たくさんの店が立ち並ぶサヨナキドリの奥深く。
あなたは迷い込んだのかもしれないし、何か目的があって此処にきたのかもしれない。

大事なのはちょうどその時、"ソレ"が居るということだ。

さて、"誰か"が近づく気配がするね。これは…ふむ。

（ふむ、と頷き。首を傾ける。どうやら道に迷ってしまったらしい）

…………迷いましたね。

（ゆるりと気配薄く顕れて）

……案内人とはぐれたかぃ、お嬢さん。

（あまり大きく驚くことはない。ぱちり、と目を瞬かせた後、なるほどと緩やかに頷き示す）

ええ……恐らくは、其のようです。
買い物に来た筈なのですが……此方は、迷い混んでも構わない処でしょうか？

ふむ……。此処は広いからね。
此処は迷い込んでも構わない所ではあるが…折角縁が合ったんだ、ゆるりと見ていくといい。
この商店街へは何を買いに来たんだい？

お気遣いに心よりの感謝を。
……そう、ですね。自己強化の魔術の類い、或いは……武器、教本……其れに類するなにかを。
少々己の限界を感じている所でして、何かしらの術を使いたいと考えておりまして。

（何でもある、と聞いたのだと云う。
　勿論そんな夢のような話があると信じているわけではないが、信じられないわけでもない。ので、来たのだろう）

なるほど。キミ、魔術の心得はあるのかい？
強化というのは単純に身体能力かな？それとも、もっと他の？
（ゆっくりと手招き先導する）

魔術は……ええ、一応は。まだ余り使いこなせていなくて。
物を経由し魔方陣を展開、盾にする使い方をしております。
強化は……全ての方面で。身体的なものもありますし、補えるものは全て補いたいのです。

（手招きに従い後を追いかける）

おや、欲張りさん。でもそういうのは嫌いじゃあないよ。
善哉（よきかな）、善哉（よきかな）。魔術の心得が少しでもあるなら幅は広がるからね。

（進む先でだんだんと人の出入りが少なくなっていき……やがてひとつの部屋に辿り着く。応接室のようなそこのソファーを彼女に勧めて）

さて、よければ参考までにどんな魔術か少し見せてくれないかい？
詳しい説明はせずとも、使っているところを見せてくれれば大丈夫。

私の剣（あいぼう）が、少々無茶しいなものでして。
努力せねばなるまいと日々背筋が伸びる心地なのですよ。

（薄く笑い。示されたソファに腰掛けて）

はい、解りました。
では……少々失礼いたします。

（掌を緩やかに開く。空気を伝うように魔力が拡散し、軈て魔方陣を紡いでいく。丸くて薄い。それから、丈夫だ。但し其れは、籠手ありきのものだろう、と。貴方なら、わかるだろうか）

…ああ、なるほど。頑張り屋なんだねぇ、キミたちは。
（前髪の奥から菫色の瞳がチラリと覗く）

……ふむ。（じっとその魔方陣を観察して）
ちょいと血腥いがいい精神力だね。
使いこなせていないとは言うが、集中力も高いからより良きモノも直ぐ編めるようになろう。
さて、ということであれば……。（籠手を眺めながら思案している様子で）

頑張り屋、と云うよりかは、周囲の環境の賜物かと。
元より非才の身です故。

……専門的なことはあまり解りかねるのですが。
何とかなるのでしょうか？　体内の魔術回路をどうこうとか、あるのでしょうか。

そうしたい？(くすくすと試す様に言葉を返す)