PandoraPartyProject

ギルドスレッド

遣らずの雨

甘屋鳥

【RPスレッド】3人まで。

ざあざあと、雨が降る街。
雲一つない蒼天の下。
小さな小さな喫茶店で、舌鼓。

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
(店内に入ると、ドアに取り付けられたベルが来訪者を告げる)

ひどい雨だ、これでは身体が錆びてしまう。
(濡れた外套を脱ぐと鋼鉄の手で水滴を払い、席を探す)
……ええ、ええ。お願いするわ。
(青い空から降る雨を眺めながら、窓際に座る、小さなちいさな少女が注文を終えました。)
(なにしろ、いわゆる「普通の人」の膝下ぐらいしかないぐらい、ちいさな姿なものですから)
(座高の高い、子供用と思しき椅子に座ってなお、ようやくテーブルの上に顔を覗かせることができる有様です。)
――まあ。ごきげんよう、大きな、鉄のあなた。
今日もこんなに空がきれいなのに、こんなにひどい雨なのね。
(臆することもなく、少女は、来店してきた初対面の男性に声をかけます。)
(声を聴き、視線を彷徨わせてから、目線を下げて)
――やあ、こんにちは。小さなお嬢さん。同じ国の出身だと嬉しいな。
だとしたら、空がきれいなことも、この雨が俺にあんまりよろしくないのも分かると思うんだ。

(自分の胸元に手を添えて礼をし)

よかったら、隣、良いかな?
それとも今日は一人の時間が欲しいかな?
おなじ、くに?
(コテリと、ぎこちなく小さな首が傾ぎます。)
わたし、そう……「旅人」というものらしいの。つまり、ほかの世界から来たのね。
あなたも、「旅人」さんかしら。けれどおんなじ世界かどうか、わたしにはわからないわ。
(席の上に立ってカーテシーを返すわけにもゆきませんから、続く問いには、やはりぎこちない首肯を返しました。)
もちろん、お断りする理由なんてないわ。
いろんなひととお話するほど、わたしはいろんなことを知れるのだもの。
ああ……なるほど「旅人」だったのか。
ここの世界で俺のように機械のような身体を持っている人の国があるからね。そちらの出身だと思ったんだ。
(頭を下げて、席に座ると)
その様子だと、君は色々と知りたいことが多そうだけど、今日は俺が語り部になったほうが良いのかな?
「鉄帝」だったかしら。あなたは、そこのひとなのね。
わからないことが山ほどあるから。たくさん勉強しなければならないの。
(向かい合って座ったとて、はぐるま姫の背丈だと、眼前の彼を見上げる格好となってしまいます。)
まあ、お話をしてくださるの。とても嬉しいわ。
けれども、そう。このお店は、甘くておいしい、素敵なものを出してくれるみたいだから。
生まれて初めてのお茶会のお相手を願えれば、もっともっと、嬉しいわ。
なるほどなるほど、では旅のお方のお茶会にお付き合いすることにしましょう。

(店員に目くばせして)俺にもコーヒーを一つ。菓子に合うくらいの程よい砂糖の量で。
自己紹介が遅れてしまったわね。
わたし、はぐるま姫よ。ねえ、お名前を聞いてもいいかしら、鉄のあなた。
(一方。程なくして一足先に届いたはぐるま姫の注文は、あまあい、ココアなのでした。)
ありがとう、店員さん。
(張り付いた微笑みを、かくりと動かして。)
わたし、この世界へ来たばかりで、「鉄帝」のこともよく知らないの。
みんな、あなたみたいな「大きなひと」なのかしら。
この世界に来てから、わたしみたいな大きさのひとに、会ったことがないのよ。
お姫様だったのね、これは失礼を。俺はペーションという、名字もない只の鉄の人型でございまする。生まれは「鉄帝」。身の鋼は9割ほど。

(遅れて届いたコーヒーを一口)
こちらの地では皆同じような大きさをしていることが多いかな?
ひょっとしたらお姫様と同じくらいの大きさの人もいるかもしれないけれど、おそらくは希少かと。むしろ「旅人」かもしれない。
失礼なんてないわ。「はぐるま姫」が、わたしの名前だもの。
かしこまられるより、ふつうに話してもらえた方が、とってもためになるわ、ペーション。
(予めそう注文していたのでしょう。はぐるま姫のカップは、普通のひとが使うそれより、ひとまわり小さい、おもちゃみたいな大きさです。)
(人形みたいな……というより人形そのものの身なのですけれど、ココアはしっかり味わえるみたいです。)
やっぱり、そうなのね。
わたし、もとの世界で大きなひとは、おじいさんぐらいしか知らなかったから。
もっともっと大きなひととも、出会ったけれど。ペーションは、わたしの他に小さなひとを見たことは、なくて。
(キチリと、軋むような音を立てて、小さな首が傾ぎます。)
なるほど、「はぐるま姫」。姫さまも名前に含まれるんだ。
残念ながら、俺も自分より大きいひとは見たことはあるけれど、君と同じように小さな人は見たことは無いなあ。
(背中を丸めて、視線を同じ高さに合わせながら)

