶葉を忘れずに用意しておく様に。
では、さらばだ!(そう言い残し、バタバタとマントを翻しながら去っていく)
(嵐のように去っていったあとで、握った拳を静かに震わせて)
もしかして、もしかしてですけれど……今じゃがいもに無知と言われましたか私は?
く、屈辱……此方が大人の対応をしていれば芋の分際で。

どうやら一度、私の怖さを思い知らせるためにも「沈める」必要がありそうですね。
怒りのあまり耳ヒレが赤一色になりそうですの、私。
(翌日、館の玄関には投げ忘れた岩塩が盛り塩のように戸口に傾けられていたとかいないとか)


ー終ー

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