君のいたところではおじいさんが大きな人だったんだね?
他にはどんな人がいたのかな?
みんな君と同じくらいの背をしていたのかしら?
まあ。やっぱりわたしみたいなひとは珍しいのね。
けれどそれなら、先に楽しみが待ち受けているということね。
おなじような「旅人」がいるなら、いつかきっと、どこかで歯車が噛み合うわ。
(などと言いながら、あらまあ、ココアに口をつければ口の周りに茶色いおひげ。)
(姫とは名乗れど、テーブルマナーは、まだあんまり身についていないみたいです。)
どうだったのかしら。
わたし、この世界に来るまで、おじいさん以外の大きなひとを見たことがなかったから。
おじいさんの家の奥のお部屋で、大事に、大事に扱われていたわ。
お部屋にはね。わたしとおんなじようなお人形の仲間が、たくさん、たくさんいたのよ。
なるほど、なるほど。まるで物語の世界のようなお話だ。
君の居たところはそういうところだったのね。

(口元のひげに気付いて、一枚ハンカチを取り出すと)

口元がココアだらけですよ。鏡があったら恥ずかしい思いをするかもしれないくらいに。
(鏡のように磨かれた鉄の身体の男が、口元のココアをぬぐおうとハンカチを持った手を伸ばす)
ええ。おじいさんは、人形を作るお仕事をしていたわ。
けれども、わたしのことは、お店に出すつもりがなかったみたい。
(ごしごしか、あるいはきゅっきゅっでしょうか。)
(擬音の話はさておきまして、はぐるま姫は特に嫌がる様子もなく、おとなしく口元を拭われておりました。)
まあ。口元にココアがついているというのは、恥ずかしいことなのね。
わたし、またひとつ、知識というものを身につけたわ。ありがとう、ペーション。
(やはり笑みを湛えたまま、抑揚のない声が、お礼の言葉を告げるのでした。)
お店……まるで人形屋さんのようなところだね?
君の世界はお店から外にはつながっているのかい?
(童話を聞くような世界観に興味を惹かれつつ)

汚れが飛んだり、虫がやってきたりするからね。
身体はきれいにした方が良いとは思うよ。
俺も時々磨いてる、こうやってね。
(笑いながらハンカチで頭をこすってみた)
ええ。おじいさんは、人形を作って売るお仕事をしていたのよ。
わたしは、売り物ではなかったみたいだけえれど。
外に出たことはなくても、窓の外から、たまに街が見えていたわ。
(今度は口元を汚さぬよう、ほんのちょっぴりずつ、小さなくちびるからココアを吸い上げてゆきました。)
そうね。おじいさんがそうしていたから、わたしも体は拭いているけれど。
きちんとしたやりかたを、ひとから教わるべきなのかもしれないわ。
ペーションのからだは、油を注したりする必要はないのかしら。
窓の外に世界があるのなら、君はひょっとしたらここと同じような世界に居たかもしれないね。
(コーヒーを飲んで)
心を持っているのが君以外に居たかで変わるとは思うけれど。

油……ああ、一応油は注しているけれど。そんなに頻繁じゃないかな?
どういうわけか、こんな身体でも普通にご飯を食べたほうが油が補給されるみたい。
全く持って不思議なもんだよ
(磨かれた頭に店内の照明が反射する)
あら。心はどんな人形にも、宿っているものよ。
(少なくとも彼女にとっては、そうなのでした。)
ただ、そうね。わたしみたいに動いたり喋ったりするようになった子は、他に、見たことがなかったわ。

そう。機械のようだけれど、ぜんぶが機械というわけではないのね。
わたしも、気づけばものを食べたり飲んだりできるようになっていたから。
世の中、かんたんには理解できない「不思議」がいっぱいなのね。
(まばゆい頭を見上げながら、はぐるま姫は、またココアを舐める程度に口にします。)
「甘い」味なんて、ココアを飲むまで、知ってもいなかったのに。
そうなのか、それは失礼したよ。みんな心を持っている世界か……君だけが動けたりしゃべることが出来るというのもちょっと寂しい気もするね。

そそ、俺の様に全身機械に見えるのもいれば身体の一部分だけ鉄になっている人もいる、様々さ。
でも、一つ分かるのは……
(コーヒーを飲んで)

――コーヒーが苦くて、ココアは甘いってことかな?
(クスクスと笑ってコーヒーを一口、そして菓子をほおばる)
あら、ペーション。それは違うわ。
わたしの世界じゃなくたって、人形はみんな、心を持っているものよ。
わたし、ここに来てからも、何人もの「仲間」と、お話しているもの。
(はぐるま姫は、さらりと言ってのけました。人形とお話するのなんて、当然のことでしょう。そう言わんばかりに。)
(それから、ぱちくりと、何度かのまばたき。)

――まあ。
コーヒーというのは、「苦い」飲み物なのね。
けれどもペーション。「苦い」というのは、おいしくないのではなくて?
どこの世界の人形にも心はあるのか……(考え込む。半ば機械のこの身がそれを真実の一端であると教えてくれるからだ。出なければ自分はただの鉄の骸)

……ああ、「苦い」よ。
けど、いろんなものを食べて、いろんなものを味わうと、その苦いのが美味しいと感じるときがあるんだ。
どうやら俺たちの舌も、色んな味を覚えて勉強するみたい。
ええ。
だってわたし、このお店に入る時だって、表にいた猫の置物と少しお話をしてきたわ。
それでココアがおいしいお店だと聞いたから、立ち寄ってみたのよ。
(はぐるま姫は、さながら道端で人とお話をしたかのように、自然に言ってのけました。)
(喫茶店の前にあったという猫の置物を、ペーションが目にしていたかは、定かではありませんけれど)
(仮に覚えがあったとして。それが人の手で作られた人工物……命のない存在だったことは、一目瞭然でしょう。)

苦いがおいしくないとは、限らない。
いのちって、感覚って、ほんとうに不思議だらけ。
わたしも今度このお店に来たときは、コーヒーを頼んでみようかしら。
(自分のココアと、はぐるま姫の視点では中身も見えぬペーションのカップ。)
(それぞれを交互に見やりながら、カクリと首を傾げて、思案するのでした。)
猫の置物と?
……ああ、なるほど「ギフト」なのかな?
(得心したように問いかける。目の前の少女がそれをギフトと分かっていて使っているかはしらずに)

ふふ、そうだね。
今度はコーヒーを頼んでみるといいよ。ミルクとお砂糖は沢山入れて。
でも、眠れなくなるから夜に飲んではいけないよ。
(コーヒーに口を付けてから、機械のように笑う)
ぎふと。ギフト。
(ことばを幾度か、キリキリと頭の中の歯車に軋ませて、意味を手繰り寄せて。)
ええ、ええ。そうよ。わたし、ギフトのおかげで、人形とお話ができるの。
みいんな、違った性格、違ったこころの持ち主なのよ。

ミルクもお砂糖も、好きよ。甘くておいしいのだもの。
けれど、眠れなくなってしまうだなんて。
……わたし。眠ることができるようになったのは、この世界に来てからだから。
夜にコーヒーを飲んでしまったら、前とおんなじように、いのちのない人形に戻るのかしら。
(表情も変わらず。キキイと、ぎこちない音を立てて首を傾げているだけですから、「不安」というわけではないのでしょうけれど)
(いささか突飛な発想を得て、はぐるま姫は疑問符を浮かべておりました。)
やはり、ギフトか。君のギフトは素晴らしい贈り物のようだね。
(その様子に微笑んで)

そういうわけじゃないさ。
みんな眠れなくなるだけで、人形に戻るわけじゃないよ。
なんでも……体が頑張ろうとして寝るのを忘れちゃうらしいんだ。
このカップ一杯の飲み物でね、不思議なことに。
(指でカップの端を弾き、音を楽しむ)
ギフトということばに、贈り物という意味があるのだったかしら。
そうなると、だれから贈られたものなのか、気になってしまうわ。
ギフト、ギフト。ペーションも、ギフトを持っているのかしら。
(お話の流れで自然に浮かんだ素朴な疑問を、目の前の彼へと投げかけます。)

からだが、がんばる。
不思議ふしぎと、たくさんの不思議を見てきたけれど。
いきもの、いのち、からだ。これらの不思議は、とくに尽きることがないわ。
自分がどうしてココアを飲めるのかだって、わたし、わかっていないもの。
(きいん、きいん)
(はぐるま姫もまた、真似るように、小さな指先でカップを突つきました。)
俺もギフト持ってるよ……と言っても、ちょっと頭が冷めて物事をよく考えられるってくらいかな?
(目の前のお姫様に比べて、些細な贈り物であることを肩をすくめて話していく)

生き物というか、ここはいろんな人が居るからね。
動物のような人も居れば、羽の生えた人も居る。どうして、そんなに居るのか不思議で一杯さ。
俺も国を出るまで知らなかったもの、機械の身体を持ってない人がいるなんて。
(きぃん、きぃん)
(まねている少女に合わせるようにカップをはじいてみる)
ものごとを、よく、考えられる。
(きりきりと頭の中の歯車を回して、ことばの意味を反芻します。)
それって、素敵なことだわ。考えるって、知識がないとできないことだもの。
わたしにはないもの。わたしにはできないこと。
ペーションだからできる「贈り物」に、きっと間違いないわ。

ええ、ええ。おじいさんみたいな二つの足と腕のひとだけじゃないのだって、わたし驚いたわ。
ペーションたちみたいな大きなひとよりも、もっとずーっと大きなひとだって見たもの。
(3メートルほどもある「もっとずーっと大きなひと」を表現すべく、両腕を広げてみせる様は、いささか子供っぽく)
(あるいは、カップの音に合わせて、ゆるやかに踊っているようでもありました。)
俺だからできる贈り物かー、そうだったらいいね。
(その言葉に微笑んで)

そんなに大きい人も居たのか、怖くはなかったの?
(どんな大きさだろうと視線を一度だけ上の方に向けてから、向き直り。踊るような人形の様子を見つめながらコーヒーを飲んでしまう)
あら、だってあんなに大きいひと、初めて見たのだもの。
怖がるより先に、お話してみたいという気持ちが、先にやってくるわ。
(何といっても、はぐるま姫には見るもの見るもの、すべてが新鮮なのです)
(やがて席に腰を落ち着けると、おんなじように、小さなカップのココアを飲み干しました。)
こういうお店で、ひとは雨宿りをするそうだけれど。
この町に降っている雨は、いくら待っても、止みそうにないみたいね。
(窓に目を向けると、あいかわらず、青い空はとめどなくべそをかいているようです。)
ふむ……そういうものなんだ。
まるで真っ白なスケッチブックに絵を描くのが楽しみな娘さんみたいだね。
(未知への恐怖より好奇心が勝る姿を自分の知っているものに例えて)

(窓ごしに空へと視線を向け)
そうだね、ここはずっと雨が降りっぱなしだ。
誰かが死んだときに降る雨を涙雨とは言うけれど、この町は誰かがいつも泣いているってわけでもないだろうしなあ。

(カップに視線を落として)
……お代わりいる?
まっしろ。
ええ、そうね。わたし、まだ真っ白なのね。
でも今日、ペーションに出会って、新しい色がついたわ。
(誰かとのお話、世界の知識、ささやかなマナー)
(いくつかの経験が、確かにお姫様の歯車に、刻まれたのですもの。)

涙雨。悲しいと、ひとは涙を流すのよね。
からだの中から水が溢れてくるだなんて、ふしぎ。
けれどいつでも傘が必要になるから、泣くというのは、とっても大変ね。
(自分が流したことのないものなればこそ、また、コテリと首が傾ぐのでした。)

おなかがいっぱい、というのかしら。
わたしのお腹の歯車は、もうじゅうぶん、ココアを堪能したみたい。
(ぴょん、と。はぐるま姫は、身軽に椅子の上から飛び降りました)
(……ぎこちない着地のせいでちょっぴり転びそうになったので、「軽やか」とは言えませんけれど。)
わたし、そろそろ行くわ。
そうか……俺と話してどんな色がついたのか興味はあるけれど、これ以上はお腹がいっぱいになるね。
うん、じゃあまた機会があったら会おうか?
多分……雨の日はここに居ると思うしね?
ペーションの色だから。これはきっと、金色か、赤色ね。
(見たままの色。どうやらこのお姫様が詩的な表現を活用するのは、まだ少し難しいようです。)

ええ。この町は、たくさん雨が降っているみたいだから。
きっとペーションとも、たくさん会えるに違いないわ。
さようなら。またわたしたちの歯車が噛み合うときに、会いましょう。
(小さな手で店員さんに代金を渡すと、はぐるま姫は、雨降りしきる青空の下へ歩み出て行ったのでした。)
(小さなお姫様を見送った後、もう一杯コーヒーを頼んで雨が止むのを待つ)

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM